武器強化!
カル達は馬車に乗り込み、ロランのいるドワーフの村に向かっていた。季節は夏真っ盛りの8月だった。
「今日は暑いね」
「うう、暑い、溶ける…」
「私の母国はもっと暑い、まだカラッとしてるだけ良いですよ」
「しかし、今日は暑いな」
ウーリは白馬に変身していた。
《外は気持ちいいよ!》
なんか元気だった。
馬車だと移動も速い。いつもより大分早くドワーフの村に辿り着く。日はまだ高かった。ロランの店にカル達は入って行く。
「ロランさんこんにちは」
ロランがこちらに気づく。
「おー、カル君、久しぶりじゃな」
「ご無沙汰です」
「オリハルコンはもう少し待ってくれるか?」
「ええ、もちろん大丈夫です」
「あの金属は本当に素晴らしい、すごい武器が出来そうじゃ」
「そうですか、それは良かったです」
「実は最初にこれを作ってみたんじゃが…」
そう言ってロランは小さなナイフを取り出す。
「これは刃の部分だけオリハルコンを使ったものじゃ、ちょっと見ていてくれ」
ロランは木材を取り出すと、おもむろにナイフでスーッと木材を切る。何の抵抗も無いように木材は切れて行く。
「すごい…」
「これで刃こぼれすらないのじゃ、すごいじゃろう?」
「これで武器を作ると、とんでもない物が出来そうですね?」
「その通りじゃ、しかもこの金属は軽い、本当に素晴らしい素材なのじゃ」
「そのようですね、わかりましたよろしくお願いします」
「儂なりに考えたんじゃが、このオリハルコンを部分的に武器の刃の部分に変えたりするのはどうじゃろうか?」
「今使ってる武器にオリハルコンを加工するということでしょうか?」
「ああ、このナイフのようにな」
カルはガーランドを取り出し、見つめる。ガーランドは嬉しいのか輝いて返事をしたように見えた。
「わかりました、それではお願いしても?」
「もちろんじゃ、その加工だけなら2、3日で終わるじゃろう」
カルはヨウに棒を持って来るよう伝え、しばらくしてヨウが棒を持って来た。
「僕の槍と彼女の棒に加工してもらえますか?」
「うむ、カル君の槍は魔力が施されておるようじゃな、これは刃先をオリハルコンにしよう、そしてこの棒は表面にオリハルコンをコーティングするのが良いじゃろう」
「オリハルコンは足りますか?」
「ははは、大丈夫じゃ、しかしこの様な作り、つまり他の金属とオリハルコンを部分的に使うという作りになってしまうが」
「全然問題無いと思います」
「では終わるまでここにおるか?」
「では、お言葉に甘えて」
「ああ、ゆっくりして行くと良い」
「ありがとうございます」
カルは皆にここに2、3日留まる事を伝えた。ウーリは人の姿に戻っていた。何かをジーっと見ている。
「あれ、ウーリどうしたの?」
「あ、カル、僕の習性みたいなものなんだけど、金色のものに惹かれてしまうんだ。不思議だけど…」
「そんな習性があるんだ?」
「うん、明るいところに虫が行ってしまう様なものなんだけど、僕はそれが黄金なんだよね」
「なるほど…」
ウーリは金色に輝いている剣をジーっと見ていた。
「そうだ、金の装飾品を身につければいいんじゃない?」
「えっ、でも金は高額だし」
「大丈夫、少しくらい高くてもウーリが気にいるなら問題無いよ」
それを聞いていた他の3人も賛成してくれた。カルはロランにこの村に細工師はいるか聞いてみる。
「うむ、それならばヴィックのところが良いじゃろう」
そう言ってその場所を教えてくれた。すぐ近くにその店が有った。装飾品の店だった。
「こんにちわ、ロランさんに聞いて来たのですが」
「ロランの旦那の紹介ですか?そりゃ無下に出来ねえな」
