表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者の塔  作者: 正十郎
12/30

第一二話 不信任投票


「おちょくられている事は理解した。」


クロックはご立腹だ。


どうにか場を収めようと、俺は話題をそらす作戦に出た。


「そうだな。だがそろそろ休憩しないか?注意力も散漫になってきている。」


「いいだろう、一時間休憩だ。皆、それとこのリングだがエルビーに持っていてもらってもいいか?」


クロックが俺とルートに確認する。俺については特段異議は無い。


「いいぜ、エルビーが言わなかったら気が付かなかったしな。」


だが、ルートが異議を唱える。


「私はクロックがまとめて持っているべきだと思うのですが。」


「俺が全部持って、落とし穴落ちたらどうすんだ。皆、俺を追っかけてきてくれんのか?」


「そう言われればそうですね、結局最後は違う方法で決めるんですよね?」


「俺の分も合わせて、だな。」


「じゃあ文句はないですね。」


エルビーがリングを受け取り、腕に装着する。


「じゃ、とりあえず持っとくぜ。」



地下四階に降りる階段の前で休憩を取る。


警戒役を順番で回しながら、水分補給や簡易な武器の手入れを済ませ、各々楽な恰好で寛いでいた。


警戒役が一周した所で、最後に警戒役を務めた俺がクロックに話しかけに行く。


「手は回復したか?」


「ちょっとヒリヒリするが、なんとか武器は持てるな。」


「それはよかったな。名残惜しいが探索を再開する時間だ。」


「よし。じゃあ再開するか」


どうやらクロックの機嫌は底を打ったようだ。これなら問題ないだろう。


そう言って地下四階におりる。




~~~~~地下四階~~~~~




地下四階は全体が緑に発光したフロアだった。


「「「「・・・・・・・・」」」」


もう皆何も言わない。リングを隠した奴の笑い声が聞こえる。


「絶対見つけてやる。」


これは誰の声だっただろうか?



罠を避け、周囲を探索する。


周囲を探索しているとグリーンスライムに襲われ、戦闘する事になった。


通常であれば、斥候であるエルビーが魔物がいたら避けて通り回避するのだが、床が緑である上に発光しており、


えげつない罠に優先的に気を使っているため、エルビーの索敵から、漏れてしまったのだ。


グリーンスライム自体はハッキリって弱い。南国にしか生存しないそのスライムは、武器さえあれば一般人でも倒せる。


だが、グリーンスライムは特殊な毒を持っており、体液が体に着くと、神経がやられ、徐々に弱体化してしまう。


その毒をクロックが浴びてしまった。


「しまった!」


俺はクロックに駆け寄る。


「大丈夫か?!」


「むう・・・今は大丈夫だが、どの程度持つか分からないな。」


そう言って体の感覚を確かめながら、足の屈伸をしている。


解毒剤の有無を皆に確認するが、誰も持っていないようだ。


「まあ、グリーンの毒は食らったらすぐ死ぬものでもない。動ける内に地上に戻れるだろう」


そういって体調を判断しながら、これからどうするかを考えるという事で決定し、探索は続行になった。



結局、そのフロアでリングを見つける事はできなかった。


合計14時間が経過し、光時計の光が弱くなってきた。帰り道を考えたらあと探索できても7時間が限界だろう。



