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ウバクの真実




 カル達はウバク神文明の遺跡に辿り着いた。中央の石塔に向かって歩いて行く。文字の書いてある場所に近づく。


「僕はここで何をすればいいのだろう?」

「そうよね、どうすればいいのやら」

「カルの血を石塔につけるのでは?」

「うむ、カルはどう感じるのだ?」

「僕は血じゃ無いように思うんだけど…」


  その時何かを告げるようにガーランドが輝き出した。

「…僕を使って、僕を使うんだカル…」

「君を使えばいいの?」


  カルはガーランドにそう言われたのを感じ、ガーランドを石塔の前に掲げる。するとガーランドが輝き出した。

光がどんどん大きくなり、カル達4人を包み込む。


「いったい何が起こったの?」

「これは何なのでしょう?」

「光に包まれているのか?」

「大丈夫ってガーランドが言ってる」


 光の中に包まれたまま4人は見知らぬ場所に移動していた。今までに見たこともない光景だった。

  高い塔のような建物が辺りに立ち並び、大理石で出来た家や神殿のような建物が所狭しと並んでいた。その建物の柱や屋根などは金属で出来ていた。贅沢な作りというよりは美しい景観を保つためにそう作っているように感じた。そこは海沿いであり、波の音が聞こえてくる。


「いったいここはどこなんだろう?」

「私達のいた場所では無いようですね」

「そうよね、あんな建物は見たことも無いし」

「ああ、これは過去なのか?それとも未来なのか?」


 その時、 何処からともなく声が聞こえて来た。


「ははは、ここは遠い過去の世界だ、君たちの知らない失われた文明があった世界だ」


 声のする方を見ると、1人の青年がこちらを見ている。


「やあ、初めて会ったね。僕の血を引く少年よ」

「あなたはいったい…」

「そうだな、皆からは光の巨人などと呼ばれているが、そんなに大きく無いだろう?」

「あなたがウバクの神様なのですか?」

「うーん、ちょっと違うなぁ、僕は人なんだけど、失われた技術を持っている、という感じかな」

「失われた技術…」

「まあこの建物を見ればわかると思うけど、僕達はこの技術を持っていた為に滅んだとも言える。君たちはウバクがどうなったって聞いている?」

「はい、排他的な強硬派と他の民族と手を取り合う融和派に分かれて争った為に滅んだと聞いています」

「はははは、全然違う事を伝えられたみたいだね」

「そうなんですか?」

「うん、僕らはこの技術に溺れていたんだ。やがてあるエネルギーに手を出してしまった。それはこの地上にもともとあった地脈というエネルギーさ」

「地脈をエネルギーとして使ったのですか?」

「ああ、その為地上にとんでもない天変地異が起こってしまったんだ。僕らは自然を破壊し、土地を荒廃させ、生物を死滅させるほどの事をしてしまった。一度世界は滅んだんだ」

「世界が滅んだ…」

「自然とはものすごい力を持っていてね、僕達が滅んだ後、地脈の監視者を生まれさせた」

「もしかして、ドラゴンですか?」

「ああ、よくわかったね。その通りドラゴンさ」

「ドラゴンが地脈の管理者になったのはウバクが滅んだ後なのですね?」

「ああ、その通りだよ。ウバクが滅んだのは君たちの年代からすると10000年程前なんだ。その後数百年は何も育たない不毛の大地になってしまった。しかし人や他の生命は全部が滅んだ訳じゃ無かったんだ。僕の子孫もね」

「僕らは2000年程前と聞いていましたが…」

「それはその辺りから新人類の文明が起こったからではないかな?」

「お聞きしたいのですが、神とは何なのでしょうか?」

「うん、僕達は10000年も前の人間だけど、それよりも古い人々は存在していたんだよ。その人達はもっと進んだ技術を持っていたのかもしれない。だから人の一生が仮に50年として、その寿命を無くしてしまう技術を持ってたり、自然のエネルギーを使いこなせる技術を手にしていた人達がいてもおかしく無いとは思はないかい?」

