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王族の血筋







 ウバク神文明の情報を得たカルは、キスクに戻るとヨウの家に向かった。ヨウとセシルは家に戻っていた。


「お帰りカル、何かわかった?」

「ただいま、うん色々わかったよ」

「こちらは情報が少な過ぎて触りの部分だけしかわかりませんでした…」

「大丈夫、僕が聞いてきたのは…」


  そう言ってサンドラに聞いた事を2人に話した。


 ウバク神とは光の巨人で、神々を統べる存在、それ以外の神は邪神、魔神とされてしまう事、依頼の遺跡にはウバクの王族の子孫の男子が行けば何か起こるかもしれないということを話した。


「そう、さすがサンドラさんね」

「私達はウバク神文明が光の巨人を崇拝する人々の文明だったという事くらいしかわかりませんでした」

「どうしよう、ウバク国の王族ってすぐに見つかるだろうか?」

「うーん、調べるにも情報が少な過ぎるわね」

「ウバク国はなぜ滅んだのでしょうか?」

「お師匠様の話だと、余りに排他的過ぎて強硬派と融和派に分かれて国家内で争いが起こり自滅したってことらしい」

「でも人が全て滅んだ訳じゃなさそうね」

「うん、余りにも古い話だし、そこら辺に血が繋がってる人はいるかもしれないな」

「探してみますか?」

「とにかく情報を集めよう」

「はい、わかりました」

「わかったわ」


 3人は個々に噂や書籍などの情報を集めることにした。

ヨウは商館のツテを頼り、ウバクの頃の書簡や何かを持っている人を聞き、カル達は色々な伝承などを調べる事にした。

  数日が過ぎたが、未だに大きな情報は無かった。様々な場所にウバク神文明の遺跡は存在していたということと、ヴィスニーの近くに古い遺跡があるとの情報くらいしか無かった。3人は向かう事にした。


