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ウバクの情報を知る



  翌日引っ越しの片付けもあらかた終わり、新しい家での生活が始まる。この家は広く、部屋も各自に分けられる程あった。2階に4部屋、1階に1部屋でカル以外が2階に住む事になった。その他居間やキッチンなどの作りになっていた。


「ふぅー、やっと終わった」

「結構しんどかった…」

「そうですね、私も疲れました」

「本当だ、以外に疲れるぞ」

「僕、全然荷物無いしな…」


 片付けに丸一日かかって、その日は食事を済ませて早めに眠った。翌日必要なものを買い出しに行く事になった。


  翌朝5人は馬車に乗り込み、商館の方に向かって行く。ブリトニーが手綱を引いている。カルはウーリに聞いた。


「ねえウーリ、何か必要なものはある?」

「うーん、僕は馬のままの方が多かったからね、何が必要なのかはわからないよ」

「とにかく生活品はひととおり買うわよ」

「そうですね、色々必要です」

「念のため鞍も買っておくか?」

「そうだね、鞍…そうだ、ロランさんのところに顔を出してみようか?」


 カルは思い出したように皆に聞いた。


「あ、オリハルコンはどうなってるかな?」

「ちょっと気になりますね」

「うむ、そうだな」

「オリハルコン?ってまだあったの?」

「うん、僕達がある場所で見つけたんだよ」


 ウーリは皆を見て話す。


「君達って面白いね、不思議だよ」

「今度詳しい事を話すけど、実は僕、光の巨人の子孫らしいんだ」

「ええっ、カルが光の巨人の子孫?」

「うん、だからウバクの技術を守る結社の主人にもなってる」

「そうなんだ、ははっ、僕はこんなにワクワクしたのは久しぶりだよ!面白いね」

「そう、こんな僕だけどウーリ、よろしく」

「ああ、もちろんさ!」


 そんな会話をしながら馬車は進んで行く。もうすぐ商館の集まっている場所に着く。


「そう言えば、ウーリは冒険者登録しなくて大丈夫?」


 セシルが聞いてきた。


「どうしようか、ウーリ?」

「うーん、僕は人じゃないからね、君達と一緒に戦う聖獣なんだから必要ないよ」

「確かにそうだね、ウーリは好意で僕達と一緒にいてくれているのだからこのままでいいんじゃないかな?」

「そうですね、私もこのままでいいと思います」

「私もそう思うぞ」

「わかった、そうだね」


  という事にまとまり、カルはギルドに行く為に皆と別れ、4人は買い出しに向かった。


  カルはギルドに着くと、併設の酒場に向かう。ジョシュはいつもの場所にいた。カウンターにクリスの姿はなかった。


「ジョシュさん、話があります」

「…いつもの場所に」


 そうジョシュに言われ、カルは酒場を出る。周りを警戒しながら秘密の部屋に向かう。怪しい気配は感じられなかった。


  路地裏をクネクネと歩き、秘密の部屋のある場所に辿り着く。地下に向かって降りて行く。扉を開け秘密の部屋の中に入った。しばらくしてジョシュも姿を現わす。


「ジョシュさん、聞きたい事があります。その前に、家と馬車は本当にありがとうございます」

「いえ、それで聞きたい事とはなんでしょう?」

「はい、ウバクの民はどのくらいの規模の組織でその資金はどこから出ているのですか?」

「…ふむ、成る程、そうですな気になりますか?」

「はい、ロンバルドさんには資金は豊富で問題無いものとお聞きしました」

「はい、ではそこからお話ししましょう」


 ジョシュはどうやって「ウバクの民」の豊富な資金が生まれるのかを話す。


「カル様はまとまったお金をそのまま保管しておきますか?」

「いえ、街では銀行に預けていると思います」

「ふむ、では銀行というシステムを作ったのは誰かわかりますか?」

「まさか…」

「はい、ウバクが作ったシステムです」

「ええっ、じゃあ街のお金を管理しているのは…?」

「はい、我々の仲間です。そしてそれはウバクがやっているとは知られていません」

「資金はそこから出ているという事ですか?」

「はい、まあ大部分はそこですが、他にも色々あります。ギルドのシステムもウバクのものです」

「…………」

「お分かりですか?我々の仲間は至る所にいます、数は数千人はいるでしょう。我々は余り集まって何かをやるという事はしません、まあ仲間を把握してはいますが」

「もちろん、この街だけではない訳ですよね?」

「はい、各地に存在します。そしてそれに対抗するイーターも我々と同等にいるとお考えください」

「イーターも…」

「そう言えばいつかカル様はヴィスニーの領主を捕縛しましたが、奴らも恐らく手先だったと考えられます」

「あの、マズルが?」

「ええ、マズルはイーターと把握してない程の小者ではありましたが」

「成る程、だんだんわかってきました、民の為に何かをしている側と支配する側の為に何かをしている者…そんな風に感じられます」

