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父の手紙




 遺跡の調査を終了しキスクの街にカル達は帰って来た。まずはギルドに報告する事になっていた。


「こんにちは、依頼を報告に来ました」

「カルさんこんにちは」

「遺跡の調査の結果なんですが…」


  遺跡はウバク神文明のもので石塔から魔力のようなものが発生していたことと、石塔の下に金属が埋まっていた事などを報告する


「はい、わかりました。ではこちらが報酬ですね」

「ありがとうございました、それではまた」


  軽く挨拶してカルは戻って来た。


「これが今回の報酬だって」

「はい、お疲れ様でした」

「これからどうしましょう?」

「うむ、一度戻るべきか?」

「とりあえず今は家に戻ろう」


 会話を終え、ヨウの家に向かう事にする。


  ヨウの家に着くと、夕方皆で食事をとる事になった。それまでは各自で行動する。


  カルは父の手紙を取り出した。


「とにかく今はこれに目を通そう…」


 カルは手紙の封を切り、丁寧に中身を取り出す。ポロリと何かが落ちた。鍵のようだった。


「これは何の鍵だろう?」


 拾った鍵を見つめカルがポツリと呟いた。手紙を読みだす。


「…愛する息子カルヘ


  君がこの手紙を読んでいるって事は僕に何かあったのかも知れない。


 カルはきっと強い男に成長していると望んでいる。父さんは君に伝えなくてはならない事があるんだ。


 カル、父さんはあるものをずっと守り続ける運命にあった。あるものを狙う組織も存在している。父さんはその組織に顔を知られ、キンクウに逃げる事になった。その時君の母さんと知り合い、君が生まれた。


  父さんには仲間が存在する。これはその仲間のジョシュに託した。詳しくはジョシュにすべてを聞くといい。


 この鍵をお前に託す。願わくば、君の大好きだったドラゴンのような強い男に育っていて欲しい。


 これから過酷な運命が待っているかもしれない、それを君に押し付けてしまうのは心苦しいけど、これも僕達の運命だと受け入れて欲しい。


 君をまたこの手に抱きたかった、君の成長をずっと見ていたかった。勝手な父親で本当にごめん。しかし僕は君もカレンも心から愛していたよ。


  カル、父さんは君を信じている。きっとすべてがうまくいくことを望んでいるよ。母さんや友人を大事にしてね。愛する息子へ


スレイ・エイバース」



  そう書かれていた。


 カルの目から涙が溢れた。


「父さん、僕は強くなったよ。仲間もいっぱい増えた、セシルもそばにいるよ…母さんも大切にする、そして父さんの大切にしていたものを守るよ」


  カルは心に誓った。


  カルはセシルに手紙の内容を話した。


「おじさん組織と戦っていたのかな?」

「うん、あるものを守っていたらしいよね」

「そうか、とにかくジョシュさんに内容を聞くべきね」

「うん、わかった、ありがとうセシル」

「カルには私がついてるよ、いつでも頼って」

「セシル…」


  カルはジョシュさんに詳しい事を聞くことに決めた。でも今はロランさんのところに行かないといけない。ヨウの防具とオリハルコンの事を聞かないと…。


  夕方酒場で4人は食事をとることになった。カルは父の手紙の内容を皆に話す。


「私はとにかく詳しい事を聞くべきだと思ったんでカルにそう言った」

「そうですね、現時点では私達がどういう立場になるかを知りたいですね」

「とにかく、私は何であれカルを信用する」

「皆んなの意見はわかった、僕に危険が及ぶかもしれないのは事実だと思う。詳しい内容は明日にでもジョシュさんに聞くつもりだけど、その内容によっては僕は皆んなと別れなくてはならないかもしれない。それだけは覚えておいて欲しい」


  カルは自分の意見はちゃんと言った。


「この、ドラオタ!カルのバカー!」

「本当です、何故あなたはいつも自分の事だけなんですか!」

「カル、私は仲間では無かったのか?私に手を差し伸べてくれると言ったではないか、私もお前が辛い時には手を差し伸べるぞ!」

「え、ええーーーっ?」

「たとえ危険だとしても、一緒に乗り越えて行くのが仲間でしょ」

「私も何度もカルに助けられてます、カルが危ない

時には私は必要無いということですか?納得いきません!」

「そうだ私はお前に恩を返したい、それで仲間になった

のだぞ、少し危険なら必要無いと言うのか?どうなのだ、カル?」


  僕は皆んなを心配して言ったのに、逆に怒られるとは…。

 皆んなの気持ちが嬉しかった。


「ありがとう、でも判断はそんなに軽率には出来ないと思う、僕にとってもみんなは大切な仲間だから…」

「だから話し合ってるんでしょ?」

「例えば私がカルの立場だったら、カルはどうしますか?危ないからやめろって言われて、はいって納得出来ますか?」

「お前はお節介な程私を助けてくれたじゃないか?私もお前がやめろと言っても、ついて行くぞ」

「ありがとう、僕は仲間にもっとわがままを言っていいのかな?」

「当たり前でしょ、これだけ一緒にいてやっとわかったの?だからあなたはバカなのよ!ほんとに」

「背中を預け合う仲間です、ずっと気を使い続けるのは辛いです、もしそうなら私は悲しく思います…」

「ああ、この中では私が一番新しい仲間だが、信じてもらえないのは辛いぞ…」

「ごめん、じゃあ僕の本当の気持ちを言います。僕に危険が及ぶとみんなにも危険が及ぶ可能性がある、それでもみんなは仲間として一緒に行動してくれますか?僕は皆んなとずっと一緒に戦って、冒険して行きたいです。大切な仲間と一緒に…うう、グスっ、ありがとう皆んな…」


 カルは本心を言った途端に涙が抑えきれなくなった。何故か涙が止まらない。


「当たり前でしょ、大体あなたは私がいないとダメなんだから」

「もちろん、どんなに危険でも私はカルについて行きます」

「ああ、私もそのつもりで里を離れたのだからな…」

「グスっ本当にありがとう、ううっ」

「カル、わかったからもう泣かないで」

「そうです、私達の前で泣くってことはやっと気兼ねなくなれたのではないですか?」

「私もお前達の前で泣きじゃくった…あんな気持ちは初めてだった…」


  カルはやっと涙が止まった。皆んなの気持ちが今まで以上にはっきりわかった。カルは素晴らしい仲間を持ったと心から思っていた…



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