表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/100

ガーランドの事



 竜の口から帰って来たカルとセシルは、街に行く準備を始めている。出発は明日の朝だ。最小限の荷物だけ持って行く事にしてある。実は昨日の帰り、お師匠様が軍資金と言って、金貨を50枚もくれたのだった。この辺りでは金貨なんて殆ど見ることは無い。銀貨や銅貨で大体足りてしまうからだ。大きな街に行ったら装備を整えるとしよう。

 そうやってカルはいそいそと準備をしていると、カレンに呼ばれた。


「母さん、何?」

「カル、これを持っていきなさい」

「これはお父さんが使っていた物よ」


 そう言って深緑色のローブを渡す。


「お父さんの?すごい、嬉しいよ母さん!」

 

 カルは早速羽織ってみる。


「カルには少し大きめだけど、大丈夫でしょう」

「何だか父さんと一緒に旅ができるみたいだね」

「そうね、良かったわ」


 カルは嬉しくて、着たまま用意を続けた。


 そして、その日の夜、カルは明日が待ち遠しいのか、相棒のガーランドと一緒にベッドに入った。やがて眠りに落ち、しばらくすると、寝苦しく寝床が窮屈に感じ、眼を覚ます。


「ごめんなさい、カル、起こしてしまいましたか?」


 カルは寝ぼけながら答える。


「いや、大丈夫…って、ええ?君、誰?」


 裸の少女がベッドにいる。髪は綺麗な緑色をして、細身の美しい少女だった。しかも服を着ていない…。


「カル、ずっと一緒だったじゃないか。今更何言ってるんだい?」

「ずっと一緒って…」

「僕は君の相棒だよ。忘れてしまったのかい?」


 カルはまさかとは思ったが、聞いてみる。


「もしかして、君はガーランド?」

「そうだよ、思い出してくれた?ありがとう」


 ガーランドと名乗る少女は、嬉しそうにカルに抱きついてきた。全裸である。カルは思わす目を伏せたが、どうしても気になってしまい、チラッと見てしまった。


「何を恥ずかしがっているのさ?僕達ずっと一緒に戦って来たのに」


 全身を思わず見てしまったカルだが、この少女のスタイルの良さと美しさは認識できた。


「いやいやいや、裸はまずい。何か着て…」

「うん?あ、カル、僕の裸が気になるのかい?面倒臭いけど、君がそう言うなら….」


 ガーランドは光を帯び、緑色の服を着た状態になった。少女だが、男の子のような格好だ。


「ふぅー、でもびっくりしたよ。ガーランド、君は人の姿にもなれるのかい?」

「うん、毎回出来る訳じゃ無いんだ。月の影響なのかな?」

「月の影響?」

「今日みたいな、満月の夜には僕の魔力が高まるのさ。そんな時は人になったり出来る。君が側にいないと無理だろうけどね」

「僕が側に?」

「君も判ると思うけど、君と僕の相性はすごくいいんだ、波長が合うのだろう。そして君の波長と月の影響で僕は人に変わる」

「そっか、でも君と話せるなんて嬉しいよ」

「ああ、僕もさ。あの部屋で僕を見つけてくれてありがとう」

「君は月の槍みたいなものなのかな?」

「 ちょっと違うな。僕を作ったのは精霊だよ」

「精霊族?すごいな、見たことはないけど」

「はは、そうかい?もう随分昔の話だけどね」


 そう言ってガーランドは自分がどうやって作られたかを話してくれた。

 ……精霊族の王が、自分の息子にプレゼントする為に作られたらしかった。息子は大事にしていたのだが、跡取り争いに巻き込まれて、殺されてしまった。そしてガーランドには特色があり、持つ人によっては素晴らしい武器になるが、合わないと本当に使い辛く、飾りにしかならないようだ。いつしか結界にガーランドが使われ、それを見つけた竜族が魔石と引き換えに持って帰り、サンドラの元に渡ったとのことだった。


「じゃ、僕は君に選ばれたのかい?」


 カルがガーランドに聞く。


「うーん、運命みたいなものかも知れないな」

「そうか、運命か」

「でもありがとう、僕は君に会えて本当に感謝している。これからも僕を使いこなしてくれ、また機会があったら話そう…」


 ガーランドはすうっと消えていき、元の槍に戻った。


「ああ、ガーランドこれからもよろしく…」


 明日は街に行く、冒険者になる為に。そんなことを考えながらカルは再びベッドに入った。ガーランドをずっと手に持ったままだった…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 励みになりますので、評価の方をよろしくおねがいします!  なるべく続ける事ができるよう努力致します!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