「まあ、そういう事になります」

「ジョシュさん、わかりました、僕は人々の為に何かをしたい」

「はっ、そう言って頂けると信じておりました、スレイ様もお喜びでしょう」

「父さんもきっとそうだったと信じています」

「ええ、もちろん」

「ありがとうございました、また何かあったら教えてください」

「はい、喜んで」


  カルは秘密の部屋を離れ、他の皆と合流する為に商館のある一画に移動する。馬車を見つけ、皆と合流した。


「どう、目ぼしい物は見つかった?」


 セシル達がカルの方を向き話す。


「あ、カル!話は終わったの?」

「カル、こちらも大体終わりました」

「後は細かい物だな」

「カル、僕はお腹減ったよ」


 カルは皆に食事に行こうと誘った。皆賛成し、東国の料理屋に行く事にした。


「ウーリは魚とか食べられるの?」

「もちろん、僕は馬じゃなく聖獣だからね、僕は他の姿にも変われるよ」


 セシルが興味深そうにウーリに聞く。


「え、例えばどんなの?」

「牛や駱駝、烏に鹿、山羊に羊そんなところだね」

「すごいですね」

「聖獣とはすごいのだな?」

「いや、僕は特別だと思うけど」

「ウーリは頼りになるね、僕達の仲間になってくれてありがとう」

「いやー、それほどでも無いよ」


 やがて東国の料理屋に着き、中に入る。皆はいつものように刺身と寿司、その他色々と注文した。


「魚を食べるんだよね?なんだか生で食べてるみたいだけど…」

「皆そういう風に思っていたよねー」

「うんうん」

「私もそうだったな」

「ウーリ、一度食べてみて」


 刺身がテーブルに届き、皆が食べ始める。ウーリは皆が美味しそうに食べてるのを見て口に入れる。


「美味い!なんだこれ!」


 突然ばくばく食べ始める。すごい食欲だ。


「カル、おかわり!」

「えっ、うん」


とりあえずふた皿追加した。あっと言う間に食べ終えて次を待つ。刺身よりも先に寿司が届く。ウーリは寿司もすごい勢いで食べる。こちらも追加し、やがて皿の山が築かれていった…


  その姿を他の4人は唖然として見つめていた。まるで酒を飲むステラのようだった。


「いやー、食べた食べた」

「すごい食欲だね………」

「驚いた…」

「気持ちいい食べっぷりでした」

「私もあそこまでは食べられんな」


 ウーリは目を輝かせて皆に話す。


「こんなに美味しいもの初めてだよ、皆ありがとう!」


  4人はこの店に来るのを少し考えた方がいいと思っていた…。


  5人は店を出て馬車に乗り込む。新しい家に向かって進み出す。


「皆もう足りない物は無いかな?」

「ええ、もう大丈夫」

「はい大丈夫です」

「うむ、問題無い」

「僕またお刺身食べたい!」


  カルはコホンと咳を払い話し出す。


「今日ジョシュさんにウバクの事について聞いて来た。詳しくは家に着いてから話すけど、ちょっとびっくりする事だと思う」

「そうなの?」

「少し気になります」

「どんな話だ?」

「何、何、どんな話?」


 カルはウバクが支配者の為じゃなく民の為に存在することを伝えた。


「うん、まだはっきりとは分からないけど悪者では無いってくらいの感じね」

「そうですね、支配者層に対抗するって事ではないのですか?」

「うむ、詳しく聞かないとなんとも」

「うーん、ウバクの事か?」

「詳しくは帰ってから話すよ」


  新しい家にカル達は帰って来た。買ってきた物を整理して居間に集まる。


カルは皆にジョシュに聞いた事を話した。資金の事、組織の人数、そしてそれが狙われる理由を話す。


「それは確かに色々狙われるわね、民の味方という意味がわかったわ」

「わかりました、今の環境を狙う者がつまりイーターですね」

「ふむ、かなり大きな話なんだな」

「うーん、僕は良く分からないけどウバクは民と共存したいという事なのかな?」


  カルは答える。


「力があるから、それを悪用されない為にウバクの民が存在してる、そしてそれを狙う者達がいる。そういう事だと思う」


  皆は納得した。


 カル達はこれからの事を相談する。



「皆、これからはもっと熾烈な戦いが待っていると思う。僕はもちろん敵に屈するつもりはない、皆もそうあって欲しい」

「任せといて!」

「ええ、私も戦います」

「無論私もだ」

「僕はカル達の為なら戦う!」


 カルは仲間の頼もしい声を聞いて笑顔になる。


「皆ありがとう、それから明日はロランさんのところに行って見よう」


 皆は笑顔で頷きあった。


  カルはこれから更に大変な事が起きると感じていた。でもこの仲間達となら必ず乗り越えられる、そう信じて皆を見回す。外を見るともう暗くなりかけていた。そろそろ夜の時間も長くなっている、やがて涼しくなるだろうとカルは思った…


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