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Create・World・Online  作者: 迅風雷
第3章 星の降る島
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05『クラスアップ説明会』

 俺が転移したのは受付のシスターがいた場所の後ろに見えた、扉の向こうの通路にある部屋の一室、狭い部屋から出たら扉が等間隔で並んでいて困った。どれが出口だって思ったよ。

 まぁ、すぐに通路の置くから別のシスターさんが来て神殿の入り口に戻って来たんだけど、


「では、クラスアップした人への説明を行いますので、よ~く聞いてくださいね」

「よ、よろしくお願いします」


 直ぐに別の部屋に案内されてそこで待っていた人と“説明会”に参加することになってしまった。一応、また別の機会に聞くって伝えたんだけど、聞く耳を持ってくれなくて。無視して出ていこうとしたら手を捕まれて引き摺られ部屋まで連行されてしまった。なんであんな華奢そうな腕で人1人平気な顔で引き摺れるんだよ、この人のステータスどうなってんの!? 


「こらっ」

「ガッ!?」


 突然頭を叩かれ机に顔を勢いよくぶつけた、幸いLPは減っていない。何故叩かれた?


「これから説明するって言ってるじゃないですか~、余計な事は考えないようにお願いしま~す」

「ご、ごめんなさい」

「分かって下されば良いですよ~、他の皆さんもお願いしますね~」


 分かった、この人【読心術】を持ってるんだ、俺がシスターのステータスの事を気にしたから止めに来たんだ。余計な事は考えてはいけない、少なくとも今は話に集中しないと今の一撃がまた来る、気をつけないと。


「さて、皆さん準備が整ったようなので説明を始めますね~、まずは改めて、皆さんクラスアップおめでとうございま~す、今この部屋にいるのは“半人前”から“一人前”になれた方々です。これからもなお精進を忘れずより高みを目指してください、わたしは今回の説明会を担当することになった『ジーナス』といいます。では始めにこの説明会の主旨ですがーー」


 ジーナスの話を要約すると、まだ一人前になれたばかりだから調子に乗らず気を引き締めろって事と、基本を忘れず努力しろって事だった。それは仕事してる人なら上司辺りが言って聞かせるんじゃないかな? おっとりしてる目つきがちょっと鋭くなった、集中集中。


「とまぁ、心掛ける事はこれくらいにして、皆さんが聞きたがっている事を話しましょうか~、ミ~ちゃん」


 彼女の呼び声に答えて1匹の猫がどこからともなく現れた。色は白、その辺で見かける普通の猫に見えるが、


「この子はミ~ちゃん、わたしの使い魔です」


 使い魔? 確か魔女とかが使役したってやつだよな? 周りの人達は待ってました言わんばかりに目を輝かせてる。えっ、これそんな重要な事なの? 


「ん~、どうやら知らない人も居るみたいなので1から説明しますね~。こほん、使い魔とは神々がわたし達にお与えくださった力の1つです。その姿、能力は千差万別、わたし達と同じ人型からミ~ちゃんのような動物型、特殊な魔物型まで存在します。能力は大きく分けて2種類、冒険者や騎士と共に戦う戦闘タイプと生産職の補助を行う生産タイプ、そこから更に各分野に派生します。例えばこのミ~ちゃんは、戦闘タイプ補助・探索型と呼ばれるタイプになります。人や物探しを得意とし直接の戦闘を苦手とする使い魔になります、戦えない戦闘タイプの使い魔ですが、わたし自身が戦うジョブではないので特に困ったりはしていませんね」


 なるほど、能力次第では俺の足りないステータスを補う存在になり得るって事だな。

 しかし、戦わないにしては力がありすぎる気がするんだけど、この人どうやってあれだけの力を身につけ、


「ニャ!」

「痛ッ!?」

「は~い、まだ話は終わってませんよ~。集中して下さ~い」


 今度は使い魔の猫が俺の手を引っ掻いてきた。おかしい、猫に指示するような仕草はなかったのに、何かのスキルだろうか?


