修行の始まり その1
サンドラは腕を組んで考えている。カルを弟子にしたはいいが、まずは何をすべきか?
「ステラよ、カルに何を教えるべきかのう?」
「やっぱり、基礎体力を上げることがじゃない?」
ステラは微笑みながらそう言った。
「うむ、そうじゃ、それから始めるとするか!カルよ、これからお前にやってもらいたい事がある」
サンドラはカルの目を見て、力強く伝えた。
「は、はい!」
カルは何故か、ピシッと「気をつけ」の姿勢をとってしまった。
「お前は、30日後には魔族を倒せる程の実力をつけねばならぬ。その為、無理は承知で身体を作ってもらう。それだけではなく、体術の基礎も習得してもらう。良いな!」
「はい!」
カルは気をつけのまま、大声で答えた。
「うむ、ではこれから、ある場所に行ってもらうのじゃが、ステラにも行ってもらう」
「えー?何で私が行くの?お嬢は?」
「我は、もちろん、寝るのじゃ!」
「お嬢、ずるーい、私も寝たい」
「お主も長きにわたり眠っておったろうに」
「だって、私よりお嬢の方が強いじゃない」
「体術だけならお主と変わらんじゃろうが」
「見張りしないといけないじゃない?」
「見張りなぞ、ゴーレムにでも任せておけば良いではないか?…」
……………
またカルは取り残されている。
ポツリとカルが言う。
「あのー、すいません…僕は一度うちに帰りたいのですが…?」
2人がカルの方を向く。
「あー、そうじゃのう。そうであったな…よし、ならばその首輪をずっと持っておれ。しばし待つが良い」
サンドラがネックレスに手を翳す。サンドラの瞳が金色に輝く。
ネックレスに変化は見られなかった。サンドラが言う。
「その首輪に、ここまで来れるように、永続的な魔力を与えた。来た場所からこれを使えば、すぐにここに来れるじゃろう。その先の扉から入って来たのじゃろう?」
「…いえ、そちらの通路から、はい」
「ステラ、お主、左側に行けと伝えたのか?」
「えっ、え、ええ…寝ぼけてたのかしらねぇ?」
ステラの顔が引きつっている…。
「お主、酷いのう。やはりお主にカルと行って貰おう」
ステラは断れなくなった…
「もう、お嬢がそう言うなら仕方ないわ」
カルは聞いた。
「あの、因みにどこに行くのでしょうか?」
「うむ、時の間という場所じゃ。そこで修行してもらう。過酷じゃぞ、覚悟せい」
「時の間…ですか、はあ」
「うむ、じゃが今日は一度戻った方がいいじゃろう」
「はい、わかりました」
「良いか、明日起きたら直ぐにここに来るのじゃ!」
「はい!」
カルは振り返って一度お辞儀をし、ステラの魔法の扉からその場を後にした。しばらく歩いて行くとネックレスが輝く。最初に通って来た扉が現れる。
カルは迷わずそこを通り抜ける。光を抜けると祠の場所に来た。セシルが心配そうにこっちを見ていた。
「カルーっ!もうバカ!心配したんだから」
セシルが泣きながら抱きついて来た。
「セシル、ごめんね。でも僕はドラゴンの弟子になったよ」
「もう、いいから…ううっ、カル、いなくならないで…グスン」
「大丈夫、僕は絶対にセシルを守るよ」
「カルっ、カルー、うぇーん…」
「ごめん、帰ろう。セシル…」
カルはセシルを優しく抱きしめた。とても小さく感じられた…




