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精霊武器の姉妹




 宿に戻ってきたカル達は、ムラサメとネネを加え、今後の行動について話し合う。

 カルはクリスに情報を聞きたかったが、まだ戻っていなかった。

 部屋に集まった皆に向かってカルは話し始める。


 「皆、斎王様から今回の件とは別に、動きがあるかも知れないことを聞いたオーリーさんも、独自で調べてくれているはずだ。僕らは現状、情報を待つしかないけど、何か分かり次第行動する。こんな感じでどうかな?」

 「うん、私はそれでいいと思う」

 「そうだな、それまでは待機している方がいいかも知れぬ」


 セシルとブリトニーの後にヨウが話す。


 「あの…それでしたら、一度アマミの里へ戻りませんか?…私は叔母上の言った神社を調べてみたいのです」

 「うん、そうだね。僕も気になっていた」

 「では、タンゴに戻り、神社を調べましょう。私も叔母上のことを報告したいですし」


 ムラサメが声をかける。


 「ヨウ?お主は龍神の神子か?」

 「はい、私の家は代々龍神様を祀る神職です」

 「なるほど、それではもしや、あのオーリーとは龍なのか?」

 「はい、オロチ様は我等が祀る龍神様です」

 「ふふふ…お前達は本当に面白いのう…間近でドラゴンに会える事も不思議じゃが、友のように話しておるとは…」

 「その…それも僕の師匠の関係で」

 「そうであったな、主は龍王の弟子じゃったのう」

 「はい、でもヨウに会ったのは偶然です」

 「カルよ、偶然ではなく必然じゃ。お主の引き寄せる力がヨウを導いたのじゃろう」

 「必然ですか…?」

 「うむ、世には必ず出会いが訪れるでな、それは必ず起こるべくして起こったことなのじゃろう」

 「では、僕がムラサメさんに出会ったのも…」

 「ああ、偶然ではなかろう。儂も師匠の元を離れてから、こ奴等の事が気になっておった」


 ムラサメはヴルークを指さして話す。


 「師匠の言い残した事じゃったしのう、儂もいつかは探したいと思っておったのじゃ。しかし、お主達の方から現れた…。これは偶然とは呼べぬ、どうじゃ?」


 カルはムラサメの言葉を考える。確かに出会うべくして会った、そんな気がしてくる。


 「僕はいつも運命のように感じてました」

 「うむ、《運命》とは、偶然に出会うもの、たまたま機会に恵まれたという感じかのう…それはそうじゃが、そこにはお主の持つ力が働いておるな。だから皆出会うのじゃ。それはつまり《必然》じゃ」

 「僕の持つ力…?」

 「うむ、お主は誰かの為に、仲間や友、家族の為に強くなろうとしておるな?だからその為に必要な力がお主に集まるのじゃ」

 「…」

 「それがお主の力たる所以と言えるのう」

 「それが僕の出会う力…」

 「うむ、《特異点》たる力じゃろう」

 「何となくわかりました」

 「うむ、それでいいのじゃ。目に見える力とは違うからのう。しかし、お主が悪事を求めると、そちらに力は向かうじゃろう。まあ、今のお主ならば問題なかろうがな」


 カルは何となく、見識の深いムラサメに、師匠のサンドラに似た感覚を覚えた。


 「ムラサメさんは、僕のお師匠様に少し似ている気がします」

 「ほう、儂が龍王に?いやいや、儂は少しばかり長生きの鍛冶屋に過ぎん。まあ褒め言葉として捉えておく」

 「これからもよろしくお願いします」


 カル達は翌日、アマミの里に向かう事になった。話し合いが終わろうとした時だった。ガーランド、ラッテア、ヴルークの3つの精霊武器が輝き出す…。

 辺りに眩い光が溢れて、3人の少女が現れる。

 緑色の髪の少年のような少女、銀色の髪の黒いドレスの少女、そして赤い髪の活発そうな少女だった。

 緑色の髪の少女が話し出す。ガーランドだった。


 「皆さん久しぶりです、僕はガーランド。妹のヴルークを見つけてくれてありがとう」

 「マイマスター、そして皆さんありがとうございます」

 「いよっ!皆初めまして!あたしはヴルーク!姉貴達に会わせてくれてありがとう!」


 擬人化したヴルークは元気がよかった。ムラサメが声をかける。


 「これ、ヴルーク。お主も相変わらずだのう」

 「やや、ご主人様!?久しぶりだね」

 「ヴルーク、もっとちゃんとしなさい」

 「本当に、ヴルークはちっとも変わらないね」


 ヴルークはラッテアとガーランドに嗜められるが、ちっとも気にしていない。


 「いいじゃない、久々に会ったんだし。姉貴達も堅いこと言わないでさ」

 「本当にあなたは…」

 「ふふ、でもヴルークらしいね」


 そんな3人にカルが声をかける。


 「こうやって会うのは久しぶりだね、ガーランド。それにラッテア。初めましてヴルーク」

 「やあ、カル」

 「カル様、ご機嫌よう」

 「うん?あんたがガーランド姉のマスターか?あたしはヴルーク、よろしく」

 「やあヴルーク、よろしく」

 「いやぁ、本当姉貴達に会わせてくれてありがとう」

 「うん、僕も君に会えて嬉しいよ、ヴルーク」

 「ありがとう、エヘヘ…後はグラン姉だけだね」

 「グランクェス…どこにいるんだろう?」

 「グラン姉は寒いところが好きだったな」

 「寒いところ?」

 「うん、なんせグラン姉は氷の杖だしね」

 「…そういうことか。君が火の剣、ラッテアが風の弓、ガーランドが大地の槍、そしてグランクェスが氷の杖なんだね?」

 「そうそう、だから寒いところにいるんじゃないかな?」

 「そっか、ありがとう」


 ブリトニーが声をかける。


 「やあ、ラッテア、それに2人ともよろしく。ラッテアいつも有り難う、君のおかげで私は心強い。まだまだ君を活かせてないかも知れないが、これからも努力するつもりだ」


 ラッテアがブリトニーに答える。


 「いえ、マイマスター。私の事を大切に思ってくれてありがとうございます。その思いがある限り私はあなたと共にあります」

 「ありがとう、必ずグランクェスも見つけよう」

 「よろしくお願いします」


 今度はガーランドがカルに声をかける。


 「カル、グランクェスをよろしく。僕達が出会った時、必ず君達の力になれるはず、僕達を見つけてくれてありがとう、そしてこれからもよろしく…」

 「あれ、もう時間か…ご主人様、またそのうち…」

 「マイマスター、姉上をよろしくお願いします…」


 光が収束していく…3人はその場から消えていった。


 カルがムラサメに意思を伝える。


 「ムラサメさん、グランクェスを探しましょう」

 「うむ、そうじゃな」

 「やはり、寒い地方にグランクェスはあるのでしょうか?」

 「その可能性は高いと思うぞ、師匠の話では、グランクェスの力は他の武器よりも強力だと聞く。何か氷にまつわる伝承や物語などに残っているかも知れぬな」

 「わかりました、必ず見つけましょう!」


 カルの思いに、他の仲間も気持ちが高揚している。しかし、ウーリとネネは寄り添うように眠っていた。ネネは仔猫のように寝返りをうった。




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