~~~~~地下五階~~~~~



地下五階におりる。地下五階は大きな一つの部屋で構成されていた。


その中央に大きな宝箱と小さい宝箱があった。


大きい宝箱の前には


・この中には4つのリングの隠し場所が記載されている紙が入っている。こちらの宝箱を開けたら、小さい宝箱は開けることができない。


小さい宝箱の前には


・この中にはリングが入っている。こちらの宝箱を開けたら、大きい宝箱は開けることができない。


と書かれた紙がそれぞれ丁寧に貼られている。


エルビーが宝箱を調べ、罠がないかを確認した後、皆に向かって話かけた。


「どうやらリングは4つ以上はあるみてえだな。」


ほっと胸をなで下ろす。全てうまく事が運べば、バトルロイヤルをやる必要はないようだ。


まだリングを手にしていないルートがクロックと会話している。


「全員合格するために大きい宝箱をあけるのが正解なのでしょうか?」


「それがいいだろう。場所さえ分かれば、余程無茶な場所に無い限りギリギリの時間で回収できるだろう。」


そういって、クロックが大きい宝箱に手をかけようとした。


「ちょっと待ってくれ。」


俺はクロックを止める。


「俺は小さい宝箱を開けるべきだと思う。」


「何故だ?」


だよな。リーダーとして、最もな反応だ。


「はっきり言って、この試練を考えた奴は、相当性格が悪いと思う。」


「そりゃお前に言われなくても分かる。」


「此処の深層は凄く危険な迷宮なんだろ?だから浅い階層での探索になるイメージを与えて、地下一階にリングなし。無駄に時間を費やした。地下二階では俺達をおちょくるように、スケルトンの頭にリングを刺してあった。」


「うむ」


クロックが頷く。此処までは納得しているようだ。


「地下三階のトラップはクロックの気持ちを鑑みて表現を避けよう。地下四階は全体が緑色に発光した中で緑色したもの探して、挙句にグリーンスライムだ。逆に地下四階が緑色に発光していたからアテストリングは緑色なんじゃないか?と思えるくらいに、今の俺は荒んでいる。」


「思い出したら腹が立ってきたな。で、何が言いたいんだ?」


物事は簡単だ。逆が正解だった場合、何が一番俺たちにとって精神的苦痛を与えるか考えろ。


「大きな宝箱を開けたら、三個しかリングが手に入らないってことだ。」


「もっと簡潔に言え。」


「4つのリングの隠し場所の内の一つに、小さい宝箱の中って書いてある気がしてならない。」


クロックは逡巡した後、みんなに意見を求める事にしたようだ。


「大いにあり得るな。じゃあ多数決で決めよう。いいと思う方で挙手してくれ。」


そういって皆を見回す。


大きな空箱を指さして話し始めた。


「大きい宝箱を開けたら、今俺達が持っているリングが2つに合わせてもう1つのリングが手に入るだろう。だが確実に手に入る小さな宝箱の中のリングは取れなくなってしまう。」


誰も手を上げない。


それを確認したクロックは、続けて小さな宝箱と指差して話始めた。


「小さな宝箱を開けたら、確実に1つリングは手に入るが、残りのリングの位置は分からない。」


3名が挙手。満場一致だった。試験作成者の不信任投票は満場一致で可決された。


「じゃあ小さな宝箱を開けるぞ。」


そういってクロックは小さな宝箱をあけ、リングを取り出した。


「このリングはレオが持っているべきだと思うがどうだ?」


そういってただ一人所持していないルートを見る。


「いいですよ。でも最後見つからなかったら、平等にチャンスを下さいね?」


「もちろんだ。」


これでリングは3つだ。残りあと一つ。残り時間は7時間。


「これからどうするかだが、皆意見はあるか?」


今後の方針について、クロックが皆の気持ちを確認している。俺は素直に自分の意見をいう事にした。


「俺は地上に向かって帰りながら、再探索するべきだと思う。もうリングは3つある。無理をして次のフロアに行くよりも、ここで折り返すべきだ。」


クロックの毒の事もある。肩で息をしている事から考えても、体調が万全でないのは明らかだ。


エルビーが意見を挟む。


「しかし、緑色に発光するリングを見逃す事は考え難いと思うのだが。」


「地下三階のようなケースもあるだろう。」


エルビーは少し考えた後、俺と同じ事を思いついたようだ。


「それもそうだが・・・クロックの体調はどうだ?」


「実はあまりよくない。このまま地下に降りた場合、帰りにお荷物になる可能性が高い。」


クロックもタイムオーバーを気にしているのだろう。加えて、皆17時間もダンジョンの中に潜って睡眠もしていない。


「地下に潜るよりも、地上に向かっていく方がセーフティか。」


エルビーは納得したようだ。


ルートが皆の意見を聞き、まとめてくれたようだ。


「各階層を1時間程度再確認して入口に戻るのはどうですか?」


誰からも、文句は無い回答だった。クロックが決断する。


「じゃあ、戻るぞ。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