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カル達とムラサメ




 「ムラサメさんが精霊界に行ってる間に、ヴルーク以外の3つの武器が、人間界でいろんな運命を辿り、今ここに3つ揃ったっていうことでしょうか?」

 「うむ、その認識で間違い無かろう」


 カルは修行した時の間のことを思い出していた。


 「という事は、精霊界と人間界の時の流れが違うという事なのですね?」

 「そのとおりじゃな。よく理解しておるな」


 セシルが驚いたように声を上げる。


 「あーっ、それってもしかして、《時の間》!?」

 「私もそう思った!」


 ムラサメが声をかける。


 「時の間?」


 カルがムラサメに答える。


 「実は僕達は、精霊界と同じような場所で、修行をしていた事があるのです」

 「なんと…」


 カルは自分達のことをムラサメに話し始める。サンドラとステラとの出会い、修行のこと、ガーランドとの出会い、ウバクについての話をムラサメに伝える。


 「…お主も只者ではないと思うておったが…なるほどのう…やはり、儂達が出会うたのは運命のようじゃな」

 「運命…」

 「お主、《特異点》じゃろう?」

 「っ!?…そのことまでわかるのですか?」

 「ふふっ、やはりそうであったか…長生きはするものじゃのう」

 「はい…実はラムドールという街で、ニルヴァナと呼ばれる方に…」


 カルはラムドールで起こった事をムラサメに伝えた。


 「そうであったか…本当にお主は面白い!」

 「はぁ…」


 ムラサメはネネの方を向き、声をかける。


 「ネネ、しばらく休業じゃが問題あるまいな?」

 「あれあれ?仕事の方は特に問題ありませんが…どうされたのですか、ムラサメ様?」

 「この者達について行く、支度せい!」

 「うにゃ?私はどうすれば良いのでしょうか?」

 「決まっておろう、お前も一緒じゃ!」

 「うにゃ?」

 「えっ?」

 「えっ?」

 「えっ?」

 「えっ?」


 皆が驚いて声を上げる。 


 「なんじゃ?…儂がおっては不満か?」

 「いえ、そんな簡単に決めてしまっていいのですか?」

 「儂の智識は役に立つはずじゃ。それに、それなりに腕も立つが、どうじゃ?」


 カルは皆を見る。セシルも、ブリトニーも、ウーリも笑顔だった。


 「はいっ!よろしくお願いします、ムラサメさん!」

 「こちらこそじゃ」


 ムラサメは笑顔でカルの手を握る。急な展開にネネはひとり急いで支度を始め出した。


 「もーっ、本当にムラサメ様…猫の気も知らないで…」



………………………………………………………………同時刻、斎宮…。


 斎宮では、斎王をヨウが熱心に看病している。斎宮では《食す者》の組織の者が、今まで従事していたこともあり、オーリーの他には誰もいなかった。

 ヨウは殆ど休まずに、斎王を見ている。斎王は昨夜から眠ったままだった。


 「叔母上…」


 さすがのヨウにも疲労の色が見える。オーリーはヨウに休むよう声をかけるが、ヨウは大丈夫と譲らなかった。


 しばらくして、魔石に反応があり、カルからオーリーに連絡がくる。


 《オーリーさん、これからそちらに向かいます》

 《ああ、わかった。そちらの用事は済んだのかい?》

 《はい、問題ありません》

 《了解した》


 オーリーがヨウに声をかける。


 「カル君達が来るそうだ、ヨウも無理しないで」

 「そうですか…龍神様ありがとうございます。ですが、私は大丈夫です」

 「わかった」


 すると斎王に反応がある。


 「…うーん」

 「叔母上…」


 オーリーも近づく。


 「……うん…ヨウ?ヨウなのですか…?」

 「はい、ヨウです!」

 「我はいったい……っ!?…龍神様?」

 「ああ、斎王、私はオロチだ」


 起き上がろうとする斎王をヨウが止める。

 目が冷めた斎王にヨウの薬を与える。薬を飲み、少し斎王の顔色が良くなった。

 何か思い出したのか斎王はヨウに起こすように頼み、ヨウが手伝う。

 上半身を起こし、斎王はオーリーに話しかけた。


 「…龍神様、お見苦しい姿をお見せし、申し訳ございません」

 「いや、何も気にしてない。今は自分の身体を心配しなさい、いいね?」

 「…ありがとうございます…ううっ…」


 斎王はオーリーの優しい言葉に感動し、涙を流す。龍神を裏切り、取り返しのつかない事をしてしまったという自責の念が強かったが、オーリーに優しい声をかけられた事に、申し訳無く感じていたのだ。


 「叔母上、今は休みましょう…」

 「ヨウ、あなたにも本当に感謝します。ありがとう、こんな至らない叔母の為に…」

 「何をおっしゃいます、叔母上程の方はいらっしゃいません、ですから今はゆっくりお休みください」

 「本当にありがとう…」


 しばらくして、斎王は再び横になり、眠りについた。

 ヨウはその姿を見て、安心したのか、ガクリと意識を失い倒れかけるが、オーリーがそれを支える。

 その姿を見てオーリーは一人呟く。


 「ふぅーっ、やれやれ、この叔母にこの姪…血は争えないな。頑固なところも良く似ている…」


 斎宮に静寂が広がっていった。



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