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砂漠の城




 ダークエルフの里を離れ、まる2日歩き、やっと砂漠の入り口にたどり着いた。カル達は早めに休み、日の登らないうちに砂漠に入る事に決めた。

 ブリトニーの里から持って来た食料はまだまだ残っている。岩場の多い土地だった。森を抜けると徐々に緑は無くなって、岩のゴロゴロしている地形に変わって行った。そしてこの先がトーマ砂漠である。


 カルは上空から砂漠の民の居住地をあらかじめ探してあった。この場所から数時間歩くと、岩山の多い場所があり、その山に居住地らしきものが見つかった。


「明日は辛い移動になるかもしれないな」

「そうだね、今はこんなに涼しく感じるのに…」

「皆さんにこれをお渡しします。これは南国のヤシの実とオリーブの実から取れた油を混ぜて作った日焼け止めです」

「さすがはヨウだな。私はこんな肌だが、やはり日差しが強いのは流石に厳しいからな」


 ヨウは事前に日焼け止めを用意してくれていた。ヨウの笑顔を見ながらカルは頼りになるなと感じていた。


「ありがとう」

「ありがとう、ヨウ」

「ありがとう助かる」

「いえ、どう致しまして」


 食事をとり、その日は早めに休む事にした。


 翌朝、暗いうちに4人は歩き出す。砂漠に入ると、歩くのはかなりの体力を奪われる。砂に足を取られ普段以上に歩きづらかった。


  2時間程で夜が明け、容赦なく日差しが照りつけてきた。後2時間程歩けば砂漠の民の居住地に着く。


 4人は歩き続け何とか砂漠の民の居住地である岩山のある場所に辿り着いた。


  砂漠の民は非常に警戒心が強く、始めのうちは身構えていたが、ヨウの日焼け止めや薬を見ると心を開いてくれた。


  カル達が旅の冒険者で、砂漠の蜃気楼の城を調査に来たと話すと、村の長のような老人がその場所を知っていると話してくれた。


「その場所は砂嵐が酷く、巨大な化け物が守っているのじゃ。その城の中には誰かが住んでいるという話じゃが、誰も見た者はおらん。砂嵐が晴れると何かに映ったような城が現れるのじゃ」

「ここからは遠いのですか?」

「そうじゃのう、ラクダに乗って数時間は歩かないと」

「そうですか、ありがとうございます」


 今日はこの居住地に泊めてもらう事になった。


 そして翌日の早朝に城の場所に向かう。砂漠の民から水や食料を調達し、出発する。


 やはり数時間歩き続けると、かなりの疲労だった。


 徐々に風が強くなって行くのがわかった。城の場所に近づいているのだろう。例の化け物がどこから襲って来るのかはわからない、4人は警戒を強めた。風が嵐の様に強くなった。


 カルは気の同調を試みる。下の方にかなり大きな気を感じた。


「皆気をつけて、下にいるみたいだ!」

「わかったわ」

「はい、わかりました」

「ああ、わかった」


 地響きのような振動が来る。巨大な蛇かミミズのような生物が砂から現れた。サンドワームだ。


 セシルは空から魔法を打つ。ブリトニーは離れた場所から弓を続けて放つ。カルとヨウが近づいてガーランドと棒で攻撃する。


 しかし硬い外殻に阻まれてあまり効かない。


 カルはガーランドで強打しているが、硬い外殻は貫けない。

 サンドワームの腹の部分を狙う、ガーランドが腹を切り裂く。


「皆、腹の部分を狙って!」

「了解!」

「わかりました」

「ああ、わかったぞ!」


 4人は硬い外殻ではなく、腹の部分に攻撃を集中させる。


 セシルが空から氷の槍の魔法を放つ、

 ブリトニーも風の魔力を矢に込めて疾風のような矢を連続で放つ、

 ヨウは闘気を込めた棒で連続して突いている、

 カルはガーランドで連続攻撃、


 サンドワームも苦しいのか徐々に動きが鈍くなって来ている。


「よし、皆今がチャンスだ!」


 カルが叫ぶ、皆がそれぞれ集中力を高める。


「偉大なる緑麗の貴婦人よ、その力を我に貸し与えよ、緑麗人の大水流(チャルチウィクトリエ)


「アマミ流闘技術、竜撃!」


疾風の連矢(エアリアルショット)!」


「ドラゴンブレス!」



 4人がそれぞれ必殺の一撃を放つ。


 全ての攻撃がサンドワームに直撃し、サンドワームはドカンとすさまじい音を立ててその場に倒れ動かなくなった。


 サンドワームを倒した後、辺りに吹いていた風がやんだ。すると、蜃気楼の様な城が姿を現した。


《あなた方は何用でここにいらっしゃったのですか?》


 城か声が聞こえて来た。女性の声に聞こえる。カルはその声に答える。


「僕達は砂漠の涙を探しに来ました!」


《砂漠の涙…そうですか、あなた達だったのですね》



 蜃気楼の城はやがて本物の城に変わっていった。今は普通の城が目の前に建っている…。


「中に入れって事かな?」

「うん…」

「とにかく行くしかありません」

「そうだ、中に入ってみるしかあるまい」



  4人は城の中に入って行く。入った途端に城はまた蜃気楼に変わっていった。


 城の中は広く、床は大理石でできているようだ。入り口から真っ直ぐに伸びる廊下を4人は歩いて行く。


 その先の大広間のような場所に進んで行った。


 大広間に入ると、正面の高くなった場所に玉座と思われる椅子が置いてある。誰もいなかった。



「ここに呼ばれたのかな?」

「ここしか行けるところはなかったわよね」

「はい」

「うむ、この部屋に向かって行くしかなかったと思う」


 突然さっきの女性の声が響く。


「よくいらっしゃいました、ここは忘れられた時の城、私は城主のネフィと申します」


 今まで誰も居なかった玉座の椅子に、いつのまにか高貴な女性が座っている。


 4人は驚きながら女性を見た。


「あなたが砂漠の涙を欲しがる理由はなんですか?」


 カル達4人は女性を見つめる、驚くほどに美しい女性だった。どこか見覚えのある姿をしている。褐色の肌に民族衣装のような腰当て、左右の足は太ももまで露わになっていた。上着は胸だけを覆う水着のような衣装に白い布を肩からかけているだけだった。


「はい、僕達は砂漠の涙がここにあるのかを調べに来ました」

「砂漠の涙とはこれのことかしら?」


 そう言ってネフィは手のひらに持っていた宝石を見せる。資料で見たものと似ていた。


「はい、おそらくそれに間違いは無いと思います、しかしそれはネフィさんにとって大事なものですよね?」


「ふふふ、そうかしら?私にはどうでもいい物かもしれないわ」



 ネフィは何かを試しているのか、こちらの出方を待っているのかそんな表情で微笑んでいる。


  カルはこの場所に何となく懐かしさに似た感覚を覚えていた。それは何かはわからなかったが、なんとなくそう感じる。ネフィには何か知っている事があるのかも知れない、カルはそう考えて美しい女性の目を見つめていた…

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