初めての実戦!
カルとステラは時の間から戻って来た。
サンドラは見当たらなかった。
ステラが突然言い出す。
「はい、カルちゃん、実戦やろう!」
「はいっ!…ええー!?」
「あれ、何驚いてるの?やるって昨日言ったじゃない?」
「あ、そうでしたね、ははは…」
ステラは急に強い口調でカルに話す。
「カルちゃん!ハハハじゃないの!あなたは強くなる為に修行してるんでしょ?違うの?」
カルは、はっとして、ステラに向き直り話しかける。
「はい、そうです。僕は強くなる為にここに来ました」
ステラは、いつもの笑顔に戻って、
「わかればいいのよ」
と言って、カルの頭をくしゃくしゃとなでた。
ステラは何か思い出したように、
「あ、そうだ。カルちゃんに渡すものがあったのよ」
と言って、スタスタとどこかに歩いて行く。しばらくして、ステラは何かを持って、戻って来た。
「はい、これ、カルちゃんにあげる」
「あ、ありがとうございます。でも、なんでしょう、これ」
カルは、服のような物を手渡された。
「ジャジャーン、これは魔力を使って、作った服よ!少しくらいのダメージは効かないわよ」
「ありがとうございます。ステラさん」
「どう致しまして、それじゃ、早速実戦に向かおう!」
「はい、よろしくお願いします」
カルは、言われるまま、ステラに着いて行く。カルは貰った服に着替えていた。白い普通の服に見えるが、着心地が、今まで感じた事の無いくらい素晴らしかった。
「ステラさん、何処に行くんですか?」
「ふふーん、洞窟の入り口付近、魔法ですぐよ!」
ステラは広い部屋の隅の方に歩いて行く。そこには、何やら魔方陣のようなものが書かれていた。
ステラとカルが、その中に入った。ステラは何か喋りだす。
「最上階、入り口付近まで」
すると、魔方陣が光に包まれた…
カルは気がつくと、見慣れぬ場所にいた。
ステラが話す。
「今のはね、ゲートって言って、この竜の口の中ならどこでも移動可能よ!」
「は、はい。ちょっとびっくりしました」
「ちなみに、もう魔物が出るから気をつけてね」
カルの顔に緊張が走る。
「大丈夫、この辺の魔物なら、カルちゃんには束になっても敵わないわよ」
「はい、やるだけやってみます!」
そんな事を言ってる側から、魔物が現れる。
犬の顔をした小鬼、コボルトだった。小剣で武装している。
カルは身構える。
コボルトは、カルに向かって小剣を振りかざす!
カルは何故か落ち着いていた。
魔物の動きが良く見える、
剣の攻撃をさっと避ける、
コボルトは隙だらけだ。
カルは無意識に突きを出した、
1年間、毎日、毎日倒れるまで突き続けた「突き」だ、
ダダダっと3回ほど突きが当たる!
顔、胸、脇腹
コボルトは、ものすごい勢いでとばされた。
倒れたきり、2度と起き上がって来なかった…
「はい、良く出来ました!カルちゃん、どうだった?」
「いえ、なんと言うか…無意識に、手が動いてしまった感じです。ですが、あまりいい気持ちではありませんね…」
「あれ、どうして?」
「魔物とは言え、命を僕が奪ってしまいました…」
ステラが、カルに抱きついて囁く。
「カルちゃん、優しいね。でも、誰かなやらないと駄目な事もあるのよ。強さには責任が伴うの」
「はい、僕は、みんなを守るためなら、戦います!」
ステラが離れて、カルの頭をくしゃっと撫でる
「そう、それなら大丈夫そうね。じゃ、戻りましょう!」
ステラとカルはゲートを通り、戻って来た。サンドラはまだ見当たらなかった。
「それじゃ、僕は帰ります。ステラさん、また明日!」
「カルちゃん、気をつけてね」
カルは扉を開ける。グリムが無表情で立っている。
「グリムさん、また明日」
「カル・エイバース、確認した。気をつけて、カル、また明日」
グリムさんが、また明日って言ってくれた…
今日はちょっと嫌な気分になったけど、強さには責任が伴うのか。
僕は、少しだけ、ほんの少しだけ強くなっているのかも知れない…
カルはそう思いながら、いつものように、ネックレスを翳した…




