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新しい場所




 東の森からカル達はキスクに帰って来た。カルは帰る途中色々考えた。


 今重要なのは仲間になったウーリをどう扱えばいいのか、聖獣としてか人としてか……。

 そして仲間が増えると言う事は家も狭くなってくる。引っ越しすべきなのか、ヨウの家にこのまま住んでいいのか…。


 とにかくギルドに報告し、報酬を受け取った後にヨウの家に帰り、今は皆ヨウの家の居間に集まっている。ウーリは人の姿になってもらった。


 セシルがカルに話かける。


「で、相談って何?」


 カルは皆を見て話し出す。


「うん、まずウーリの事なんだけど、ウーリは聖獣で僕らとは違う。いつも人の姿って感じでいいのかな?」


  ウーリはカルに答える。


「僕はこのままでも大丈夫だよ。もし戦う事があれば姿を変えるけど」

「ウーリに頼みたい事があるんだけど…」

「なんだい?」

「僕ら移動するのに馬車を買おうと思ってるんだけど、馬車を引いてもらう事は出来る?」

「うーん、馬車か…直接乗ってもらったりはあったけど、馬車を引いた事は無いな。でも僕にそうしてもらいたいならやってもいいよ」

「聖獣に馬車を引かせるなんて、ちょっと気がひけるけど」


 ヨウがカルに話しかける。


「ウーリとは別に馬車を買うのはダメなのでしょうか?」


  カルがヨウに答える。


「うん、僕もそう考えたんだけど、ヨウの家に一緒に住む事を考えると、他に馬車を置いてさらに馬房を作るとなると、広さ的にいっぱいいっぱいになってしまうと思うんだ」

「あ、そうですね…私の家だと馬車の荷車を置くのでちょっと狭くなってしまいますね…」


  カルはヨウに向かって話す。


「ねえ、ヨウは引っ越しとか考えられる?」

「ここから別の場所に住むという事でしょうか?」

「うん、もう少し広いところに住むっていうのはどう?」

「はい、この家も気に入っていますが、確かに仲間も増えましたね。私も引っ越すのはやぶさかではありません」


「でも引っ越す宛があるの?」

「すぐ引っ越す訳では無いのだろう?」


 セシルとブリトニーが聞いてくる。カルは答える。


「うん、すぐって訳では無いけど出来るだけ早く引っ越すべきだと思う。ギルドやジョシュさんに聞いて見るつもりだ」

「そうかぁ、その方がいいのかな」

「馬車や馬房はこれからは絶対に必要になるしな」

「もう少し広ければ問題無いと思うんだ」

「私が1人で住んでいた頃が懐かしい気がします」


 5人で相談した結果引っ越しをする事にした。馬房がついていて5人住んでも影響の無い場所…中々見つからないかも知れない。


  カルは早速ジョシュに聞いてみる事にした。


 ギルド併設の酒場でいつもの席にジョシュはいた。


「ジョシュさん、実は相談があるのですが…」

「それは重要な事か?」

「いえ、新しく家を借りたいと思ってまして」

「今より広い場所って事か?」

「そうです」

「うーん、ちょっと待っててくれ」

「はい」


  ジョシュは席を外し酒場を出て行ってしまった。カルは席に座ったまま周りを見回す。カウンターでクリスが1人で酒を飲んでいた。暗い表情は相変わらずだった。


  カルは近づいてクリスに話しかける。


「こんにちは、クリスさん」

「…カル、お前も飲むか?」

「いえ、僕はまだ未成年です」

「そうか、じゃあ行きな」

「はい、この前はありがとうございました」


 クリスは目も向けず、手を上げて返事をした。カルは席に戻る。しばらくしてジョシュが戻って来た。手に紙を持っていた。


「カル、この場所に1時間後に来い」


  カルに持っていた紙を渡してそう伝える。紙には地図が書いてあった。


「わかりました」


 カルは酒場を出て地図の場所を探す。少し住宅地から外れた場所だった。キスクの街の中にある農業地区だった。


「この場所に何かあるのかな?」


 辺りを見回しながら地図の場所に向かっている。農業地区を見るとキンクウの村を思い出す。畑の仕事が少し懐かしかった。


 そんな事を考え歩いていると地図の場所に辿り着く。使い古された農家の廃屋のようだった。扉を開け中を見る。


  中にはギルドマスターのロンバルドとジョシュがいた。


「カル様、お早いお着きで」


 ロンバルドがカルに気づき話しかける。


「ギルドマスター、ジョシュさん」

「カル様、お待ちしておりました」

「この場所はいったい…」


 ジョシュが話す。


「ここはウバクの民の隠れ家のひとつです。我々はいくつかそういった場所を持っています」

「ここは外観よりも中はすごく整っていますね」


  ロンバルドがカルの方を向き話す。


「はい、ここは我々のアジトのひとつです。何もかもひととおり揃ってます。見た目は廃屋ですが、中はしっかりしてますよ」


 カルは中を見回す、入って直ぐに大きな暖炉が目についた。


「そしてここには秘密もあります。地下室がありまして、通路が例の場所まで続いています」

「そうなんですか?」

「それだけではありません、少しだけウバクの技術を使っており、夜でも明るくする事が出来ます」

「すごいですね、皆はどう感じるかな」

「我々もカルさまがこの様な場所にいらっしゃると安心しますので」


  ジョシュが話に入って来た。


「クリスに聞いたのですが、とうとう襲って来た者が現れたのですね、それならば余計にこちらに来て頂いた方が良いと思います」

「やはりあの東国の忍とか言うのは…?」

「イーターに間違いありません、まあ、ほんの挨拶の様なものだったと思いますが」

「イーターか…」


  カルは色々考え、他の4人に伝える事にした。ジョシュとロンバルドと別れ、カルはヨウの家に向かう。帰り道にカルは考えていた。


 新しい家は今よりも確かに広い、申し分無いものだった。これから起こる事が過酷なものだあれは余計に安全な場所に住んだ方がいい、カルはそう考えながら家の多い住宅地の方に歩いて行く。畑には多くの野菜が実っていた、土と草の匂いが少しだけ鼻についた様な気がした…


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