「そう言えばブリトニー達は元気かな?」

「近くまで行ったら寄ってみようか?」

「そうですね、会って話したいですね」


 途中迷いの森の近くを通るのでカル達は、ブリトニーに会いに行くこととなった。


 数日かけて、迷いの森に辿り着く。カル達が来たのを気づいたのか、直ぐに結界を解き、ダークエルフ達が迎えてくれた。


「みんなお元気でしたか?」


 カルが話すとミー・リーがこちらに近づいて来るのがわかった。


「カル様、その節は大変お世話になりました」

「やあ、ミー・リーも元気にしてたかい?」

「はい、おかげさまで里のみんなも元気にしています」


 ミー・リーの側に小さなダークエルフが近寄って来た。


「これは妹のチムです、チム挨拶して」

「カル様チム達を助けてくれてありがとうございました」

「こんにちわチム、よろしくね」

「こんにちわ」

「こんにちわ」


 3人に挨拶され、チムは照れたように微笑んで、恥ずかしいのかミー・リーの後ろに隠れてしまった。


「挨拶は済んだのかチム?」


 ブリトニーが歩いて来た。相変わらず戦闘服のようなセクシーな服を着ていた。ブリトニーには良く似合っている。


「ブリトニー様、こんにちは」

「族長、カル様達がいらっしゃいました」

「ああ」


 チムとミー・リーはブリトニーに挨拶し、その場を離れた。


「やあカル、セシル、ヨウよく来てくれた、歓迎するぞ」

「ブリトニーも元気そうだね」

「ああ、皆のおかげだ」

「そういえばヴィスニーの新しい領主は良く出来た方らしいね」

「私もそうお聞きしました」

「ああ、我々に直に挨拶に来てくれた、中々の人物のようだったぞ」

「良かった、僕も安心したよ」

「いい関係が築ければ我らは本望だ。それにしてもカル達は何しにこちらへ?」

「実は…」


 カルはブリトニーにウバク神文明の遺跡の事を説明し、古い遺跡を調べようとここに立ち寄った事をブリトニーに説明した。


「うん、あの遺跡か…あの場所に何があるかはわからんが、何か不思議な魔力を感じるのは確かだな」

「ここからだとどのくらいの距離だろう?」

「ああ、1日歩けば着くだろう」

「そうか、ありがとう。僕達は早速向かってみるよ」

「ありがとうブリトニー」

「ブリトニーまた会いましょう」

「おい、ちょっと待ってくれ、私もついていこう」

「え、本当に?でも無理はしないで」

「大丈夫だ、2、3日私がいなくても里がどうなる事も無かろう」

「ブリトニーが来てくれれば心強いな」

「ありがとうございますブリトニー」


 ブリトニーは里の者に事情を話し、快く引き受けてくれた。早速古い遺跡に向かった。

  ブリトニーは服の上に黒っぽいマントを着けていた。何故かブリトニーが着ると非常に洗練された装いに見える。


「これから行く場所に言い伝えのようなものはあるのかい?」

「うん、里に伝わる話だと、あの場所には見えないものが見えるようになる、という話が伝わっている」

「見えないものが見えるか…」

「ウバク神文明の遺跡なのかな?」

「そこまでは私にも解らない、しかし、古いものである事は確かだ」

「とにかく行ってみるしかないね」

「そうですね、行って調べるしか無さそうです」

「ああ、そうだねとにかく行ってみよう」


 カル達は歩いて遺跡に向かう。途中で日が暮れ、一晩は休み翌日にまた出発する事になった。その晩カル達は食事をとりながら話をした。


「ブリトニーは弓を使うのかい?」

「ああ、我々の伝統のようなものだ、ダークエルフは弓が上手い」

「でも近距離の格闘も強いのでは?」

「カル達には遥かに及ばないが、剣での訓練もしているぞ」

「そうなのですね、後方から支援攻撃をしてもらえたら前衛は助かりますね」

「うん、私もそう思う」

「そうだね、前衛と後衛のバランスがとれていればパーティのバランスは格段に上がるからね」

「ははは、そうであれば私がついてきた甲斐があるな」

「もちろん、感謝してるよブリトニー」

「ありがとう」

「ありがとうございます、ブリトニー」

「おいおい、そんなにかしこまらないでくれ。私も皆に感謝しているんだ、このくらいは当然だろう」


 そんな話をしてその夜は皆眠りに着いた。


  翌日、朝早く遺跡に到着した。確かに魔力を感じる場所だった。


「なるほど、ブリトニーの言う通りこの場所には魔力を感じるね」

「うん、魔物もいるかもしれない」

「そうですね、気を引き締めていきましょう」

「ああ、後方からの攻撃は任せてくれ」


 4人は遺跡に足を踏み入れる。鬱蒼とした森の中に遺跡がある、そんな場所だった。魔物も住み着いているらしい。しばらく歩いて行くと魔物達に遭遇する、すかさず攻撃し撃退する。ブリトニーの後方からの弓攻撃は効果的だった。


「ブリトニーありがとう、こういう戦い方は今までなかったけどすごく助かるよ」

「そうか、それは良かった」


 ブリトニーは嬉しそうに微笑んだ。前の悲しそうな微笑みとは違う美しい笑顔だった。カルはそんな笑顔に少し見惚れてしまったが、すぐに我にかえった。

 遺跡の奥に進んで行く、魔物を撃退しながら遺跡を調べる。特に今のところ変わった様子は無かった。


 奥に進むに連れ、魔力が強まっていく感じがする。さらに進むと神殿のような場所に出た。


「ここから強い魔力を感じるね」

「ああ、私もここまで来たのは初めてだ」

「何かあるのかな?」

「ええ、中を調べるしか無さそうですね」


 4人は神殿の中に入って行った。崩れかけている神殿だった。中は広く神殿の中央にオブジェのようなものが飾ってあった。4人は近づいてオブジェのようなものを調べる。何かが書いてあるのがわかったが、読む事は出来ない。魔力はここから強く感じる。