「あの、金の腕輪かネックレスのような物を探してまして」
「金だとちょっと値が張るけど大丈夫かい?」
「はい」
「それじゃ、この辺がそうだね」
色々な物があった。カルはウーリにどれがいいかを選ばせる。
女子達はいろんな装飾品を見て興奮していた。
ウーリは金の腕輪を手に取った。シンプルだが腕につけていても気にならない。ウーリに良く似合っていた。
「僕これがいい」
「わかった、ヴィックさん、これをください」
「ありがとうございます」
金額はちょっと驚くほどのものだったが、家や馬車にお金がかからなかった分、余裕があったので大丈夫だった。
「カル、皆、ありがとう」
ウーリは外に出て馬の姿に変わった。すると不思議な事に、鞍が着いている。黄金色の鞍だった。
「あれ、ウーリ鞍が…」
《あれ…そうか、これ腕輪が変わったのかもしれない》
「えっ?そんな事が出来るの?」
《うーん、僕も良く分からないけど僕に必要なものに変わるみたいだね》
「でも、とても似合って見えるよ」
ウーリは少年の姿に戻り、カルに話した。
「ありがとう、僕に誰かを乗せろって事なのかも知れない…ちょっと待って」
そう言ってウーリはまた変身する。今度は駱駝の姿だった。やはり鞍は着いている。
また少年に戻り、ウーリはカルに話す。
「やっぱりそう言う事なのかも知れない、僕に誰かを乗せろって言われてるみたいな気がする」
カルは答える。
「わかった、もしその時は世話になるよ」
「ああ、任せといて!」
女子達は装飾品をずっと見ていたが、やっと店から出て来た。
「よし、いつか私も買うぞ!」
「そうです、その為にも仕事頑張りましょう!」
「ああ、その為には働かなくてはならない!」
…何故かすごくやる気になっていた。
どうやら装飾品を買う為にやる気を出したようだ。まあやる気があるのはいい事だ……。
数日が過ぎ、ロランに作業が終了したと伝えられた。
「どうもお世話になりました」
「なーに、他ならぬカル君達の為じゃ、こちらも楽しかったよ」
ロランはガーランドと棒をそれぞれ渡す。ガーランドの刃先が金色に輝いていた。ヨウの棒は表面が金色に輝いている。
「ありがとうございます」
ヨウは棒を受け取り、構え、振ってみる。凄く気に入った様子だ。
「私もこの棒に名前をつけようと思います!」
ヨウが言った。
「この棒は…神の鎚、カグツチと名付けます!」
「カグツチ、いいんじゃない?」
「カグツチ、なんかカッコいいね」
「カグツチか」
皆も気に入ったようだった。
皆はロランに挨拶をして馬車に乗り込む。
「それではロランさん、お世話になりました」
「ああ、またいつでも訪ねて来るが良い。武器はもう少しで出来るじゃろう」
「はい、それでは失礼します」
ブリトニーとヨウとセシルは馬車に乗っていたが、カルはウーリに跨っていた。
「どう、ウーリ重くない?」
《全然問題ないよ!なんだか楽しいね》
突然ウーリがスピードをあげる。
「おい、ウーリ速いって」
《大丈夫、しっかり捕まってて!》
ウーリはどんどんスピードを上げて行く。
カルはこの状態でドラゴンウイングを使って見たくなった。
「ウーリ、飛ぶよ!」
《え、何だって?》
カルはドラゴンウイングと囁き、巨大な白馬ごと浮き上がって行く。
《ええっ、カル、飛んでるよ!》
「うん、実は僕食べるんだ」
《でも、気持ちいいね!》
「うん、本当だね!」
馬車のセシル達が小さく見える。ずっとこっちを見上げ何か言ってるみたいだった。しばらくこの状態を楽しんだ。空は広く遮るものは何もなかった。
…戻ってきたカル達は他の3人にこっ酷く叱られたのは言うまでもない…




