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勇者の塔  作者: 正十郎
19/30

第一九話 名に懸けて

~~ 勇者の塔でレオとアレンが別れた後まで巻き戻し ~~



レオは銀の階段を登り、行ってしまった。



その後、少々の時間を置いて、自分が階段を登る番になった。


2階に着くとタールさんという受付が出迎えてくれた。懐かしく故郷を思わせる顔立ちで豪快な人だった。


「事件を解決しろ」とだけの説明を聞いた後、早速試験開始が宣告され、うるさい町の中心に案内された。



開始と共にカネナリの赤に襲われ、迎撃態勢に入る。


状況を把握し、防衛側に有利な環境である事を知る。


幸いにして単独での行動であったため、音波を使った魔法で三半規管を麻痺させ、甲羅に籠らせた。


波関連の魔法は制御が難しく構築に時間がかかるのだが、多対一の魔獣大戦においては、効果が高いので重用している。


更に、水魔法でカネナリの真下の土を泥にして、即席の沼を作成し身動きを封じる。


沼に嵌った上、三半規管の麻痺した状態のカネナリはなにもできる事がなく、沼の淵からの一方的な全員攻撃で勝利した。




その後、危機を回避できた歓喜に包まれた町で、共に戦った守衛さん達から祭りへ誘われたが丁重にお断りした。


残念だけど、まだ「事件が解決されていないと思った」からだ。



確認しなければならない事は、なぜカネナリが単独で村を襲ったのか?であり、犯人は誰か?だ。


加えて、本来群れて生活するカネナリが単独で行動するには、何かしらの訳があるだろう。


その理由もだいたい想像がつくんだけどな。「カネナリ」だから。




~~~~~~ 三時間後 ~~~~~~~



深夜、闇に紛れて町を探索する。


宴の終わった町は静まり、明かりも所々にしかついていない。


目的の物を見つけるため、ある程度大きな家、または庭を持つ家に忍び込んで確認を繰り返す。


「これか?」


大きな庭に、シートに包まれた物体がある。


そっと近づき、中を確認する。


「正解。」


目的の物は見つけた。あとはこれを誰に伝えるかだ。


「だってここ市長の家だもんな・・・」


表札に市長って書いてある。自己顕示欲の塊か。昔いたなそんな奴。


もうだれも外を歩いていない。町を巡回する守衛がいるが、市長の息が掛かっているかもしれない。


「明日の朝、ちょっと聞き込みしてみよう。」


そういって、市長の家を見張る事ができる場所で仮眠をとった。


朝、それがまだある事を確認して市長の家から離れ、町で聞き込みを開始した。


「市長ってどうやって選ばれるのですか?」


「家系だな。生まれつきさ。」


対抗馬にチクるのも無理か。希望は無いが、聞くだけ聞いてみよう。


「市長より偉い人っているのでしょうか?」


「それは領主だな。昨日の騒ぎがあったから、もう市内にいるぜ。」


「そうですか!ありがとうございます。」


テストの都合って奴かなと考えつつ、領主が滞在している場所を聞く。


領主の泊まる宿には門番のような見張りがいた。鎧を着け姿勢正しく直立している。


「領主とお話ししたい。昨日の赤に襲われた件は、作為的に行われて、犯人がいると伝えてほしい。」


「本領主はそれを調査に来られておる。聞けば単独でカネナリが現れたとの事。申し伝えるのでしばし待て。」


そう言って見張りが宿の中に消える。暫くして、戻ってきた。


「聞くそうだ。中に入られるがよい。」


「ありがとうございます。」


そういって宿の中の一室に案内された。


そこには、目の下にクマを作った身なりのいい老人と、鎧を着けた若い部下が数名いた。纏っている空気が重々しい。


目配せのみで前置き無しに会話が始まった。


「話せ。」


「カネナリが単独で町を襲った理由は、カネナリの子を誘拐した物がいるからです。目的は金か町の壊滅か分かりません。」


市長の家で発見した、シートに包まれた物はカネナリの子供の死体だった。


「犯人は?」


「犯人は恐らく市長又は関係者です。」


「証拠は?」


「シーツに包まれた、カネナリの死体が家の庭にありました。サイズは小さかったので、幼体でしょう。市が開けば、即処分してしまうかもしれません。早急に確認下さい。」


「昨日町を襲ったカネナリではないのか?」


「町を襲ったカネナリならば、既に祭りで解体されていたはずです。それに何より赤ではありませんでした。」


「分かった。知らせに感謝する。真実であればこの者に褒美をとらせよ。」


領主は傍に待機している若い部下に、直ぐ確認するように指示を出した。


「畏まりました。すぐ確認して参ります。」


そう言ってその部下は確認に行った。が、すでにカネナリの子は処分されていたようだ。


苦い顔をして領主が呟く。


「証拠を隠滅したか?」


「昨日の赤いカネナリと一緒に売却されていないでしょうか?金銭が目的だった場合は、このタイミングが一番怪しまれないと思います。木を隠すなら森でしょう。」


暫く領主は意見を吟味した。他の可能性を模索しているらしい。僕の虚言である可能性もあるもんな。


「うむ、その線で調査せよ。商人を当たれ。金額が大きい取引だ、立ち会いもおろう。」


そういってカネナリを買い取った業者に問い詰めた所、市長から一匹余計に買い取った事を吐いたようだ。


一匹の相場が1000万である所、1800万の支払いがあった所を守衛に発見されており、言い逃れが出来なくなったらしい。


その後領主から感謝の言葉を頂き、仕官を進められ困っている所に、タールさんが迎えに来た。


「おつかれさん、帰るぞ。」

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