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砂漠に向かう




 翌朝カル達はギルドにやって来た。受付嬢に依頼を確認してみる。


「ちょっとあけてしまい、ごめんなさい。また依頼を受けに来ました」

「ああ、カルさん久しぶりね」

「はい、よろしくお願いします」

「今はこんな仕事があるわね」


 受付嬢は依頼を見せる。


 今回はあまり難しそうな依頼は無かった。その中で面白そうなものを見つける。


 何々、砂漠の宝石「砂漠の涙」を見つけて欲しい、報酬は金貨200枚!?


「あの、この宝石の探索は僕らでも出来ますか?」

「ああ、これは…色んな方々が挑戦したんですけど、全て達成出来ずに終わってしまいまして…」

「結構難しい依頼なんですか?」

「そうですね、砂漠の中で宝石を見つける事自体が過酷な状況ですので、やってみますか?」

「ちょっと待ってください」


 カルはこの依頼の内容を他の3人に伝えてみる。


「砂漠って南の方だったよね?」

「私も砂漠には立ち入った事はありませんね」

「我が里の更に南の方だった筈だな」

「どうする、難しいとは思うけど、僕らなら出来るんじゃないかな?」

「やってみよう!」

「はい、私もやってみようと思います」

「うむ、水分の補給が課題だが面白そうだな」

「よし、じゃあそう伝えて来るよ」


 カルは受付嬢に依頼を受ける事を伝えた。


「はい、わかりました。それではよろしくお願いします」

「よろしくお願いします」


 カル達は家に戻り準備を始めた。今回は未知の場所、砂漠での探索だ。とにかく水の補給と食料の確保、まあ最悪飛んで補給すれば何とかなるだろう、とカルは思っていた。


 準備をそそくさと済ませた4人は早速出発する。ヴィスニーよりも更に南西の方角に砂漠はある。トーマと呼ばれる広い砂漠だった。この中に「砂漠の涙」と呼ばれる宝石があるのだろうか?


 カル達は日程を確認しながら砂漠に向かう。途中、迷いの森のブリトニーの里に泊まる事になった。


「ブリトニーもひと月ぶりくらいになるのかな?」

「ああ、その間は私も色々あったがな」

「族長としてはみんなの事を心配なんじゃない?」

「いや、私はジェスを信頼しているし、争いを起こしているわけでは無いしな」

「何だか族長のブリトニーと普段のブリトニーは全然違う人みたいですね」

「はははっ、まあ頑張って虚勢を張っているのさ」


 ブリトニーが微笑む。カルはすごく大人びて見えた。

  カルはあの夜の事を思い出し顔を赤らめてしまった。


「どうしたカル?顔が赤いが、熱でもあるのか?」

「いや、そんなんじゃ無いよ、大丈夫」

「そうか、ならばいいが…」

「カルがそうそう病気なんかならないよ」

「そうですね、カルには私の薬は必要ないですから」

「それって褒められてるの、かな…?」


  3人が笑う。カルは何とか誤魔化せた…と感じていた。


 その日は暗くなるまで歩き、一晩野宿をして翌日迷いの森に着いた。


 ブリトニーが帰って来たのに里のみんなが気づく。皆が集まって来た。


「ブリトニー様お帰りなさい」

「族長、元気にしてましたか?」

「族長!」


 カル達はブリトニーが里の者達に慕われているのがよくわかった。


「ああ、皆しばらくあけてしまって申し訳ない。しかしこれからもよろしく頼むぞ」

「族長、早く婿さん連れて来てくれよ!」

「そうだそうだ!」

「こ、こら、藪から棒に何を言い出すのだ!」


 ブリトニーは恥ずかしいのか、頬を赤らめ皆に向かってそう言った。


「皆さんお久しぶりです、ブリトニーを連れ出してしまい申し訳ありません」

「ほんとにごめんなさい」

「申し訳ありません」


  3人は里の者達に頭を下げて詫びた。里の者達は笑顔で答える。


「カル様、あなた方は里の恩人です、族長をよろしく頼みますよ!」

「よろしくお願いします」


 皆は好意的に思ってくれているみたいだ。ミー・リーとチムがやって来た。


「カル様、お久しぶりです」

「カル様こんにちわ」

「やあ、ミー・リー、チム元気だったかい?」

「はい!カル様達は今回も何処かに行かれるのですか?」

「うん、今回は南のトーマ砂漠に行くんだ」

「砂漠ですか?カル様達なら大丈夫だと思いますが、気をつけて下さいね」

「うん、ありがとう」

「カル様気をつけて」


 2人は皆の元に帰って行った。セシルとヨウは里の者達と話していた。ブリトニーもジェスやその部下のような人達と話している。


 ブリトニーがカルを呼んだ。


「カル、ちょっと面白い情報を聞いたぞ」

「え、どんな?」

「ジェスの部下のタイと言う者なんだが」

「ああ、カル様、実は砂漠にはこんな噂がありまして…」


  タイの話だと砂漠には蜃気楼の様に浮かぶ城の様な物が現れると言う。実際の蜃気楼の様に見えるが、その場所には入る事が出来て、中に誰かが住んでいる、との話だった。


「何でもいつ現れるのかはよく分からないらしいのです」

「うーん、これは手がかりかもしれない。ありがとうタイさん」

「いえいえ、とんでもございません」


  ブリトニーはカル達を自宅に呼び、今後の行動を話し合う事にした。


「さて、砂漠までは3日ほどかかる。補給はここでするとして、砂漠の蜃気楼の城をどうやって見つけるか、が問題だな」

「うん、暫くは砂漠に滞在する感じになってしまう…」

「それはできれば避けたいわね」

「すぐに見つかるとは限りませんから…」

「とにかく情報を集めよう」

「そうだな、砂漠に住む民もいると聞く」

「その人達にも話を聞かないとならないわね」

「はい、では補給をして砂漠の民を訪ねるという感じですね?」

「ああ、しかし砂漠の民は排他的で協力してくれるかは分からん…」

「まあ、とにかく行ってみない事にはわからないよ」

「そうね、まず行動!それが私達よ」

「はい、危険があっても今の私達には何とかなると思います」

「そうだな、それが一番いいのだろう」


 今日は休み、明日の朝に出発する事になった。

 ブリトニーの自宅にまた泊まる。

 カルは思い出してしまう…。


  夜中にドアを叩く後がする。

  カルはドキっとして答える


「はい?」

「カルよ、私だ」


 ブリトニーの声だった。カルは扉を開ける。ブリトニーは服を着ている。ちょっとカルは安心した。


「ブリトニー夜中にどうしたの?」

「ああ、この前の事を謝ろうと思っただけさ」

「気にしてないよ」

「そうか、ならば良いのだが…しかし、私はお前を諦めないぞ、私の気持ちは変わらない」

「…もう、ブリトニー」

「はは、しかしお前もこんな魅力的な異性に囲まれているのだ、ちゃんと自分の気持ちを示して欲しい。でないと、私は…」

「ブリトニー、わかったよ。考えて行動する」

「ああ、頼んだぞ、カル」


 ブリトニーはそう言って部屋を出て行く。後ろ姿も美しい。僕はどうすればいいのだろうか?そういったことにはまるで疎いカルだった。


 カルは今まで感じた事の無い感覚を覚えた。次第に瞼が重くなっていく。考えながら眠りに落ちていった…

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