修行の始まりその3
カルはステラと話している。
「じゃあ、明日は何をしましょうか?」
ステラは楽しそうにカルに言った。
「うーん、突きはかなりの実力になったわね、じゃあ今度は蹴りかな?蹴りは2日間やります!」
「蹴り…ですか?」
カルは不安そうに言った。
「大丈夫よ、また、私も一緒だから」
「はい、よろしくお願いします」
「じゃあ、今日はもう帰って良いわよ」
「あ、そう言えば、外の女の人は誰ですか?」
ステラは少し考えて言う。
「ああ、ゴーレムちゃんの事かな?あの子は人形なの」
「ええっ、人形!? とてもそうは見えませんでした…」
「そうね、あれは私が作ったの。美人さんでしょ?」
「はい、確かに」
「仲良くしてあげね…そうだ!カルちゃん、名前付けて」
「え、はあ…」
あのゴーレムさん.額に文字が書いてあったな?
確か、「GLM01」だったような…
あ、ゴーレムだからGLMね…そうだ!
カルは思いついた。
「ゴーレムさんでは、確かに可愛いそうです。GLMなので、グリムさん、なんてどうですか?」
「グリムちゃん、あら、いいじゃない」
「じゃあ、伝えましょう。カルちゃん一緒に来て!」
「はい、わかりました」
カルとステラが扉を開け、外に出ると、ゴーレムは無表情で立っている。
「ゴーレムちゃん、あなたの名前が決まったわよ!」
ステラが楽しそうに言うが、相変わらずゴーレムな無表情のままだ。
「あなたは今から、グリムちゃんよ、良かったわね。名前はこちらの、カルちゃんが考えてくれたのよ。感謝してね」
ゴーレムは無表情に答える。
「私はグリム…?」
カルがグリムに話しかける。
「改めてお願いします、グリムさん」
「カル・エイバース、感謝する」
「いえ、どう致しまして」
カルはステラの方を見て話す。
「それじゃ、僕はこれで帰ります。そう言えば、お師匠様はどちらに?」
「ああ、お嬢ね?うーん、誰かのところに行ったのかしら…そのうち帰って来るわよ」
「そうですか、じゃあ、ステラさん明日もよろしくお願いします。グリムさんも」
グリムは相変わらず無表情だ。だがカルの方を見て
「カル・エイバース、気をつけて」
と言った。
「はい、ありがとうグリムさん!」
カルは、嬉しそうに帰って行った。
………そして翌日
カルは、またいつもの場所に着いた。グリムに話しかける。
「おはよう、グリムさん」
グリムは無表情に言う。
「カル・エイバース、確認した。通行を許可する。おはよう、カル・エイバース」
「グリムさん、カルで良いです。よろしくお願いします」
グリムは無表情のまま、何も言わなかった。
扉を開けて、いつものように入って行く。ステラが待っていた。
「はい、カルちゃんおはよう!」
「おはようございます、ステラさん」
「じゃあ、時の間に行くわよ」
「はい、よろしくお願いします」
時の間に着くと、ステラがまた手本を見せる。
「カルちゃん、いい、こうするの。ロウ、ロウ、ミドル、足を変えて、左ハイ!今度は左足で、ロウ、ロウ、ミドル、足を変えて右のハイ、やって見て」
ステラの動きは、はっとする程美しい動きだ。蹴りの威力は、抑えているとは言え、物凄く強力な感じがする。
「わ、わかりました。ロウ、ロウ、ミドル、足を変えて左ハイ…」
ロウ、ロウ、ミドル、足を変えて左ハイ
ロウ、ロウ、ミドル、足を変えて右ハイ
ずっと繰り返す。突きよりも動きがある分、体力を奪われていく…
何度も倒れ、また神秘の霊薬のお世話になる…
1月が過ぎ、3ヶ月が過ぎる。カルの蹴りに無駄が無くなって来た。
更に時は過ぎる…
1年が経つ…
「はい、これで今回は終了です!」
「は、はい、ありがとうございました」
ステラは、姉のような表情で、カルに話しかける
「いい、カルちゃん。もう、凄く強くなってるから、普通の人とケンカなんかしちゃダメよ。もしそんな事になったら、殺してしまうかも知れないの、注意してね」
カルは驚いて、ステラに話す。
「え、本当ですか?まだ自分では、自覚がありません…」
「うん、動きはまだまだだけど、威力は凄く強力なの。ちょっとした魔物なら、素手で倒せちゃうくらい」
「はあ、そうなのですか?わかりました、注意します」
「そうね、明日の修行が、終わったら実戦してみよう!」
「は、はい…」
カルは、ちょっと複雑な表情を浮かべた。
「それじゃ、帰りましょう」
「はい」
いつもの場所に戻って来た。
サンドラが立っていた。サンドラはカルに話しかける。
「おお、我が弟子よ、大事ないか?」
「はい、お師匠様、僕は元気です。ステラさんのおかげです」
「ふん、ステラがのう。…そうじゃ、おまえの村の魔石を、今、調べさせている。ちょっと気になるのでな」
「そうですか、何かあるのでしょうか?」
「うむ、詳しくは結果がわかってからじゃが、あの村の地脈は特殊なようじゃな」
「地脈…?ですか…」
「なんじゃ、お前はドラゴンが好きなくせに、地脈も知らんのか?」
「は、はい、ごめんなさい」
「なに、謝らなくとも良い。そのうち教えよう」
「よろしくお願いします」
「うむ、では今日は帰るが良い」
「はい、それでは失礼します。ステラさんも、ありがとうございました!」
「カルちゃん、また明日ね。おつかれ様」
カルは扉を開けて帰って行く。グリムが無表情に立っている
「グリムさん、さようなら!」
「…気をつけて、カル」
「はい…えっ?」
カルは、グリムが「カル」と呼んでくれたのに、少し驚いた。でも、それ以上に嬉しかった…




