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第156話 梅雨ロボットくんの映画


 現在地上は大雨。

 聖地以外、梅雨の季節です。

 ジェフクタールが地球と違うところでもありますが、ジェフクタールは地球のように球ではないのでどの種族の国も季節は一緒。時差もない。

 聖地はいつでも晴れです。


 つまりは、コインランドリーが大盛況!

 みんなお洗濯物をミラクル鞄に入れて持ってきたりしています。

 コインランドリー経験者の人族獣族魔毒族竜人族が真っ先に利用しはじめました。

 そして魔毒族竜人族の口コミを聞いた他の種族たちもコインランドリーを使うようになってます。


 で、ミラクル家電店で魔毒族の王のおじいちゃんとレドム王子がミラクル洗濯機コーナーの前でうんうんと唸っています。


「女神さまのミラクル洗濯機があるんだ。国にコインランドリー店を買う方がいいと俺も思うが、でもなあ、ミラクル乾燥機だけのやつをひとつ……」

「そうだなあ……ひとつ……」


 選べるアイテムにコインランドリー店もありました。

 最近、聖地のコインランドリー店が混んでるんだよね。

 乾燥は洗濯物を入れたらササッと乾くミラクルコインランドリーなんだけど、一番小さなミラクル乾燥機で一回三百クル。

 洗濯から乾燥までコースだともちろんお値段上がります。

 容量オーバーだと警告音も鳴るコインランドリー店なのだ。


 魔毒族は仮設住宅のときのコインランドリーが身近にある生活が懐かしいのもあるみたいなんですよね。

 主な原因はとある獣人国三人組の会話を、聖地のコインランドリー店で聞いてしまったことでもありますが――。


『聖地のコインランドリー店もいいけど、やっぱり国にも欲しいよなあ』

『国にコインランドリー店ならたまたま来たカノンと一緒に畳めるもんね。やっぱりカノンと一緒が楽しいよ』

『そうだよね。父上たちももう考えてるみたいだったよ。買いたいものが多いからコインランドリー店は来年になるかもしれないけど、今はミラクル家電店で大きなミラクル乾燥機をひとつ買うかふたつ買うかどうしようかって』

『そうなのか!』

『それならカノンとまた一緒に畳めるよね!』

『うん。コインランドリー室を作って、カノンにたまたま来てもらえるように頑張ろ』


 キャッキャ。

 獣人国のカノンたちは新刊の資料的な意味でもよくお手伝いをしています。

 まあ、獣人国の専属カノンたちは単純に人族獣族と距離が近いんだよね。

 天井や壁生活満喫中だし、カノンの家にいるよりお城にいたりする方が多い。

 ただね。

 聖地のコインランドリー店で洗濯物を乾かすと、カノンたちが“たまたま通りがかった”がないから獣人国の皆さんは困ってるわけです。

 こういうところは遠慮するというか、二の足を踏むというか。

 専属のカノンたちに『手伝って』と言えない雰囲気が獣人国にはあります。


 いつも、獣人国の専属のカノンたちはあくまで“たまたま通りがかった”なんですよ。

 あくまでも、たまたま通りがかって天井や壁になってるんです。

 お手伝いや天井や壁になるお約束を誰かとするとカノンたちのスケジュールが大変なことになるし、これで上手くいってるんだよね。

 こういう暗黙の了解みたいなルールが獣人国にはあります。


 そういうお話をとある獣人国三人組がコインランドリー店でキャッキャとしてたんです。

 ギリィ! と専属のカノンとの仲良しエピソードが聞こえてきて歯ぎしりするようなお顔の魔毒族でした。


 魔毒国専属の紫のカノンは逃げ回ってカノンの家に籠城してます。はい。

 一応、一ヶ月に一回くらいは一緒に聖地に行く予定らしいです。

 一緒に洗濯物を畳むとかは、考えていないでしょう。魔毒族が仮設住宅暮らしのあいだもそんな光景は見てませんし。

 でもまあ、魔毒族のおじいちゃん王とレドム王子は獣族のライ王子たちにライバル心のようなものがあり、王のおばあちゃんとナディ奥さまはライ王子たちに会えば専属のカノンたちの情報を聞き出したりと、ね。

