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特異点

 



  ラムドールの街を船はカル達を乗せて出港して行く。後10日程の航海で目的地の東国ヤマトに着く予定だった。


  カルは仲間と一緒に船室の中にいた。今のところ海は穏やかだった。


  カルはラムドールのニルヴァナの寺院で体験した事を仲間に話す。


  「昼間寺院でニルヴァナに会ったよ…」

  「えっ、像じゃ無くて?」


  セシルが聞き返す。カルは続けて話す。


  「不思議な体験だったけど、僕達に起こる事はどうやら僕が原因らしいんだ…」

  「 カル、ちゃんと説明してくれる?」

  「はい、どう言う事なのでしょうか?」

  「うむ、詳しく聞かせてくれ」

  「カルが原因?」


  カルはニルヴァナに言われた事を皆に伝える。


  「僕を中心に何か色々な事が起こっている…皆そう感じないかな?」


  4人は言われてみればと今までの事を振り返る。確かに普通では無い体験をしてきている。


  「ニルヴァナも僕と同じ様な経験をして来たって言ってた。彼はおそらくそう言う経験を乗り越えた、普通の人だったみたいだね」

  「神様では無いの?」

  「うん、ある一族の王族だったって言っていたよ」

  「それで、どんな事が起こるのですか?」

  「気になるな…」

  「これからも様々な事を僕が引き寄せてしまうみたいだ…でもその先にそれ以上の事が待っているってニルヴァナは言ってた。後自分と仲間を信じろって」


  カルは皆を見る。ウーリが話し出す。


  「カル、僕聞いた事があるよ、強い力…運命の様なものかも知れないけど、色んなものを引き寄せてしまう特殊な能力があるって…物質的、事象的様々なものを引き寄せる力……確か特異点だったかな?」


  カルは答える。


  「うん、ニルヴァナもそう言ってた」

  「カルはその(特異点)なの?」

  「うん、よく分からないけど…」

  「その能力がカルには備わっていて、私達もその力で集まったのでしょうか?」

  「うーむ、それだけでは無いとは思うが…」

 

  カルは少し考えながら話し出す。


  「僕がウバクの血筋って言うのは、その能力が原因なのかはわからない…でもお師匠様や皆に会った事、ガーランドを手に入れた事はその能力かも知れないね」

 

  ヨウがカルに尋ねる


  「カルはその能力をどう考えているのですか?」

  「うん、僕はこの能力で皆に出会えたなら、それは凄く嬉しく思っているよ、まあ、悪い事も起こってしまうのかも知れないけど」

  「そうですか、それならば私はカルについて行きます」

  「カルは私がいないとダメなんだから、私が特異点ごと面倒見てあげるわ!」

  「私はカルに会って無ければこんな経験も無く、今でも人族を恨んでいただろう…それが能力の力ならそれは悪いものでは無いのではないか?」

  「カルにはその能力を正しい方向に進める力があるのかも知れないね」


  カルは皆の声を聞き、自分が正しい方向に向かえば問題無いのだと思った。


  「そうか、そうだよね、僕にその能力があるのなら、正しい方向を向いて進めばいいんだ!」

  「大丈夫、私はちゃんと手綱を引いてあげるわ」

  「ええ、間違った方向に進まないように」

  「ちゃんと見ているぞ」

  「僕もそのつもりだよ」

  「皆、ありがとう」


  カルは自分なりに納得が出来た。これからも色々な事が起こるだろう。その度に正しい方向に向かえばいい、それで大丈夫なんだと。


 



  ラムドールを出港して、一週間が過ぎた。あれからは何の襲撃も無く船は進む。少し波が荒れて来ていた。ダウニングに説明を受ける。


  「カル様、この辺りは海流が複雑に流れており、波が荒れますが、我々は何度も通っていますので安心してください」

  「わかりました」

  「ここを抜ければ目的地までは、もうすぐです」

  「襲撃は考えられますか?」

  「ここを抜け、内海に入った頃が狙われやすいと思いますが、今は襲って来ないでしょう」

  「はい、船長よろしくお願いします」


  しばらくは波の高い状態が続き、船は揺れる。ブリトニーが心配だったが、今はもう揺れる船内にも慣れたようだ。


  カルはダウニングに伝えられた事を皆に説明し、揺れる船に注意する事を伝えた。


  「でも良くこの揺れに慣れたものよね」

  「はい、私は元々海の近くの出身ですから船には慣れていましたが、皆さんは大変だったと思います」

  「ああ、私はあの気持ち悪さは、かつて経験した事がないぞ」

  「僕は楽しいな、揺れてるの」


  ヨウが皆に話す。


  「この海域を過ぎれば、もうヤマトの内海です。最初に到着するのはイズモと呼ばれる場所ですね」

  「もうすぐ東国なのね?」

  「考えれば、長い道のりだったな」

  「もうすぐ着くんだね、もっと船に乗っていたかったよ」

  「皆、内海に入ると襲撃される事も考えられる、注意してね」


  やがてヤマトに到着する。カルは自分の能力が何かを引き寄せてしまうかも知れないと考えていた。正しい方向に進む…大丈夫、この船の様に揺れても目的地を目指せばいいんだ。カルはそう自分に言い聞かせていた。一度船は大きく揺れた。セシルがキャアと高い声を出したのが聞こえた…

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