「それじゃあ次の説明に入りますね~、この使い魔ですが生涯で1度しか契約出来ません。つまり1体だけです。希に双子、三つ子が生まれることはありますが、基本は1体だけと思ってください。この子達は従魔、契約獣、召喚獣の3つの特徴を併せ持っています。まず、この子達は召喚獣同様魔力から生まれます、ですが、召喚獣と違い自我を最初から持っています、これは従魔、契約獣と同じですね。そして、契約獣と同じように自由に行動が可能で、従魔同様パーティーに入れる事が可能です。パーティー枠が空いていれば何時でも何処でも呼び出す事も出来ます、ここは契約獣、召喚獣と同じですが、契約獣と違い送還、つまり元々いた場所に戻す事は出来ません。それと亡くなってしまった場合ですが、その時は召喚獣同様、契約者の魔力に戻ります、大体1日経てば再召喚が可能になりますので基本的に死とは無縁の存在です、もちろん、契約者が亡くなればその限りではありませんが」


 契約者が亡くなれば消滅する、か。それ、俺達異人(プレイヤー)の場合はどうなるんだ? LPが無くなっても街に帰されるだけで本当の意味で死ぬって事は無い筈なんだけど、流石にそれはノルンでは分からないよなぁ。


「それでは最後にこの使い魔の契約方法ですが、こちらを使います」


 ジーナスさんが取り出したのは木目が目立つ仮面、明らかに木製だな。ただ、どっかで似たような物を見た記憶が、どこで見たんだっけか? え~と、……あっ、確かケイトさんが勝ち取ったって送られてきた物が仮面だった筈、同種の物なのか?


「これは『木製の仮面』という道具のレプリカです。本物とは違いますので強奪、なんて事は考えないようにお願いします。仮面系の道具は王国が管理する迷宮(ダンジョン)で発見される事が多いのですが、発見率はそれほど高くないので、自力で見つけるには根気と努力、そして運が必要になるでしょう。たま~にオークションに出されることもあるのでそちらを狙うのもいいでしょう、欲しい人は多いので相当値は張りますが、覚えておいて損は無い筈です。あぁ~それと、ダンジョンは誰でも入れますが実力が無い者は門番に門前払いを受ける事もあるので、強くなってから行く事を強くお勧めします、あと仮面には種類があって、この木製以外にも石製や鉄製、豪華や輝くなんて仮面もあります、現在確認されている物で一番良いと呼ばれているのが『神造の仮面』と言う物で、王国が出来てから2度しか発見されていません」

「仮面の種類で何が変わるんですか?」


 と、質問したのは冒険者と思われる軽装の男性、あの装備、俺のより性能が良さそうだな。でも装備の新調は流石に手が回らん。早いところ転移用のお金を集めないといけないしな。


「こほん!」


 おっといけない、またこっち睨んでるよ。なんか目の敵にされてねぇか俺? そこまでステータスを詮索されたのが気に入らなかったのか? 大丈夫だよ、もう気にしないから。


「え~、一概には言えませんが、自分のジョブにあった使い魔と契約しやすくなるとは言われてます。が、あまり気にしない方がいいかと、わたし自身『豪華な仮面』という結構珍しい仮面で契約しましたが、わたしのジョブに直接関係する使い魔とは契約出来なかった訳ですから、ほらこの子戦闘タイプですし。ですので、もしも手に入れたら神殿で早めに契約した方が良いですよ。狙う人も~、大勢いますので」


 おい、最後の忠告って俺に向けて言ってないか? 明らかに視線がこっちに向いたぞ。


「これで説明会はおしまいです、後ろの扉からご退出下さい。真っ直ぐ進めば大広間に出ますので迷うことは無い筈です、それでは皆様またどこかでお会いしましょう」


 そう言ってジーナスさんが部屋から出ていった。周りの皆も扉に近い順から退出していく。

 俺もさっさと帰ろう。時間も結構取られてしまったし、少し急いで、


「残念な事にアンタにゃまだやる事が残ってるにゃ」

「へっ!?」


 突然後ろから声をかけられ肩を掴まれた。振り返ると白い毛色の猫耳を着けたシスターが立っていた。


「だ、誰?」

「我はミリアリアと言う者にゃ、我が主の名でアンタを儀式の間に招待するにゃ。理由も根拠も既に分かってるにゃろ」

「え~と、またの機会じゃ駄目ですか?」

「善は急げ、思い立ったが吉日、我と主が好きな言葉にゃ。ってことでさっさと行くにゃ」

「ちょ、まだ返事はしてな、いっ! 痛いって引き摺るな! なんでここの女性(ひと)はこんなに力が強いんだ!?」


 今度は腕を掴まれ別の場所に引き摺られていく、もう少し優しくお願い出来ないですかね? 無理ですか、そうですか。

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