突入!
カルとステラとグリムの3人は東の森に向かっている。東の森までは馬で3日程の距離だ。カルとステラは走り、グリムは何と飛んでいる。
グリムには様々な魔法を付与されており、そのシチュエーション毎に引き出す事が可能なのだ。今は移動に特化した飛行魔法を引き出して、飛行移動している。
カルとステラは闘気を纏って、驚くべき速さで走り抜ける。ステラはいつもと違い、頭に防御用なのかティアラのようなものを被っていた。
「グリムさんにあんな能力があったなんて…」
「驚いた?ふふーん、私の傑作よ」
「やっぱりステラさんも凄いです!」
「そうかしら?うふふ」
これから魔族の根城に乗り込む割には緊張感が無かった。と言うよりも、今までの修行の自信のようなものも有ったのだろう。
「魔族のいる場所には当然魔物も沢山いるわよ、カルちゃん大丈夫?」
「はい、思い切りやってみます」
「それなら大丈夫ね」
「僕は、村を救います!」
グリムが降りて来る。
「前方に魔族発見…数、多数」
「カルちゃん、気をつけて!」
「はい、大丈夫です!」
カルはガーランドを構える。グリムが何か唱える
「射撃形態…」
グリムの小手が何やら筒のように変形している。
「ええっ?グリムさんの手が…」
カルは驚いた。
「長距離魔法特化型形態よ!」
ステラが補足した。
グリムが炎の魔法を打ちまくる。魔族達は何が起こったのかわからず、パニック状態だ。
そこにカルとステラが突っ込んで行く。左右に分かれて魔族を次々に倒して行く。
20体程倒して敵の姿は無くなった。
カルもステラもほぼ同数の敵を倒した。いつの間にかグリムは空を飛んでいる。カルとステラの側に着地し、話す。
「この先に魔物の反応多数…敵の本拠地と思われる」
「ここからは用心して進むわよ」
「はい、わかりました」
3人は歩いて進む。その先に異様な魔力を感じる。そっと辺りを見回す。どうやら地下に降りる道があるようだ。
「カルちゃん、ここからは熾烈よ。場合によっては、1人で行動しなくちゃならない事もあるわ、平気?」
「はい、この中にはステラさんよりも強い敵はいないと思います。負けません!」
「うん、それじゃ行くわよ」
「了解した…」
「はい!」
3人は根城の入り口に入って行く。多数の魔物の気配を感じ、3人は構える。狼のような魔物、オークやゴブリン、コボルトなどの気配を感じた。
カル達は突入する。気がついた魔物が次々に襲ってくる。最初にステラが光の魔法を放ち、かなりの数の魔物を倒す。カルは狼のような魔物、ヘルハウンドをガーランドで次々に倒して行く。グリムは真っ直ぐに突っ込み、襲って来るオークやゴブリンを突きや蹴りで倒していく。攻撃を避けようともしない。傷付いても何事も無かったように反撃し、倒して行く。
しかし、数も多い。苦戦とまでは言わないが時間を取られる。ステラはカルに向かい叫ぶ。
「カルちゃん、ここは任せて先に進んで!」
「わかりました、ステラさんグリムさん気をつけて!」
カルはガーランドで次々に敵をなぎ払い、その場を後に先に進んだ。
先の道はそれほど複雑ではなく、まっすぐに伸びている。途中、魔族を何体か倒し先に進む。広い場所に出た。大きな魔力を感じる。いた、紫色の肌に尖った耳、翼に灰色の体毛…ザインだ!
左右にザインの他2体の魔族が立っていた。
「おやおや、騒がしいと思ったら可愛い侵入者ですね?」
「僕は、キンクウのカル・エイバースだ!ザインお前を倒す!」
「ふふふっ…あなたが私に勝てますか?キンクウ…ほほう、金竜石の村ですね」
「そうだ、お前に魔石は渡さない!」
カルがザインに向かおうとしたその時、左右に控えていた魔族が襲って来る。2体とも細身の剣で武装している。左右同時に攻撃してきた。右の魔族の攻撃をガーランドで受け、左の魔物の攻撃は身を避けて躱す。動きはかなりの速さだ。だが見切れない程の速さではない。
「なかなかやるな、お前」
「やるやる、ひひっ」
2体の魔族は楽しそうに話してくる。戦う事を楽しんでいる。自分達は負ける訳が無いと思い込んでいる、そんな態度だった。2体とも黒い体毛に長い尻尾、鷹のような顔をしている。羽も鷹のようだ。
「俺はザル」
「俺はゾル」
そう名乗ると、また2体同時に襲ってくる。カルは右側のザルと対峙する。相手の剣を交わし、ガーランドを振るう、ゾルがやって来る。躱して距離を取る。攻撃を受けないよう、こちらから仕掛ける。
「はあああ!」
カルはゾルに突っ込んでいく、ガーランドを突き、払い、また突く。相手に休ませないような連続攻撃だ。
右、右、左、左、
相手のスピードよりもカルの方が上だった、
やがて相手が攻勢に出る瞬間にガーランドを突き出す、
ゾルの胸部にガーランドが突き刺さった。
「この野郎、ゾルを、よくも!」
ガーランドを引き抜き、ザルに対峙する。
1体なら大したことはなかった。
カルはザルの攻撃を最小の動きで躱し、わざと相手に隙を見せる。そこを攻撃してくる敵には必ず隙が生まれる。その隙を見逃さずにガーランドを横に払う。
ザルの腹部を深く切り裂いた。
「次はお前だ!ザイン」
「お見事ですね、しかし、私をそのザコ達と一緒にして貰っては困りますよ」
カルはザインと睨み合う。カルの中で何かが爆発しそうだった。しかし、どこか冷静に、自分を見つめられている。カルはそんな気がしていた…




