第157話 いちご狩りといも掘り
バカンス島。
「行こう姫姉ちゃん!」
「ええ! 行きましょうギュルヴィ!」
お帽子被っていちご狩りにやって来たのは鱗族のギュルヴィくんとネフェティ姫。
「碩学島のようにガゼボはあるかな?」
「フルーツ狩りコーナーの休憩場所はあの建物の中にテーブルと椅子があるよ」
「距離があるね」
「ギュルヴィたちの近くでガゼボみたいな休憩所はないよ」
トイレはあります。
あと大きな木。
日陰を求めてるひと用に大きな木です。ミラクル水筒とかは持参してください。
「ファヌアスもいちご狩りに参加しなよ」
「……眠いんだよ」
「また徹夜したの!?」
「大きな声はやめておくれ。頭に響く」
「もうっ! ミラクルくだものグミはちゃんと食べた?」
「いつも食べているから問題ないよ」
「ならいいけど徹夜は駄目だよ」
ファヌアス王と性別不明の金髪ロングヘアーのこじらせた妖精くん。
こじらせた妖精くんってプンプンしたりするんだ。
ふーん……。
「怒らないでおくれ」
「怒ってないよ。心配なだけだよ……」
「そうかい?」
「うっうん。怒るのはファヌアスでしょ」
「私は怒りはしないよ。叱るだけだよ」
「んんー、そうだよね」
ほっぺた赤くしてもじもじしてるこじらせた妖精くん。
さらに仲良くなってますね。なんかイチャイチャしてる感がありますわ。
オフクロさんはこじらせた妖精くんにプンプン心配されたことなんてないですけど……。
別にいいですけど……。
あっ、魔毒族も来ました。
「聖地は今日もいいお天気ね」
「そうですね」
「た、楽しくない?」
「いえいえ。フルーツ狩りははじめてなんですよ。いも掘りもしたことがありませんが」
「紫のカノンが?」
「そうだったの?」
おお。
インドア派のお約束の日でしたか。
魔毒国専属紫のカノンが魔毒族の王族たちに囲まれてます。
魔毒族を見守っていた方がオフクロさんの健康にいいな。
「私たちと一緒ね」
「そうですね」
「楽しみね!」
紫のカノン。一歩部屋から出れば何だかんだ楽しむタイプではあるんだよね。
最初の一歩はめちゃくちゃ重いし、毎日は無理だけど。
フルーツ狩りといも掘りの場所は国別ではありませんが、広大です。
なので――。
「……小さな、電車?」
「移動用の乗り物、トロッココースターですよ」
「トロッココースター」
来場グループごとに各地に振り分けられる感じになります。
魔毒族は人数が多いので一番長い二十人用のトロッココースターが来ました。四人乗り五両編成。
ご招待券は四名さまですが魔毒族で一グループ。フルーツ狩りグループといも掘りグループは別れるので、二グループですね。
トロッココースターはあと何台か来るでしょう。
あくまでも移動用なので、トロッココースターはゆっくり走ります。
バカンス島は観光地的な島でもあるので、こうした移動中でもちょっとした楽しみがあるみたいな。楽しんでくれたらいいなあ、と設置しました。
「王! これっ俺たちどこに乗っていいの?」
魔毒族の子どもたちも来てます。
トロッココースターにうきうきしてるのが伝わってきて女神社長もうれしいです。
「はーい! 魔毒族のみなさん注目ー! フルーツ狩りといも掘りについて説明をするよー!」
案内係の妖精ちゃんです。
フルーツ狩りといも掘りでグループ分けや、トロッココースターなどの注意事項。
「ジャム作りやりたいわ!」
「そうだねなっちゃん」
いちご狩りのあと、希望者はジャム作り体験。
いも掘りはポテチ作り体験が出来ます。
「俺、いちご狩りじゃなくていも掘りしてポテトチップス作りがしたいかも」
「もう一度、グループを考えるか」
魔毒族、わいわいといちご狩り組といも掘り組を再編成してます。
「僕はお写真係だよ! 僕が撮ったお写真は帰りに展示コーナーに表示するから、気に入ったお写真があったらぜひ購入してね!」
「お写真係が撮ったお写真はいちご狩りといも掘り記念のフレームだよ! 記念のアルバムもあるよー!」
「「「おお」」」
「それじゃあ魔毒族のみんなー! グループごとにトロッココースターに乗って出発ー!」
ご招待券は集合写真一枚はプレゼント。
今回は福引きの四名様ご招待券なので、四名ずつ撮影で一枚はプレゼントです。
はい。買ってね!
お写真係いっぱい撮るから!
そんなわけでカタタンカタタン。
「うわあー!」
「空飛ぶ電車と違うねー」
「楽しい!」
広大な畑の中を走るトロッココースター。
空飛ぶ電車とは音から違うよね。
カタタンカタタンと伝わる振動。
子どもたちがキャッキャしてます。
「王。これ国に買えないのか?」
「第二の魔毒国に欲しいよ」
大人たちも気に入ってくれてますね!