「さらに失われた技術を持っていた人々が神という存在になったという事ですか?」

「まあそんなところかな?」

「ですがあなたも神と思われていますね」

「うん、生き残った人々が噂話をして作られたのが僕さ」

「ドラゴンが人に変われたりするのは何故ですか?」

「ドラゴンは元々人と爬虫類が融合した存在だったのだろうね、僕達が地脈を使った後に何かしらの影響を受けて、強い生物が生まれたんだと思う。魔力とはその地脈のエネルギーと僕達の技術がおかしな影響を受けあって生まれたものだと思うんだ。君たちがここに来たのも魔力によるものだろう?つまりは僕達の技術が使われているのさ」

「ここはどのような場所なのですか?」

「実は君達は君達の世界に今もいる。意識だけがここに来ているのさ。僕達の技術によって、僕の男系の子孫には誰であれ、波長というものを持たせたんだ。その波長と魔力によってここに君達は来ることができたんだ」

「そうだったのですね…今までわからなかった事がわかりました。伝承や歴史とは全然かけ離れているのですね」

「そういうものだろう、あ、そうだった。この記憶を通信している塔の下を掘ってごらん、君達にとって良いものが見つけられると思うよ」

「はいわかりました、光の巨人さま、お名前を教えて頂けませんか?」

「僕はミトラと呼ばれていた…君はカルだね?」

「はいなぜ僕の名を?」

「失われた技術さ、良いかい、必ず石塔の下を調べてくれ…」


 辺りが暗くなっていった…


 気がつくと元の場所にいた。辺りを見回す、みんな同じような表情をしていた。


「み、みんな光の巨人を見たかい?」

「ええ、見たわ」

「はい、見ました」

「失われた技術だったか?」

「そうか、みんな見たんだねちょっと安心したよ」

「ねえ、石塔の下を調べろって」

「私も聞きました」

「ああ、私もだ」

「うん、調べて見よう」


 4人は手分けして石塔の下を調べてみる。少しずつ叩いていくと一部音が違う場所があった。その場所だけすぐに石をどかす事が出来た。さらに掘り進んで行く。

 コツンと何かが当たった。さらに掘り続けると、50センチほどの金属の箱が現れた。


「これのことだよね」

「うん、そうだよね」

「開けるべきですよね?」

「うん、開けて見よう」


 箱はそれほど重い物では無かった。開けてみる…

 何かプシュっと音がして箱が開いた。中にはウバクで見た金属が入っている。文字の書かれたプレートも一緒に入っていた。しかし読めない。


「セシルお願い!」

「うん、任せて」


  いつものような手順でククルカンを呼び出す。


「うむ、セシルよ何か用か?」

「ご先祖様これを」


 ククルカンにプレートを見せる、


「何々、貴重金属を後世に託す、この金属はオリハルコンと呼ばれる。しかし、これよりも優れた金属は東方にあり、と書かれておるのう」

「伝説の金属オリハルコン…」

「ブリトニー知ってるの?」

「ああ、我が一族に一夜によって滅んだ国はこのオリハルコンを使っていたという伝承が残っている」

「これをどう使えばいいのか」

「ご先祖様はこれを知っていましたか?」

「うむ、聞いたことはあったが見るのは初めてじゃわい。これはセシル達が託された物じゃろう、使っていいと思うぞ」

「東国のさらに優れた金属に心当たりはありますか?」

「うーむ、それは我にもわからぬの、実際に行って確かめるのが良いかも知れぬの、それでは我は帰るぞ」


 ククルカンは消えて行った。


「とにかく一旦キスクに戻ろう」


 4人は街に戻る事になった。この金属をどう使えば良いのかカルは考えた。ロランに聞いてみるのが良いかも知れない、そう言えばヨウの防具もそろそろ出来上がっている筈だとカルは思い出し、足を踏み出した…

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