表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/100

旅の仲間




 朝早く目覚めたカルは、荷物の確認を済ませてガーランドを手に取る。父のローブを羽織って家を出る準備を終えた。


「母さん、それでは行って来ます。しばらく会えないけど、心配しないで。何かあれば直ぐに戻って来ます」

「うん、こっちは心配しなくて大丈夫よ。行ってらっしゃい」

「はい、行って来ます!」


  そんな会話をカレンと交わし、意気揚々と家を出る。セシルも丁度出て来たところだった。


「カル、丁度いいタイミングね」

「ああ、そうだねセシル」

「アンナおばさん体調大丈夫?」

「平気よ、今度帰って来る頃には弟か妹がいるのね」

「そうか、何だか楽しみだね」

「うん!」


 2人はそんな会話をしながら村を出て行く。途中村人達に激励の言葉をもらったりしながら歩いて行く。

 季節は春から夏に変わり始める5月だった。まだまだ肌寒い日もあるが、軽装で問題ない陽気が続いている。旅立ちに相応しい、気持ちの良い天気だった。

  セシルがカルに話しかける。

「ねえカル、街まではどの位かかるの?」

「そうだね、このまま歩いて行けば2週間ほどで着くよ。途中センの村で休んだとして、まあやっぱり2週間見ておけば着くんじゃないかな?」

「途中野宿もしなくちゃならないね」

「うん、それも冒険者の日常だね」

「ふふふ、こんな可愛い女の子と野宿なんて、カルもドキドキしてるんじゃない?」

「うん?そうだね、食料調達したり、安全な場所を探したり。あ、火もおこさないとだね!ドキドキするな」

「食料、火…」

「他に何か用意するものあるかな?」

「知らないわよ!カルのバカ!」

「ええっ、な、何で?」


 セシルは怒鳴ってトコトコと先を歩いて行ってしまった。カルは頬を掻きながら、セシルが何で怒ったのか考えていた…。


 いつの間にか機嫌の直っているセシルと、カルは街道を西の方に歩き続けていた。日も高くなり、お腹も空いてくる。

「セシル、そろそろこの辺で一休みしようか?」

「うん、そうね休もう」


 そう言ってセシルは家から持参して来たパンや果物を差し出した。


「はい、これ」

「あ、いいの?ありがとう」

 2人は木陰で休憩し、食事を取る。少し休んでまた歩き出した。


「センの村までは後4日くらいかかるよ、急いでいる訳ではないけど、食料も調達しながら行かないとだね」

「そうね、この辺りには食べられる野草やキノコも豊富だし、少しずつ手に入れていこう」


 そうやって2人は、食料を調達しながら歩き、野宿をして、やっとセンの村までやって来た。


「やっと着いたね、キンクウよりも大きい村ね」

「うん、ここは宿屋や酒場もあるから今日は寝床で寝れそうだね」

「とりあえず、宿屋に向かおう」

「わかったわ」


 2人は宿屋に向かう。一泊銅貨1人3枚との事だった。2人は別々の部屋を頼み、風呂に浸かり、旅の疲れを落とす。しばらくして食事に行く為、酒場に向かった。酒場には常連客と思われる客が数人と、何故か東国の服装を見に纏った、小柄な女性が1人いた。

 カルとセシルは鶏肉と野菜のスープと肉の料理をたのんだ。料理を食べ始め、話をしていると。誰かが話しかけてきた。

「あの、申し訳ありません。冒険者の方ですか?」

 良く見ると、東国の服装を着た女性だった。見た目は女性と言うより少女だった。小袖に緋袴、いわゆる巫女装束を着ている。小柄だが顔立ちははっきりしており、優しそうな眼差しを向けている。

 カルが答える。

「僕達は冒険者になる為に、これから西の街に行く途中です」

「あの、宜しければ御一緒させて頂けないでしょうか?」

「 え?僕達とですか?」

「ちょっとあなた誰?」

「あ、申し遅れました。私は東国より参りました、ヨウ・アマミと申します。旅をしながら薬を売ったりしている者です」

「薬を売るって、薬師の方ですか?」

「はい、そうです。どうしても西のキスクの街に行かなくてはならないのです。1人ですので、護衛をお願いしようと声をお掛けしました」

「確かに僕達も西のキスクの街に行くつもりです。セシル、良ければ一緒に行かないか?ヨウさん困ってるみたいだし」

「そうね、ヨウさん泊まるところはあるの?」

「はい、その先の宿屋に泊まります」


 ヨウは偶然にもカル達と同じ宿屋だった。


「僕達と同じところですね、これも何かの縁です一緒に行きましょう」

「そうね、私達で良ければ」

「本当ですか?助かります、ありがとうございます」

「僕はカル・エイバース15歳です」

「セシル・グレースよ、同じく15歳」

「よろしくお願いします」


 こうして3人で食事をとり、色々な事を話した。ヨウは東国の神職だと言う。東国の薬と西方の薬を調合すると、より効果の高い薬が出来、高く売れるとの事だった。この辺りで取れる薬草などを探しに旅をして来たらしい。


「ヨウさんは今おいくつですか?」

 セシルが聞く。

「はい、私はこう見えて18歳です」

「ええー?僕達よりも年上なんですね、驚きました…」

「東国の者は若く見られるようですね」

「でもヨウさん、ここまで1人で来たの?」

「いえ、商人の方に連れて来てもらいました。こちらの用事が済んだもので、誰か西に向かう方がいればご一緒したいと思ってました」

「でも僕達で大丈夫ですか?」

「はい、あなた方は驚くほど腕が立ちそうですので」

「え、そんな事わかるの?」

「私は人と変わった力があるんです。魔法とも違うのですが、生まれ持った力です」

「初めて聞きました」

「どんな力なの?」

「はい、人の気というか、エネルギーのようなものが見えます。カルさんには途轍もない程の力が見えます。セシルさんは魔力の強さが見えます」

「すごいものですね」

「私はこの力故に神職になったのです」


 そんな話をしていたら結構な時間が経っていた。3人は酒場を、後にし、宿屋に向かう。それぞれの部屋に戻り明日の準備をする。落ち着いた頃には夜も更けていた。


 カルはガーランドを手にベッドに入った。月が綺麗に見えている。ガーランドにおやすみと言って目を閉じる、直ぐに眠りに落ちて行く。返事をしたようにガーランドは輝いたが、カルにはもう見えなかった…


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 励みになりますので、評価の方をよろしくおねがいします!  なるべく続ける事ができるよう努力致します!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