ヴィスニーの街での戦い!
ブリトニー達の話だと、まだ街に捕まっているダークエルフ達をがいるとのことだった。カル達は、急ぎ領主マズルの街ヴィスニーに向かう。ヴィスニーは交易の街として知られ、街の治安を守る為に私設の騎士団まで設置していた。最もブリトニーの話では、裏の稼業を守る為の軍隊との事だった。2日ほど歩くと道が広がり、人々の往来が目に付く。街まではもうすぐだった。
「やっと着くね、今日は宿屋で泊まれそうだ」
「本当、お風呂にでも入りたいわ」
「いいですね、私もお風呂入りたいです」
これからの事を考える。とりあえず情報を集めなきゃならない。どこにダークエルフを匿っているのか、どの様に密売されてるのか、全てを明るみにするとカルは堅く心に誓っていた。
日が傾きかけた頃、やっとヴィスニーに着いた。3人は宿屋を探す。酒場の併設した宿屋を借りた。3人とも直ぐに風呂に入り、旅の汚れを落とす。併設された酒場で食事をする事にした。
「やっと食事にありつけたね、お腹空いた」
「腹が減っては戦はできぬって言うからね」
「良く知ってますね、それは私の国の諺ですよ」
3人はシチューとパンを注文し、他にデザートなども食べた。普段の物から比べると非常に満足したものだった。お腹いっぱいになったところでカルは2人に話しかける。
「さて、これからだけど、情報を集めなくてはならない。ヨウには薬師として商館に行って話を聞いてみて欲しい」
「わかりました」
「セシルには貴族の様な格好をしてもらって、僕が従者の振りをする。お金持ちから話を聞ければいいかな」
「ドレス着れるの?やるやる」
「大丈夫?情報を集めるのが目的だからね!」
「わかってるって、大丈夫」
セシルはめちゃくちゃ笑顔なんだけど、大丈夫なのだろうか…?
「 じゃあ、これから服を用意しよう、僕も従者の、様な格好をしないといけないな」
「カル、妾が使ってやる故、よしなに」
「なかなかイケるんじゃないかな?」
「ふふふ、任せなさい!」
「ヨウは薬を用意してもらっていいね」
「はい、大丈夫です」
「よし、じゃあ行こう」
ヨウは宿屋に戻って薬の用意をする。カル達は服屋に出かけて行った。
小一時間ほどでカル達は帰って来た。セシルはそれらしい格好になって嬉しそうな表情を浮かべていた。カルは何となく暗い顔だった
「カル、どうしたのですか?」
「服屋に大分お金取られたよ、金貨10枚ってそんなにするのかな、こんな服…」
「ふふ、そのくらい問題無いですよ、私達はいつもは使わないですから」
「そう、ヨウがそう言ってくれるならいいか」
「そうよ、このくらい着てないとすぐに嘘がバレちゃうわよ」
「でもセシルが着るんだから別にな…」
「セシルがって何?セシルがって、カルの鈍感!」
「ええっ、何が….」
「何がじゃ無いわよ!このドラオタのバカ!」
ヨウが笑って見ている。大分この光景にも慣れたらしい。
「兎に角、今日はもう寝て、明日情報を集める事にしよう」
「そうですね、私は朝一番で商館に向かいます」
「うん、僕達も別の商館を訪ねてみるよ」
そうやってその日は過ぎて行った。
…翌日
ヨウは薬を売る為に取り扱っている商館に、カル達は買い物の出来る大きな商館に行った。
ヨウは薬を取り扱っている商館にやって来た。中で主人と見られる男に声をかける。
「すいません、こちらでは薬を買って頂けますか?」
「いらっしゃいませ、どんな薬ですか?」
「はい、東国と西方の薬を調合してあります。かなりの効果があるのでキスクでは評判も良いのですが」
「ではお客様はキスクから来られたのですね?はい、ちょっと見てもよろしいでしょうか?」
「こちらをどうぞ」
