精霊の書
ダンジョンの依頼を終え、キスクの街にカル達は帰って来た。今はダンジョンで持って来た本をどうするか話しあっていた。
「この本はいったいどういう物なんだろう?」
カルは皆に聞く。
「これ読めないよね…じゃあ御先祖様に聞いてみる?」
「それが一番早いかも知れません」
「そうだな、セシルの先祖に私も聞きたい事がある」
「えっ、セシルの先祖って?」
ウーリの方を向いてセシルが答える。
「ウーリ、ちょっと見ててね」
そう言って、親指を持っているナイフに切りつける。
ナイフが輝き、光に包まれ光が消えると羽根の生えた蛇が現れる。
「おお、セシル久しぶりじゃな、して今日は何用じゃ?」
「あ、ご先祖様久しぶりです。実はこの本の事について聞きたいのですが…」
ウーリがククルカンを見て驚く。
「ええっ、セシルの先祖ってククルカンなの?」
「おや、珍しいのう。ウルスラグナがここにおるとはの」
「や、やあ久しぶりだね、ククルカン」
「うむ、まあわしの子孫が世話になっておるようじゃ、よろしく頼む」
「はい」
「それで、この本の事かのう?どれどれ…」
ククルカンは本の表紙に目を向ける。魔力で器用に本をめくっていく。
「うむ、この本は精霊の書のようじゃな」
「精霊の書?」
「そうじゃ、精霊の生態やその種類などが詳しく書いてあるのう。それだけではなく、精霊の歴史の様なものが書かれておる」
「かいつまんで、どんな話なのでしょうか?」
「そうじゃのう…」
ククルカンが話し始める…
精霊とはこの世界の中に存在しているが、その存在ははっきりとしていない。一度滅んだ世界よりも前から存在していた事、世界の崩壊と精霊界の崩壊により魔力が生まれたとも言われている。
世界の四大元素を司るものとも、異世界(人の目につかない世界)に今でも存在しているとも言われている。
精霊界という場所には、精霊王が存在しその世界を治めている。そして精霊は、その世界から人の世界に度々現れ、具現化する場合もある。
古来より精霊が作った武器や道具には不思議な特徴があるとされる。武器に属性があったり、そのまま魔道具として使える物も存在する。また、意思を持つ場合もある。
精霊界は目に見える場所にあると言われているが、何処に存在するかははっきりとしていない。
精霊は人やその他の種族と関わるのを嫌い、あまり現れる事は無い。
精霊と関わる者には幸運が訪れるという。
「………と言うところじゃのう」
ククルカンが話し終える。
「この3冊に精霊の事が書いてあるのですか?」
セシルが聞いた。
「うむ、そういう感じじゃのう、1つは精霊武器の辞典の様な物じゃのう。後2つは精霊の書上、下巻じゃ」
「これは貴重なものなのでしょうか?」
「うむ、しかしこの言語は古いものじゃ、読める者はなかなかおらぬかもしれぬのう」
「そうですか、ありがとうございました」
「うむ、それでは我は戻ろうかのう、セシルよまた会おう」
そう言ってククルカンは消えて行った。
ウーリが本をずっと見ている。手に取ってパラパラとページを巡っていく。
「何々、ふんふん、へえー」
「ウーリ読めるの?」
「えっ、うん、僕はこの文字知ってるけど…」
「先に言ってよ!」
「あ、ごめん、皆も読めると思ってたから」
カルが話しかける。
「ウーリはそんなに古い時代から生きていたの?」
「うーん、かなり生きているね。もう何千年かな…」
「ええっ!?お師匠様と同じくらい」
「うーん、サンドラよりも僕の方が長生きかも知れないね、でも僕が少年の姿の時は15歳なんだ」
他の3人は無言になってしまった…。
「で、その本にはどんな事が書かれてるの?」
「うん、さっきククルカンが話した様な事だけど、この本は精霊に直接聞いた人が書いた物みたいだね」
「精霊に会う事は出来るの?」
「滅多に無いとは思うけど、稀に会えるみたいだね」
「ウーリは精霊に会った事あるの?」
「僕はあるけど、数える程しかないよ」
「精霊ってどんな存在なんだろう?」
「うーん、他人に興味が無いね、自分が楽しければそれで良いって感じ」
「でも、ガーランドは僕に手を貸してくれるけど」
「精霊武器の人格と精霊は別物だよ」
「へえー、そうなのか」
皆は本をギルドに持って行き、報告する事にした。
ギルドに着くといつもの様に受付嬢に報告する。
「ダンジョンの依頼終わりました、これがダンジョンにあった宝です」
「あらカル様、はい、これですね…これは相当古い本ですね、わかりました。少しおまちください」
そう言って受付嬢は手続きをする為に事務所に入って行く。しばらくして書類を持って戻って来た。
「はい、ではこちらが今回の報酬です、それからこの本はギルドで保管致しますので、カル様達見たい時は声をかけてくださいね」
「はい、わかりました」
カルは皆に報酬を渡し、とにかく今は家に帰る事にした。
家にはすぐに着く。皆荷物を馬車から降ろし、家に入って行く。ウーリが皆に話しかける。
「皆を街まで連れて来たのは僕だからね!いっぱい食べさせて」
「ああ、ありがとうウーリ、もちろんいっぱいたべていいよ」
「やった!また魚食べたいな!」
「皆いいよね?」
「しょうがないね」
「報酬もいっぱい貰えましたし、ダンジョンの財宝もありますから大丈夫でしょう」
「私もサーモンが食べたいぞ!」
と言う事で皆は東国の料理屋にやって来た。
それぞれに刺身や寿司を注文する。ウーリは目がキラキラしているように見える。
カルが皆に話しかける。
「皆、今日の精霊の書のことなんだけど、ギルドで保管するので閲覧は自由だって話だよ」
「そう、読めるのはウーリくらいだけどね」
「はい、でもあの本は大変貴重なものなのでしょう?」
「精霊の話は我が里にも伝承があるが…」
「ねえ、またいっぱい食べてもいい?」
カルは精霊の書が気になっていた。ガーランドやブリトニーのラッテア、精霊界との関わり…
カルはこれから何か深く関わっていく、そんな感覚を持っていた。
食事がテーブルに届けられる、ウーリは勢い良く食べ初めた。相変わらずすごい食べっぷりだ、カルはそんな事を考えていた…




