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大絶叫したアーロン殿下は、公爵令嬢との今の関係を否定したばかりか、前世の話も否定した。


私は浮気なんかしていない

ヴァイオレット一筋だった

あの女はただのストーカーだ

と必死に言葉を並べてきた。


力いっぱい否定するアーロン殿下は、嘘を言っているようには到底見えず

あたしたちは過去の話から、現在の話まで、ぶっちゃけてよく話し合った。


よくよく話を聞いてみると、現在、いつもカロライン ウィンバリー公爵令嬢が近くに居るように見えていたけれど、それは側近候補のディラン ウィンバリー公爵子息の妹だからなんだって!

休み時間とか、常にディランに会いに来てるんだって

ディランに会いに来ているって言われれば、アーロン殿下も止めることができなくて、いつもそばにいるようなかんじになってたんだって。

好きでもないし、恋人でもないし、婚約の予定もないんだって!!


衝撃の事実…


そして、そして、もっと衝撃なのは!!!

前世、あの彼女とは恋人同士でもなんでもなかったんだって!!!


彼女の両親が地元の有力者であるリンドリー男爵と縁戚になりたくて、二人をくっつけようと熱心だったんだって!!

それで彼女も美男子だったかつてのソレイユ様に熱烈にアタックしていたらしく、いつもソレイユ様につきまとっていたので、彼女と付き合ってるって周りはみんな思っていたみたい!

そして、あの友人の男の子たちにも、自分と彼は付き合ってる、恋人同士だって嘘ついてたみたい

なまじ前世の彼女はすごく美人で、儚げな印象だったからそんな嘘をついているとは誰も思わなかったみたい。

事実は、いつも付きまとうしつこいただのストーカー女だったんだって!!!


嘘でしょ?

彼の葬儀で、ただでさえ、最愛の彼との別れで辛かったあたしに酷い追い打ちをかけて、メッタメタにしてくれたのに、あれが全部、彼女の虚言だったなんて~~~~~~!!

あのあと、人知れず彼を偲んで、でも、彼のお墓にも参れず、必死に耐えて過ごした数十年…

そして、今度こそ、遠く離れた地で、出会わずにいたいと願っていた健気なあたしの涙の数々を…


返せ~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!



仕切り直してもう一度あたしは問いかけた。


「じゃあさ、ソレイユ様は、本当に嫌々結婚したんじゃなかったの?」


「お前には私が嫌々結婚するような男に見えたのか?」


ちょっと険しい顔でそう返されて、あたしはムッとした。


「だって、エイベル侯爵家からの縁談なんて、あの時のあなたには断ることなんてできないでしょ」


「確かに、あの時の男爵家には、断ることなんてできなかっただろう

でも、ヴァイオレットといた数年間、お前には、私が不幸に見えたか?

お前といて、嫌そうだと思ったか?」


瞳を覗き込まれて、たじろいでしまう。


「……ううん、思わなかった。

だって、あなたはいつも優しかったし、愛してくれていると思っていたの

だから、葬儀で、真実を聞かされて、すごくショックで…最初は信じられなくて…

すごく悲しかった」


そう返すと、アーロン殿下は真顔でそれを否定する。


「真実もなにも、そんな事実はない

侯爵家からの打診で結婚したのは事実だけど、ソレイユはすぐにヴァイオレットのことを好きになったよ

あんなふうに、病気で死ななければ、ずっと一生そばに居て、ヴァイオレットを愛し続けたいと思っていたよ?」


優しくそう言われると、また涙腺が壊れてきた。


「ソレイユ様、ソレイユ様、ごめ、ごめんなさい。

疑ってごめん、ごめんなさい」


あたしは、アーロン殿下の高級な服をガシッと掴んでびしょびしょにするまでしがみついて泣いてしまった。


「もういいから わかったから お前の話はわかった

そう思いこまされたんだ。お前がそう思ってしまうのは仕方がない。

ソレイユが死んでから数十年も、いや、現世に生まれ変わってからも辛い思いをさせて悪かった。

これからは、私が守るから

だから結婚しよう」


そう言って、頬を撫でられた。


「ん?

えっと…あの…今、結婚しようって言った?」


驚いて涙が引っ込んだ。

態勢を立て直して、アーロン殿下を見た。


「ああ 何がおかしい?

お前ともう一度結婚して、今度こそ添い遂げたいってのが、私の前世からの夢だぞ?

これ以上、離れてるなんてがまんならん

いますぐ一緒に暮らしたいぐらいだ」


にっこり笑ってそういうアーロン殿下


ちょっと何言ってんのかわかんない。


「あ、あの、その、アーロン殿下のお気持ちはうれしいんだけど、実際無理だよね?」


あははとひきつった笑いを返すしかない。


「ハア!?なんで無理なのだ。 

私はお前のことを、今も変わらず愛している!リリーナは違うのか!?」


そんなこと言われても困る。

好きだけど、ついさっきまで存在を知られないようにしようと思ってたのに

結婚とか意味がわからない。


「えっと、あの、好きだよ?

もちろん、あたしだって…

でも、アーロン殿下は王子様でしょ?

あたしはただの冴えないパン屋の娘だよ?