 獣人国では専属のカノンたちが言い聞かせているので、ライ王子たちはカノンたちとのほのぼの話しかしませんが。


 正直、人選ミスった感がある女神です。

 でもさあ、最初のころの魔毒族ってさあ、ひどい生活環境だし遠慮ばっかりしてたし泣いてたし、ゆったりクラシック流しながらコレクションを愛でる紫のカノンの穏やかさがいいと思ったんだよ。

 こんなに魔毒族が専属のカノンと仲良く一緒に行動したがるとは思わなかったの。

 魔毒国ではカレンダーの木から日々さくらんぼを収穫してるんですが、カレンダーの木はカノンの家の庭にででんとあるんですよ。

 獣人国では専属のカノンたちがたまたま通りがかってお手伝いしますよと一緒に収穫したりもしてるんです。

 そういうお話を獣人国三人組から聞くとね、王のおばあちゃんやナディ奥さまは『なんで? なんで紫のカノンは私たちと仲良くしてくれないの?』と悪循環になるわけです。


 ですが! ここで悩める魔毒族の前に現れたのが鱗族のギュルヴィくんですよ。


『おれの国のカノンはカノンの家から滅多に出てこないよ』


 と、ちょっぴり照れながら言ってました。

 それでね、魔毒族のおじいちゃん王たちも紫のカノンだけじゃないと安心はしたみたいなんですよ。

 物産店でお友だちのカノンと仲良くキャッキャも出来る、けれども、やっぱり専属のカノンとも! って思うみたいです。

 そんな情報交換もしつつな数ヶ月だったんですけど。現在、おじいちゃん王とレドム王子がミラクル家電店にいるということは諦めてはいないんでしょうね。


「毎日雨だ。紫のカノンも洗濯物に困ってるだろう。なあレドム」

「そうだな。これは必要だろう。紫のカノンは聖地に行きたがらないからな」


 魔毒族がミラクル乾燥機を買う理由になってますよね。

 頑張ってください紫のカノン。

 聖地に行くのが嫌だということは伝わってるみたいです。

 ひとりお部屋でまったり過ごすのが好き、ということが魔毒族には理解出来ないみたいなんですよ。

 魔毒族は紫のカノンと何か一緒にしてキャッキャしたいんだよ、出来れば毎日、たぶん。

 一ヶ月に一回一緒に聖地に行くお約束では満足してない。

 インドア派とアウトドア派の違いもいつの日かきっと理解してくれる、といいなとオフクロさんは思います。


 さてさて、カッパの季節でもある梅雨!


「手前の景品、誰か欲しい?」

「俺は奥の方のカッパがいいな」

「私! 先に取るよ」


 チャリンチャリン。

 お財布を持った小学校高学年生くらいの魔毒族の子どもたちが、ゲームセンターでわいわいガヤガヤ。

 梅雨なので、クレーンゲームの景品にカッパや折りたたみ傘などが追加されてます。


 みんな、新しい聖地に慣れて子どもたちだけでの行動も増えてます。どの種族もだいたい中学生くらいの子がリーダーをしてますね。

 子どもたちは基本的にグループ行動。

 迷子にならないように等、聖地からの注意とお願いを守ってくれてます。

 で、魔毒族。

 全員ゲームセンター荒らしで救世主なんですよ。

 やっぱり魔毒族は種族的にクレーンゲームと相性がいいんですわ。


 ちなみに鱗族のギュルヴィくんも森の葉族のシャラルファラム前女王も、魔毒族のおじいちゃん王たちに女神クッションなど救出してもらってます。魔毒族は少ない回数でGETしますからね。


 女神クッションと特大白イルカを見せながら興奮気味のギュルヴィくんにその話を聞いたファヌアス王が驚いてました。

 魔毒族が一切お酒を飲まないことには、もっと驚いてました。GETのお礼にお酒を渡そうとしたら断られましてね。

 お酒を断られたことがよっぽど衝撃だったようで、混乱しつつ別のものを渡してました。

 おじいちゃん王たちは驚いてるファヌアス王が気にいったようで「ワシらはこのまま一生酒飲まん」と笑ってました。鉱石族が「酒! 酒をください!」「今日の稼ぎで買えるだけ!」と、散財する現場を見てしまったことも、関係があると女神社長は思います。はい。