「ふむ、なるほど…」
「少し中を見てもいいですか?」
「はい、どうぞ」
ヨウは店内を色々調べたが特に怪しい感じは無かった。近くに人はいないか能力を使ってみる、しかしその場所には客と店の人間以外の気配は無かった。
「どの位の量をお持ちですか?」
「ええ、今は10錠程しかありませんが、もっと沢山作ることも可能です」
「それ全部で銀貨10枚くらいでいかがですか?」
「うーん、キスクですとその倍くらいで買って頂いてます。その金額ではちょっと…」
「そうですか、では同額をお出ししましょう」
「はい、ありがとうございます」
「あの、ご主人、こちらに亜人を買えるなどと言う話は聞いたことありますか?」
「亜人?あー、エルフかな?そうだね、結構領主様は使っているみたいだよ」
「そうなんですか、見たことが無いので、噂を聞いて見てみたいと思ったのですが」
「領主様は奴隷みたいに使っているらしいね、私共はあまりいい気はしないが」
「そうですか、ありがとうございます」
「はい、では金額はこちらでいいですか?」
「はい、確かに」
領主はあからさまにエルフ達を奴隷の様に扱っている…
ヨウは少し怒りを感じた。
カルとセシルは同様の事を聞いてみたが、やはり領主が奴隷みたいに使っているとの情報しか無かった。
こうなれば領主の自宅に行くしかない、そう思った3人は夜を待ち侵入することに決めた。
「マズルって奴許せないな」
「本当、頭に来ちゃう」
「絶対に許せません」
3人は昼間のうちに領主の自宅を下調べした。警備の騎士達が多くいるが、隙だらけだった。これならばそれほど手こずる事も無いと感じていた。
日も沈み、領主の自宅に行く。門前に2名の騎士が立っている。
「すいません、領主様に会いたいのですが?」
「誰だお前は?約束しているのか?」
「いえ、ダークエルフの事でちょっと」
「何だと貴様」
突然襲いかかって来た、槍をふりかざし上から下に振り下ろす、しかし遅い、カルはサッと避け首の後ろに気を込めた手刀を降ろす。もう1人が槍を突いてくる、槍を避けながら一歩踏み込み突きを打つ、騎士達は気を失った。カルが手招きするとセシルとヨウがやって来た。
正面の門から堂々と入って行った。家の前には誰も立っていない。扉は鍵がかかっている。セシルに上空から入れる場所を調べてもらった。窓の開いている場所があった。カルはヨウをかかえて飛んだ。窓の開いている場所から領主の家に入る。人の気配は無い。カルは闘気の同調を行い、人がどこにいるかを確認する。2階に数人、1階には10数人、さらに地下に数人の気配がある。
「どうやらエルフ達は地下にいるみたいだね」
「ここからどうするの?」
「こうなったら全員倒して行きましょう」
「それが一番早そうだ」
3人は覚悟を決めて外に出る、騎士達に見つかるよりも早く2階の騎士達を素早く倒した。
1階に降りて行く。騎士達の気配がする。どうやら詰所の様な場所があるらしい。カルはガーランドを構えて降りて行く、2人の騎士が立っていた。素早く移動し、一撃で倒す。後は詰所の中だ。
カルはコンコンと、詰所の扉をノックする。ガチャっと開いて騎士が出て来た。ガーランドで横にコメカミ辺りを叩く、騎士は倒れる。詰所の中にはまだ10人程の騎士達がいた。セシルとヨウを呼び、一斉に中に入る。
カルがガーランドを手に、ヨウは棒を手に、セシルはナイフを手に騎士と対峙する。
「なんだお前たちは?」
「侵入者だ!」
それぞれが立ち回っている。ヨウは棒で2人相手に戦っている。セシルは後ろから魔法を唱える、麻痺の魔法だ。カルはやはり2人を相手にしていたが、1人は肩に、もう1人は首にガーランドを叩きつけ、もう次の相手と対峙していた。
