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ドーナッツの穴  作者: 人のような作家。
少女とホール
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1.少女とホール

ホラーもので、目覚めたら誰もいなかった〜とかあるだろ?

ああ言う場合は、大体誰かの企みがあっておきるんだ。

宇宙人、未来人、異世界人、超能力者。あるいはそいつらにしか興味がない女子高校生。

でも、そう言うのは夢物語や小説の中の話だけであって、現実では起きない。

つまり、今見ているのは夢だ。

世界から人が消えたのはきっと夢だ。


状況を整理しよう。

僕は小さなドーナッツ屋の店主で、昨日変な幻覚を見た。

仕事が終わったあと、シャワーを浴びて、すぐに寝たんだ。

で、夢の中では沢山のドーナッツに囲まれて、一番幸せな時に朝の光で目覚めた。

そのまま、目覚めた時特有の憂鬱な気分に浸りながら、当店自慢のプレーンドーナッツを食べた。

で、店の中を一通り掃除してオープンさせたがいつものように客が来ないので、

外も掃除しようかとほうきを持って外に出た。

で、人が全然いなくて今に至るわけだ。


人がいないのはめちゃくちゃ静かだからっていう理由だから、実際のところはわからない。

でも、それ以外にもおかしなところがある。


街のあちこちに黒い何かが浮かんでいた。


球体で、黒くて、まるで穴のような。

よく見るとその周りは吸い込まれたように抉れていた。


小説の主人公だったら今頃慌てているだろう。

これは夢だと頬をつねったり、もう一度寝ようとしたり。

しかし、僕はそうしなかった。

僕はちょっとしたパニックに陥り、頭を叩いてこれが夢か確かめ、ベットに潜っただけだ。

そして、これが夢でないことがわかるとそれはもう、めちゃくちゃ慌てた。

まあ今までも内心慌ててたけど。


しかし、あの黒い球体は一体なんだ?

普通に考えたらあの球体が何かしらの要因となって、人が消えたんだと思うが…

そう思いながら、僕は球体の方へ近づく。

すると、後ろから声が聞こえた。

「それにちかずかないで。」

聞いたことがある。

この声は昨日の…

「おにいさん、ばかなの?」

は?

振り返るとそこには予想通りの少女が立っていた。

って言うか今なんて言った?

「かんがえなしに、あやしいものにちかずくなんて。」

うぐっ正論だから言い返せない…

「と言うか、君は…?」

「どうでもいい。それよりあれをどうにかしないと。」

そう言って少女は黒い球体を指差した。

何度見ても悍ましい。

「あれは一体なんなんだ?」

「あれは『ほーる』くうかんのあな。まわりのものを、すべてすいこむ。」

「ノイズ?」

「せかいのうわがきが、なくなると。でてくる。」

「…?どう言うことだ?」

「ものわかりわるい…。つまり、せかいのすべてがうごかなくなると、でてくる。」

「そ…そんなことがあるのか?」

「いま、ある。」

「それは…何かが関わってたりはする?」

「あにめの、みすぎ。これはぐうぜんにすぎない。」

「じゃあ君と僕が生き残ったのも?」

「ぐうぜん。」

なるほど、なるほど。

つまりは偶然世界の全員が止まって、あの「ホール」ってのがでてきて、それに全員吸い込まれたと。

うん、嘘だろ?と言いたいが、この少女の表情を見ると嘘じゃないそうだ。

それに眼の前で見たからには嘘だと思えない。

「じゃあどうすればあれを無くせるんだ?」

少女が大きなため息をついた。

「しつもんおおすぎ。すこしはさっしろ。」

「ご…ごめん。」

少し呆れた表情で少女は言う。

「ほーるはじょうほうがないからでてきた。だからじょうほうをつくればいい。」

「情報を作る?」

「ほーるになにかをあてればいい。」

「え?それじゃあもうホールは消えてるんじゃ…」

「なにかをあてるっていっても、ぶつりてきにあてるだけじゃだめ。だから…」 

少女は銃のような、しかし銃というにはあまりにも…文字起こしにくい。

ホールに向かって銃が発射された時、音はならなかった。

一瞬にして、ホールが消えた。

「今のは…?」

「ほーるは0。だから1におきかえた。」

「もう少し詳しくお願いしたいんですけど。」

「…きぎょうひみつ。」 

少し間を空けたあたり、言うのがめんどくさいのだろう。

まあ頭がパンクしそうなので助かりはするが。

気づくと少女はホールを消しながら進んでいった

「はやく。」

「ああ、ってどこに行くんだ?」

「うちゅう。」

「う…宇宙?!」

「せかいがふあんてい。いくのかんたん。」

「なるほど…?で、そこに行ったらどうなるんだ?」

「そこに、おおきなほーるがある。それをこわせばせかいにじょうほうがあふれる。」

今度こそ理解して「なるほど」と言った。


「そういや、名前ってなんだ?」

少女は答えない。

「あー…ほら、名前がわかってれば連携が取りやすいだろ?」

少女は無言で進む。

「企業秘密?」

「そう。」

「そう言うことにしておくよ。あ、一応名乗っておくと、僕の名前は…」

「だれもきいてない。こたえなくていい。」

「わかった。」

少女はホールを消して進み、僕はその後を進む。

いつまで続くのだろうか。

この単調な作業だけで宇宙に辿り着ければいいのだが。


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