「助けて魔毒族の子ー!」

「取れないよー!」

「ちょっと待って鉱石族音色族。先にあのカッパを取らせて」


 鉱石族と音色族の子どもたちが魔毒族の子どもたちにさっそく救いを求めてます。

 間違いなく鉱石族のゼガロフ王や音色族のレイガ王が『ゲームセンターの景品が取れないときは魔毒族だ』と言っているのでしょう。

 鉱石族も魔毒族にお世話になってましたから。

 鉱石族は器用ですし、コツをつかめば上達は早い感じです。


「待つよー。あのロボットくんのカッパ、俺たち絶対欲しくて」

「俺たちもだよ。ロボットちゃんのカッパって聞いてみんなで来たんだ。ロボットちゃんの映画もう見た?」

「俺たちは小さい子からだから俺たちはまだなんだ。またお母さんが弟と一緒に行っちゃったんだよ」

「俺たちもだよ。保護者は大人じゃないと! ってこういうときばっかりさあ。俺だって面倒みれるのに」


 梅雨! 公開!

 ロボットくんの梅雨をテーマにした映画が公開中です!

 魔毒族がみんな“ちゃん”付けするのでロボットちゃんも出演中です。

 ロボット“くん”だよ! と他族と喧嘩になると困るので。魔毒族にも他族に誤解されちゃうかも的なお話は紫のカノンがしてます。

 こうした交流の輪が、ゲームセンターを中心に子どもたちに広がってるんです。


「何回か頑張ったけど、つるんと滑って落ちちゃうんだ。どうやったら取れるかな?」

「あー、これきっちり狙わないと取れないね」

「ちょっと難易度高めなんだと思う」


 魔毒族の子どもたちは小学校低学年くらいの子でもクレーンゲームが上手なんですよ。


「次は僕たちに教えてくれないかな」

「いいよ。人族はどの景品を狙ってるの? ロボットちゃん?」

「うん。妹にあげたいんだ」


 人族獣族の子どもたちとも、なんです。

 大人よりも子どもたちの方が仲良くなってるんですよ。これには女神社長も、うれしくて涙目ですわ。

 子どもたちの世代が大人になったときには、と明るい未来が想像出来ますのでね。

 ゲームセンターで交流が増えて、ファンタジーダンジョンの退場ルームでも話してる姿を見かけるようになりました。


「ブラウンのカッパないなあ」

「秘密戦隊? 秘密少女?」

「どっちも」


 フッフッフ。

 ロボットくんの映画の最後に秘密戦隊と秘密少女の短い映画も流してます! フクエルには内緒だよってね。そこは人魚国竜人国うまく対応してます。

 夏のお面屋台に向けて、秘密戦隊と秘密少女の動画もガンガン流してるんです!

 いい感じに大人気。

 魔毒族には罠攻撃をするブラウンが一番人気で、鉱石族は元気っ子なゴールド。音色族は結構バラバラ。

 音色族の王族は金髪でもあるのでゴールドも人気ですが、みんな髪色バラバラな音色族は箱推しっぽい雰囲気もありますね。

 人族も結構バラバラかなあ。獣族は熱血レッドが人気。

 ブラックマジカルちゃんはどの種族にも大人気です。


「衣料品店にあるよ」

「えっ? そうなのっ?」

「秘密戦隊コーナーも出来てたよ」

「傘もタオルもあった」

「うわっ! 買っていいか王に聞かなきゃ!」


 音色族はさすがにこういう情報は早いですね。

 きっともう保管しているのでしょう。


「駄菓子屋さんにもシール付きであったよー」

「えっ!」

「ブラウンのシールも!?」

「俺出たよブラウンのシール」

「うわっいいなあ。俺も絶対欲しい……」

「秘密のシールもあるんだって」


 図書館や魔法書店に通う人族も情報が早い。

 パッケージにシークレットのことは書いてありますが、それよりも本の方がもうちょっと詳しく書いてます。


「秘密のシール?」

「僕たちまだ誰も秘密のシールは出てないんだよ。だからどんなシールなのかはわからないんだ。鉱石族と音色族はどう?」

「出てないよ」

「俺たちもまだだよ……」

「誰か秘密のシール出たら見せて」


 シークレットと秘密戦隊、秘密少女。

 相性ばつぐんだと思いませんか?

 女神社長は相性ばつぐんだと思っています、のでね。

 シークレット枠があります。

 シール目的でウエハースはゴミ箱にぽいにはならないジェフクタール人ですが、ブームが少しでも長く続くようにひとり一日何個まで、という制限付きで販売中です。


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