「これはまたセシルのご先祖様にお願いしようか?」

「わかった、やってみるよ」

「ご先祖様とは?」

「いいから見ていて下さい、ブリトニー」


 いつものようにセシルが親指を切り、ナイフに血を流す。ナイフは輝いて光を発し、光が消えるとククルカンが現れた。


「セシルや、また呼び出してくれたのじゃな」

「はい、ご先祖様この文字を解読して頂けますか?」

「うむ、やってみよう」


  ブリトニーは目を見開いてその光景を見ていた。


「大丈夫、心配しないで」


 ブリトニーにカルが優しく話かける。ブリトニーはカルにに向かって話す。


「しかし、あれは古の神ククルカンでは…?」

「うん、実はセシルのご先祖様なんだ」

「な、何と…お前達は本当に得体が知れないな…」

「ふふ、私も最初はそう思ってました、慣れとは恐ろしいものですね」


  ククルカンは文字を読み終えた。


「この場所に真実の鏡が現れる時、見えないものを示すであろう、と書いてあるようじゃ、これもウバク神文明の時代のものじゃな。しかしウバクのものとは違うかも知れん」

「同時代の異文明という事でしょうか?」

「うむ、ウバクのものとも考えられるが、違う感じがするのう。じゃが関係あるものじゃろう」

「なるほど、真実の鏡とは魔道具のようなものでしょうか?」

「遠くのものが見えたりすると聞いた事があるの」


 そんな話をしていると、辺りに魔力が強まるのを感じた。オブジェのような場所から声が聞こえてくる。


《我は真実の鏡、見ようと欲するは何か?》


「鏡は意思を持ってるようじゃな、我は一度戻るとしよう、さらばじゃセシル」


  ククルカンは消えていった。真実の鏡は何かを見せてくれるのだろうか?カルは考え、伝えてみた。


「真実の鏡よ、ウバク国の王族の血を引く男子はいるのか?」


 オブジェのようなものが輝き真ん中に何かが写し出された。そこに写し出されたのは見慣れた顔だった。


「何でカルが写ってるのよ!」

「確かにカルですね」

「え?僕がウバク国の王族の子孫?」


 真実の鏡は答える


《ここに映るは真実なり、その他は映ることはない》


「僕はウバクの王族…?」


 やがて鏡は消えて辺りに静寂が戻った。


「あんた何でそんな大事な事隠してたのよ!」


 セシルがカルによくわからない感情をぶつけた。


「いや、そう言われても今初めて知ったし…」

「カルには驚かされてばかりですね」

「うん、カルが失われた文明の王族の血筋とはな」

「本当にアンタはもう」

「と、とにかく戻ろう」


 そう言って、カル達はダークエルフの里を目指して歩き始める。夕方過ぎにブリトニーの里に戻って来た。今日はここで泊まることに決まった。


 ブリトニーの家に案内される。巨木を家にしたような家だった。中は驚くほどの広さがある。


「カルよ今日はゆっくり休んでくれ、心ばかりだがもてなそう」

「ブリトニー、ありがとう」

「ありがとう助かるわ」

「本当にありがとうございます」

「ああ、3人ともくつろいでくれ」


 ブリトニーがそう言うと、料理が運ばれて来た。その夜は村人達を交え宴が開かれた。楽しい時間が過ぎて行く。里の者達もカル達に感謝している事が伝わって来た。やがて皆がそれぞれ帰ってカル達とブリトニーが残された。


「そろそろ眠るとしよう、部屋は好きに使ってくれて構わないぞ」

「ありがとうブリトニー、おやすみ」

「おやすみなさい」

「それではおやすみなさい」


  3人はあてがわれた部屋に入って行った。カルはその夜考えた。王族の血筋とはどういう事なのか、誰か知る者はいるのか…しかしカルには分からなかった。とにかくあのウバクの遺跡にもう一度行ってみようと思った…





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