身分違いもいいとこじゃん。結婚なんかできるわけないでしょ?」


「何言ってるのだ、前世、ソレイユとヴァイオレットだってかなりの身分の差があったんだ

ソレイユがどれだけ逆玉だとイヤミ言われたか知らないのか?」


それを言われるとツライ。

前世のヴァイオレットはソレイユ様に一目ぼれしてめちゃくちゃ無茶を言って結婚にこぎつけたからな。

親戚とかうるさかった。


「あ~~~~~ そうだよね~ 言われただろうね~あたしの耳にまでは当然入ってこなかったけどさ」


「私達はきっと身分差があるっていう運命なんだろう。

でも、前世は、エイベル侯爵家が、ソレイユを強く望んでくれたから私達は結婚できたんだろ?

今生だって同じだ。王家が強くお前を望めば叶う

必ず嫁に来てもらうから、覚悟しとけ」


自信満々にアーロン殿下はそういうけど、あたしは全くそうは思わない。

今のあたしは、ただのパン屋の娘のリリーナだ。

悪いけど、世間知らずだったお嬢様はもういないのだ。

世の中ってものを十分に知っている。


「え~~~~~~~?無理だと思うけどな~~~

アーロン殿下、自分の立場わかってる?あの頃とは違うよ~?

侯爵令嬢と男爵の三男っていうのと

王子様とパン屋の娘じゃハードルの高さが全然違うと思うけど」


わがままな子供をちょっとバカにするようにそう言ったのに、アーロン殿下は全然譲らない。


「そんなの関係ない

私とお前は結婚するって前世から決まってるんだから 覆らないんだ

よし、善は急げだ。今から王宮へ連れて帰るぞ」


「は!?む、無理!!そんなこと突然言われても!!」


「いいから!!来い!」


そう言ってアーロン殿下に再び引っ張られて外へ連れ出され、今度は馬車に押し込まれた。

あたしの意志などお構いなしに、馬車は出発し、ほどなくして学園の近くにある王宮へとたどり着いた。


なんの前触れもなく庶民の娘を連れて帰って嫁にしたいなんて言い出したら、王様も王妃様もめちゃくちゃびっくりするし怒るに決まってるよ~~~~~

どうしよう~~~~~


って、心配していましたが、あっさり解決いたしました☆


なんと、王様と王妃様は、かつて、あたしの両親だった、エイベル侯爵様と侯爵夫人だったのです!!

一目見た瞬間、叫ばれてしまいました!


「ヴァイオレット!!」

って…


あたしも、顔を見て、思わず、


「お父様!お母様!!」


って叫んじゃって駆けつけて3人再会を喜んで抱き合ってしまいました。


王様も王妃様もアーロン殿下も、みんな前世の記憶を持っていたんですが、そんなおかしなこと言いだせるわけもなく、それぞれがそれぞれに胸に秘めていたままだったそうです。

そこへ、かつての娘、ワタクシ、ヴァイオレットの登場で、お互い 

『あんたも覚えてんの!?』てなかんじに告白しあうことになったとサ




そういうわけで、身分差問題もあっさり片付き…と行きたいところだけど、やっぱりそう簡単にはいかなかった。

王と王妃と本人の王子はオッケーだからって世の貴族たちが簡単に了承するわけないよね。

そのへんはまあ、学園を首席で卒業したり、光の魔力が使えるようになったりとか、辺境の地に出た魔物をアーロン殿下と退治に行ったりとか、紆余曲折ありまして気が付けば聖女とか呼ばれて

色々な功績をたたえてヴォルフスブルク公爵家に養子にしてもらったりと、なんやかんやを経て、やっと今日、お嫁に行きます。


元パン屋の娘が王子殿下と結婚すると国中は大騒ぎ


現世のあたしはただの庶民だけど、前世はお嬢様だったんだから、王家に嫁いでもたぶん、なんとかやっていけると思う。

なにより、今度こそ、二人長生きして幸せに暮らしていきたい。



お待たせ、ソレイユ様

やっと来たよ?

今度こそ、ずっとずっと、おじいちゃんとおばあちゃんになっても、孫とひ孫に囲まれても、ずっと一緒にいて、愛し、愛され、幸せになろうね?

そして、最後は、絶対、今度こそ一緒のお墓に入ろうね?


ああ そして、その次の、来世も、また会おう 必ず


ええ 必ず




これで終わりです。

ツッコミどころ多かったと思いますが、お見逃し下さい。

お付き合いいただきありがとうございました。



追記

申し訳ないですが、このお話の続きを書く予定はないです。(消化不良になった方、申し訳ないです)

軽い説明を活動報告に載せましたので、気になる方は(期待しないで)読んでください。

よろしくお願いします。



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― 新着の感想 ―
[良い点] ハッピーエンドで良かった! [気になる点] ストーカー女のギャフンも読みたかった。
2022/01/18 15:42 退会済み
管理
[良い点] 程よい糖分 [一言] 5話だけはものすごい走り気味でしたが、それ以外は良かったと思います。
[気になる点] ・句点が無いところが度々ある。 ・心中を描写しているのかもしれないけれど、変なところで改行がある。 ・感情が高ぶってることを強調したいことはわかるけれど、「~だって。(!)」が連続して…
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