同調
ドラゴン・フォース…竜の闘気。カルは、帰って来てその事をずっと考えていた。
家の手伝いをしながら、闘気を同調させる。周りの草や樹木、鳥や、野生の獣、周りの人達…
様々な命を感じる。そして、「地脈」に同調しようと試みる…
地上の命は感じられた、しかし、「地脈」は何故か感じられない。
「何故だろう…?」
カルはそんな事を考えていた。魔物が襲って来てからすでに10日が過ぎようとしている。
「僕はシンさんやセシルを助けなくちゃならないんだ…」
そんな事をぼそりと声に出してしまった。
庭の掃除が終わって、薪割りをはじめた。
「前は大変に感じたのに、今は楽に出来るようになったな…」
ちょっとした事に修行の成果を感じてしまう。
少し嬉しかった。
誰かが近づいてきた、セシルだ。
「カル、いたいた。ねえ、カル毎朝出かけてるけど、ずっと祠に?」
「うん、ずっと僕は修行してる」
「本当にドラゴンの弟子になったの?」
「うん、僕はドラゴンの弟子になれた。セシルのおかげだよ」
「ふぅん、凄いね、ドラゴンオタのあんたが、本当に弟子になっちゃうなんて…」
「僕は確実に強くなってるよ、セシルもこの村も守るつもりだ!」
「カル、なんだか遠くに行っちゃうみたいだね…」
セシルが淋しそうな顔をして、目を伏せる。
「僕はずっとこのままだよ。セシル、安心して」
そう言って笑顔を向けた。
セシルはカルの笑顔にドキッとしてしまった。今までにない感覚だった。
今までカルは弟みたいなものだった。物心ついた頃から一緒に過ごしてきた。
頼りなくて、私がいないとダメ。
いつもボーッとして空想に浸っている。
とにかく、私がいないとダメなやつ!
でも、それが最近急に大人っぽくなってきた。
どうしたんだろう?
なんで気になるんだろう?
セシルの心は揺れていた…
「セシル、どうかしたの?」
カルに話しかけられて、我に帰ったセシルが
「なんでもないわよ!もう、カルのバカ!」
「え、えーっ!」
「カルのドラオタ!あんたなんか知らない!」
そう言ってセシルは帰って行った。
「僕、何かしたかなぁ…?」
セシルの心は読めないカルだった…
………次の日
カルはまた、竜の口地下の、広い部屋にやって来た。
サンドラとステラが待っていた。
「おはようございます、お師匠様、ステラさん」
「うむ」
「カルちゃん、おはよう」
「今日もよろしくお願いします!」
3人で時の間に移動する。
カルは闘気の同調を試みる。
「カル、良いか、大地も一つの生命と考えるのじゃ!そうすれば、そのエネルギーを感じられるはずじゃ!」
…大地も一つの生命、そうかわかった!
カルは再び同調して行く…
深く、深く…大きな存在に、もっと広く、感覚を広げて行く。
育まれている命、更にその命を育む命…
命を育むエネルギーの流れ…
感じる、大きく温かい、エネルギーの流れ…
ゆっくりと、ゆっくりと流れている。
「感じた!これが地脈!」
カルが疲労により、ふらつく。
サンドラが肩を掴み押さえる。
「あ、お師匠…さ、ま…」
気を失ってしまった。
何故かカルの顔は笑顔だった…