数分で戦いは終わった。カルが1人で5人、ヨウが3人、セシルは2人の騎士達を倒す。カルが1人のまだ意識のある騎士に聞く。
「ダークエルフはどこにいるんだ?」
「た、助けてくれ?」
「ダークエルフはどこにいるんだ?」
「ち、地下の牢に入ってる。鍵はここにある」
「ありがとう、鍵はもらって行くね」
セシルが麻痺の魔法を使って話した騎士を動けなくした。カル達は地下を目指し降りて行く。話し声が聞こえて来る。
「きっとブリトニー様が助けてくれる、今は我慢するのよ」
「うん、わかったよお姉ちゃん」
中には5人のダークエルフが囚われていた。カルは声をかける。
「僕達は冒険者です、助けに来ました」
鍵を開け、中のダークエルフ達を逃がす。怪我をしている者には魔法を使って治す。
「ありがとうございます」
「いいからみんな上に上がって」
階段を上って行こうとしたところ誰かが降りて来た。
「ネズミが侵入してたようですね」
「お前がマズルか?」
「領主のマズルです、私に逆らうとどうなるか知っているのですか?」
「どうなっても構わない、この人達は僕が助ける!」
「おやおや、国に対する反逆罪としてあなた達は死刑でしょう」
「このことが明るみになったらお前もただでは済まないぞ」
「明るみならならなければ良い」
後ろから大柄の男が降りて来た。
「ギグスよこいつらをやってしまえ!」
「了解だボス」
カルはギグスと呼ばれる大男と対峙する。身長は2メートルを超えている。カルはガーランドを構えて突進する。ギグスがカルの攻撃を腕で避ける、カルの連続攻撃、右、右、左、右ギグスは手で体を覆っているだけだ。あまり効いてもいないらしい。
ギグスが攻撃してくる。思ったよりも速い、
大剣を振り下ろす、
一撃で床が壊れる、
さらに横に払う、カルは身を躱して避ける、
カルは足を狙ってガーランドを払う、腿の辺りに傷が付く、
しかしギグスは何も感じていないようだ。
「お前の攻撃は軽いな」
「お前も意外にやるな!」
カルは右手を狙ってガーランドを突く、
手首辺りに刺さる、
連続して腕、肘、手首を突いていく、
みな当たるがギグスは気にせず大剣を振るう、
カルには当たらない、カルは不本意ながら本気を出すことにした。
「仕方ない、みんな下がって」
「くくく、何かやるつもりか?」
「本気を見せてやる、竜闘気!」
カルの周りに熱い気のようなものが集まり膨れ上がる。
巨大な闘気をカルが纏う。
「な、なんだこれは?」
「行くぞ!」
カルの攻撃、ガーランドを横に払う、さっきのスピードの数倍の速さだった、ギグスの脇腹に叩きつける、ギグスは横に飛ぶ、すかさずカルは距離を詰め、連続してガーランドを突く、甲冑はボロボロになっていく、ギグスは衝撃で口から血を吹く、最後にカルの力を込めた拳をギグスの腹に叩きつけた。
ギグスは動かなくなった。
カルはマズルに顔を向けた。
「お前は絶対に許さない!」
「ひ、ひえー、お前は一体何者なんだ?」
「僕は、竜王の弟子、カル・エイバースだ!」
カルの突きがマズルの顔面に当たった。手加減はしたので命に別状は無いだろう。鼻は折れてるかもしれないが…
ダークエルフ達を館から助けだし、街の外に連れ出して行く。マズルとギグスは館の柱に鎖で縛りつけて来た。
騎士達は地下の牢屋に入っている。やがて全てが明らかになるだろう。
街からダークエルフ達が去って行った、カルは疲れたと一言呟く。
「私達も帰りましょう」
「そうですね、ブリトニーさんに会ってキスクに帰りましょう」
「ああ、そうしよう」
カル達は宿屋に戻って行った。街にはまだ明かりが灯っている。お腹すいたとカルは思った…




