11.ムーンストーン
半年を超えた半年振りです。自分で書いた物を見直すことがどれだけ恥ずかしい物か自覚してきたところです。また半年くらい更新は…。
その晩はさすがに依頼者の下へ行くのも悪いと思い私は宿に戻り就寝した。
私たち人間は時々夢のことを知覚することがある。
「あ、これは夢じゃないか?」と。
知覚できる夢の中でリウィは1つの呪縛を受けていた。
アストラル体を見てしまったからである。
死者となった者、それも多数の死者の「生」に対する執着、執念、怒、呪の負の感情を見てしまったからである。
教会の高位神官にもなると自らの浄化の力でアストラル体を視認しても問題はないがただの人間にとっては害毒と言っても過言ではない物だ。
真っ暗な世界に立っている私はこの光景に既視感を覚え思い出す。
「嗚呼、またなのですか」
溜め息を付く暇もなく黒衣を羽織ったモノが私を刺す。
ヒュウウウウウウウ、ヒュウウウウウウウ、ヒュウウウウウウウ
ヒュウウウウウウウ、ヒュウウウウウウウ、ヒュウウウウウウウ
リウィの体に流れる血の音だ。しかしこれは現実ではない。加速度的に私の体に刺さっているコレが行っているだけのこと。
痛みはない。苦しみもない。ただ動けない。
自分の体からコレが刺さった場所から鳴る音だけがこの世界の音楽だ。
ヒュウウウウウウウ、ヒュウウウウウウウ、ヒュウウウウウウウ
ヒュウウウウウウウ、ヒュウウウウウウウ、ヒュウウウウウウウ
鳴り終えた時には意識が欠けはじめたころだ。
推定1年。私の精神は磨り減った。アストラル体を視認する代償。
私が生きる上での必要代償を彼らに支払った。
そうして視界が変わる。
「もう朝ですか」
肉体的には眠っていたが精神的には1年の拷問を終えた気分だった。
私は宿のご飯を断り日を浴びながら街外れの依頼主の元へ歩く。
「こんにちわ、依頼の物を確かにお届けに参りました」
「本当ですか!」
青年は嬉しさ半分悲しみ半分のなんともいえない顔で悦んだ。
リウィは懐からムーンストーンのネックレスが入っている布の袋を青年に渡し検めてもらう。
嗚咽を発す青年を視界に入れず一言発し歩き始めた。
「ムーンストーンとは愛の力と言う意味が込められているそうですよ」
街に戻りカウンターの女性に話しかけた。
「依頼を達成してきました」
「すぐにできるなんて…彼も良い人に出会ったわね。私は正直なことを言うと放棄するかと思ったわ。」
驚きながらリウィを横目に話しながらカードを確認する。
「偶然ですよ」
そう一言答え水晶を見る。
確認を取ったのか女性は何かを書き此方にカードと報酬を渡してきた。
「依頼完了の確認をしました。御疲れ様でした。此方が報酬となります」
「ありがとう」
両方懐に入れギルドを後にして宿へ向かう。
部屋に戻ったリウィは少し考え頭の中にいる1人の騎士に声をかける。
「私のしたいことは終わりましたが何かされたいことはありますか?」
「ない」
「そうですか」
いつもの応答をしリウィはベットに横になる、明日はどうしましょうか。