「待て。空飛ぶ電車は買ったら一番高いと紫のカノンが言っていただろう? トロッココースターも高いはずだ」
慎重なお声のレドム王子。
確かにそう。
選べるアイテムの施設はひとつ五千万クルですが、空飛ぶ電車は違います。
レドム王子は紫のカノンに聞きたそうですが、紫のカノンはナディ奥さまたちと別のトロッココースターに乗車中なので聞けません。
アンフィ王子は子どもたちと乗っているので、おじいちゃん王たちの会話は聞こえてませんね。
「レドムが言うこともわかるが、ワシ、トロッココースター欲しい」
「だろう王? このトロッココースターはいいものだ」
「この揺れがいいよ」
カタタンカタタン。
おじいちゃん王と民たちがとても欲しいお顔をしてます。
「わかるが、絶対高いぞ王。ミラクル家電や学校を買うのが先だろう」
レドム王子も欲しくはあるようだ。
他にも欲しいものがたくさんあるから困ってますね。
「みんなで頑張る」
もうトロッココースターも欲しいおじいちゃん王が提案。
「頑張ろう」
「頑張って買おう」
王に同意の民たち。
「……頑張るか。いいよなトロッココースター」
レドム王子も頑張ることに決定したみたいです。
おじいちゃん王たちがうんうんと何度も深く頷いてます。
「みんなー! こっち向いてー!」
パシャリ。
お写真係はみんなの周りをふよふよ飛びながら撮影してます。
聖地は稼げる金額も結構高額ですが、出ていくお金も高額なのだ。
そんなお話をしていたらカタタンカタタン到着です。
「みんなゆっくり気をつけておりてねー!」
「忘れ物にも注意だよー!」
「「「はーい」」」
なんというか、修学旅行みがありますな。
社会見学の方が近いかな?
「おおっ!」
「抜けたっ!」
「いもがいっぱいだ!」
いも掘り組は軍手をしてどっこいしょー!
「ポテトチップスいっぱい作れる!」
「レストランに持っていけばフライドポテトにハッシュドポテト、ポテトサラダにポテトグラタン! コロッケにじゃがバターも出来るよー!」
「うわあっ! みんなもっと頑張ろっ!」
「私ハッシュドポテトいっぱい食べたい!」
いもで作れるメニューを聞いてテンション上がってる子どもたち。
今はいも掘りですが、秋冬はさつまいも掘りになります。
「いもって凄いな」
「ああ。いもは美味い」
「一度でこんなにいもがついてるよ!」
「見てよ王! 俺たちのいも!」
「でかいな! よくやった!」
「でしょー!」
へへっと得意気な子どもたち。
おじいちゃん王が褒めてます。
ほっぺたに土がついてる。
いも掘り楽しいよね。
ナディ奥さまたちは紫のカノンも一緒にいちご狩り。
「美味しい」
「美味しいねなっちゃん」
「見てこのいちご」
「大きいね!」
うん。いちご美味しいよね。
いちご狩りはその場で食べてもいいようにしてるんだけど……。
ナディ奥さまたち、ずっと食べてる。
いちご狩り用のカゴが空っぽです。
「……このままだと持ち帰り用のいちごもジャム用のいちごもありませんよ?」
「「えっ!?」」
気づいてた紫のカノンが注意しました。
「こ、ここここれは駄目だわっ! 王のおばあちゃん!」
「みんな! もう食べちゃ駄目だ!」
アタフタ。
いちご狩りはいも掘りと違って生で食べられるからね。
「えっ?」
「なんで?」
「いちご美味しいよ?」
キョトンとする子どもたち。大人たちもキョトンとしてます。
「ジャムとお土産よ!」
「みんなカゴをいっぱいにしなきゃ!」
「「「あ……」」」
ユノ姫とリノ姫も大慌て。
紫のカノン以外、全員空っぽです。
「つい食べちゃう!」
「我慢よ我慢。もう食べちゃ駄目よ。ゼノムがお留守番しなくなってしまうわ」
えー……。魔毒族の王族三男のレドム王子。確かにいませんね……。
えー……、王族の結界ではなく、赤ちゃんや小さい子の子守り役でお留守番みたいです。
「どれだけ取ればお土産になると思う?」
「ゼノムが文句言わないくらいよ」
「お土産のいちごがひとり十個じゃ私でも怒るわ。たくさんよ」
「……ひとり五十個は食べれるように頑張るよ! みんなもう食べちゃ駄目だよ!」
おぅ。
王のおばあちゃんのいちごお土産計画、お土産にひとり五十個。
王のおばあちゃんたちは現時点でひとり百個以上いちごを食べてます。
フルーツ狩りといも掘りの畑は、カレンダーの木と違い、翌日にまた作物が出来る畑です。
なので、魔毒族のいちご狩り組に取り尽くされた畑ももうだいぶ広がっています。
「みんな移動するわよ!」
トロッココースターが大活躍。
カタタンカタタンといちごを求めて大移動なナディ奥さまたち。
鱗族のギュルヴィくんたちがいちご狩りしてる場所とはまだ離れてるけど……。
これ、他の国が来たらマズいな?
みんなの大食いっぷりを甘く見てた女神社長反省です。
対策をしなければ――。
「翌日とか言ってる場合じゃなかった」
女神社長は魔毒族がいなくなったいちご畑に神界から女神パワー。
「よし」
これで大丈夫!
翌日じゃなくて一時間に変更しました。
「いちご! いちご!」
「いっぱい取りましょうね」
「うん!」
鉱石族も来ました。
専属の灰色のカノンが保育士してます。
よく考えればいちご狩りといも掘りのお客さん増えて当然だよね。
布の同士のお喋りは王族同士の情報交換。
ロボットくんの映画鑑賞が落ち着いたし各国いっせいに動く可能性が高かった。
女神社長反省である。




