ラムドール襲撃!
カル達はオーリーと別れ、船に戻って来た。
しかし、ここで問題が発生したと船長に伝えられる。交易をする為の商人が遅れているとの話だった。カルはダウニングに話を聞く。
「何かまずい状況でしょうか?」
「…今のところ何とも言えません、しかし可能性はあります」
「ラムドールにはどれくらい停泊する予定ですか?」
「うむ、最長でも1週間というところですな」
「わかりました、僕はハメットの店という宿屋にいます、何かあれば連絡お願いします」
「わかりました」
カル達は港を離れ、宿屋に向かった。街でも大きな宿屋で酒場も併設している。酒場に行くとカウンターにクリスがいるのを確認した。カルはクリスのそばに行き、声をかける。
「クリスさん、商人が到着してないらしいです」
「ああ、確認した」
「僕はここに泊まります、移動する時には伝えます」
「…わかった」
カル達は宿の部屋に向かった。2階の奥に部屋がある。5人は部屋に入って状況を確認し合う。
「商人が来ないというのはどう思う?」
「商人に何かあったか、本当に遅れているかね」
「そうですね、もし、食す者が関わっているのでしたらまずい状況です」
「ああ、とにかく警戒はせねばなるまい…」
「僕はちょっときな臭い感じがするよ…」
皆、何かしら妨害されているとの認識は持っていた。このまま何も起こらない可能性は低いと感じていた。
「何か起こるとすれば夜の可能性が高い」.
「交代で見張りするのがいいわね」
「そうですね、2人と3人に別れて見張りましょう」
「わかった、ではカルと私は最初に見張ろう」
「わかった、セシルとヨウとウーリが後だね」
皆頷き合い、とにかくこの宿屋の内部の確認をすることにした。
宿屋は3階建で部屋は8部屋あった。1階は受付と酒場スペースになっていた。
窓からの侵入も考えられる、カル達は用心する。
夜になり、人の姿もまばらになって来た。カルとブリトニーの他は早めに休み、体力を温存する。カルはブリトニーに声をかける。ブリトニーの手にはラッテアが握られていた。
「ブリトニー、ラッテアから何か感じる?」
「いや、今のところ何も感じられない」
「そう、ガーランドも何も伝えて来ないな」
「そうか、しかし警戒は緩めるべきではない」
「うん、その通りだね」
カルは気を同調し、辺りを確認する。異常は感じられない。クリスの気も感じられた。酒場ではないが、近くにいるのがわかった。
「今のところ異常は感じられない」
「ああ、外にも異常は見当たらないな」
数時間が経つが、今のところ何も起きていない。
「今日は何もないのかな…?」
「まだ油断は出来んぞ」
その時、ガーランドとラッテアが輝く。何かが起こる前兆のような感じがする。
「ブリトニー、注意して!」
「ああ、わかっている」
ブリトニーが何かが動いたのを確認した。何かが近づいて来ている。
カルも気の同調で動きを確認した。十数人の人の動きがある。まっすぐにこちらに向かって来ている。
カルは皆を起こす。
「皆、来る!準備して!」
セシル達はすぐに起き上がり、戦いに備える。セシルはカルに状況を聞く。
「カル、どこから来る?」
「今のところ外に十数人、こっちに向かって来ている」
「カル、どうしますか?」
「こちらから仕掛けてみようか?」
「先手必勝ね!作戦は?」
「夜目が効くブリトニーとウーリがまずは出る、僕とヨウでその後を突く、セシルは灯りと後方から攻撃、これでどうかな?」
皆が了承し、ウーリが移動し雄鹿に変身する。ブリトニーも後に続く。
少し離れた場所で戦闘をしているのが見えた。クリスが仕掛けている。人が近くまで飛ばされて来た。暗殺者らしき者は黒ずくめにマスク、二本のシャムシールと呼ばれる細く曲がった剣を持っていた。
ブリトニーはラッテアを構え、暗殺者の動きを捉えた瞬間に弓を続けて放つ、全てが当たるが致命傷にはならない。
雄鹿のウーリが矢を受けた暗殺者に突撃して行く。
カルとヨウが続く、
ブリトニーは弓を射続ける、
その時、セシルの光魔法で辺りが明るくなる、暗殺者の集団の姿が目につくようになった。
カルとヨウがそれぞれ別れて敵に向かう、ブリトニーの矢が的確に当たる、その隙をカルとヨウは見逃さない、
ガーランドとカグツチが生き物の様に暴れている。
後方からセシルの魔法も飛んでくる。
カルはまず1人目の敵を右手に捉え、ガーランドを突き、左手の敵に蹴りを入れる、これで2人が倒れる。
確認もせず、前方の敵に突っ込んでいく、3人の敵がこちらに向かって来る、カルはガーランドをクルクルと回し相手を撹乱する。
敵はカルを囲んで一斉に攻撃する、
カルは高く飛び攻撃を躱しながらガーランドを振り回す、
敵3人の首、肩、胸をガーランドの刃が切り裂く、
3人の敵は動かなくなった、カルは更に敵に向かう。
カルの左後方でヨウが敵2人と対峙していた。左右から剣での攻撃が来る、
ヨウはカグツチの両端を使い攻撃を躱し、自分の間合いを作る、
左手の攻撃を躱し、右手の攻撃が来る前にカグツチを相手の鳩尾に打ち込む、1人は倒れる。
左手の攻撃が更に襲ってくる、
ヨウはくるりと体を回して攻撃を躱しながらカグツチを払う、相手の足首を捉え、敵が前方に倒れる、
すかさず気を込めたカグツチの一撃!
もう1人も動かなくなった。
遠くで戦闘の気配がする。
カルとヨウの前方で獣が暴れているのがわかった。ウーリが敵を突き飛ばしていた。
更にその前方に戦う気配がする、クリスが敵を投げ飛ばしている。
………やがて敵の気配が感じられなくなった。敵は全て倒された様だった。
ウーリは人の姿に変わる。カル達に伝える。
「辺りに敵の姿は見えない、もう大丈夫かな」
「僕も感じられない、終わったね」
「はい、大丈夫みたいですね」
クリスが近づいて来た。
「カル、大丈夫そうだな」
「はい、大丈夫です」
戦闘が終わった…。こちらに被害は無かったが、襲撃が激しくなっていると感じられる。
辺りが少し明るくなって来た。十数人の敵が倒れているのがわかった。
カルは今は終わったが、これから更に激しい戦いが続くのを感じていた。少し明るくなった空には月が見える、薄いシャムシールの様な月だった…




