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Create・World・Online  作者: 迅風雷
第2章 王都への旅路
70/193

30『雨の中の襲撃』

せっかくの祝日なので、不意打ち投稿

土曜日は……頑張ります

「はぁ~」


 結局、俺の努力は実らず幼虫は見付からなかった。

 もう少し探索範囲を広げればよかったのかもしれないが、皆を待たせる訳にもいかず引き返してしまった。

 一応、お詫びとして何枚か葉を置いてきたが、幼虫がそれを食べてくれるかどうか、そもそもあの辺りにいなければ気付く訳もない話なんだけど、まぁ、俺の謝罪の気持ちを形にしたってことにしておこう。

 今は町を出て街道に沿って馬車で進行中、まだ虫の襲撃はない。

 門番さんの話だと道沿いに行けば襲撃されることはまずないとのこと、襲われたら運が悪かったと思って諦めろとも言われた。

 つまりジャイ・アントに襲われた俺達は運が悪かったと言うことか、俺、運が良い方じゃ無かったのか~、とため息を漏らしながら考えていた。


「ジンさん、姉さんがご迷惑を」

「ユキムラ君が気にする事じゃないよ、虫嫌いのネリネさんが笑顔で話し掛けて来た時に俺が気付けば何とかなったかもしれないけど、最後にはやっぱりこれを付ける事になった思うし遅いか早いかの違いだけだよ、きっと」

「それは、そうかもしれませけど」

「それにしても」


 俺は御者台の屋根の両端に付けられた筒、【虫除けのお香】を見て思った事をユキムラ君に問う。


「これって、同時に使う事前提のアイテムなのかな?」

「姉さんは1つじゃ効果が不安だからって言ってましたけど、僕が【鑑定】した限りそう言う物じゃない気がします」

「そうだよな、俺もそう思うよ」


 ちなみに鑑定結果がこれ、


【虫除けのお香】

『護木から削り出した木片を加工した物

 空気に触れると香りが溢れ虫を寄せ付けない

 効果は1日程』


 説明を見る限りだと、効果が終わる位に交換するのが正しい使い方だとに俺は思うのだが、


「同時に使用すると効果が増幅でもするのかね~」

「僕には分かりません、町の人なら分かると思うのですが」

「もう出ちゃったから確認のしようがないな、そういえば、それを知ってそうなお姉さんは?」

「2階でログアウトしました、今日は家族で外食をするので」

「そうなのか、あれっ? ユキムラ君はここに居て良いのか?」

「僕もそろそろ落ちます、その前に謝罪をと思って」

「ありがとう、それじゃまた明日だな」

「はい、それでは失礼します」


 ユキムラ君は馬車の中に戻り、皆に挨拶をしてログアウトした。

 いつもよりメンバーは少ないけど、【虫除けのお香(これ)】があれば問題はない、筈だ、たぶん、きっと。

 そう思うのはおじさんの話を聞いているから、つまり香りの聞かない虫がいる、という事実。その類いと遭遇しない事を願いつつ、俺は馬車を走らせる。まだ虫の姿は見えない。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 お香の効果があったのか昨日は虫に襲われる事なく順調に旅路を進める事が出来た。予定では今日中に王都にたどり着ける筈である。と言うことで、最終確認の最中だ。


「馬車よし! 馬と従魔の食事終了、武器防具の耐久値問題なし! いつでも行けるぞ」

「こっちも準備完了だ、そっちはどうだ?」

「少々お待ちください、お香の交換を忘れておりました、今変えますのでもう少しお待ちを」


 ネリネさんがお香を付け替え、全員で馬車に乗り込んだところで、イアンが話し出す。


「さて、予定では今日中に王都に着く予定ではあるが、今日は生憎の雨、虫達がどう動くかも分からない、よって尚一層の気を引き締めて行こう」

「「「おーー!!」」」


 イアンの掛け声に全員で答え、腕を振り上げる。こういう一体感があるのが良いよね、パーティープレイって。


「それじゃあジン、出発してくれ」

「了解、ガガ、ココもう少し頑張ってくれよ、しゅっぱーつ!」


 雨の中馬車は動き出す、地面が少々ぬかるんでいるせいか少々速さは落ちるが問題は無さそうだ。

 それから暫く道沿いに走っていた時だった。馬車に大きな衝撃が走った。


「なんだ? 大きな石でも踏んだのか?」

「いや、【気配察知】に反応がある、何かが馬車に重なってる?」

『皆! 外に毛むくじゃらの脚っぽいのが見えるよ!?』

『いやーー!? む、虫が直ぐ近くに!?』


 一体何が馬車に取り付いたんだ? 御者台からだと屋根が邪魔で馬車の上が見えない。


「シロツキ、ちょっと手綱(これ)持ってて」

「きゅ!?」

「大丈夫、少しの間だけだから、グレイス支えてあげて」

「ウォン」


 グレイスは手綱を持った(触った?)シロツキの背中を支える様に後ろに寝転がった。あれなら前に引っ張られない限り問題はないだろう、顔をシロツキの近くまで寄せてるから前に行ったらくわえるつもりなのかな?

 とにかく、今の間に上方の確認を、


「クモッス、クモが馬車に乗ってるッス!」


 クロウに先を越されてしまった、シロツキがこちらを責める様に見てくる。とりあえず、俺も確認しよう。

 御者台から身を乗りだし、屋根の上のクモを確認し【識別】発動。


【ハントスパイダー】対応rank:C

『あちこちを渡り歩き獲物を探すクモ 獰猛で非常にしつこい

 脚の先に隠し爪があり、それを相手に突き刺す事で獲物を痺れさせ捕らえる』


 なるほど、つまり現在馬車は獲物と見られてる訳だ。さすがギルドマスターの馬車だけあって爪が突き刺さる事は無いようだが、あの様子だといずれ突き破られるな、早く何とかしないと。


「イアン! 後ろから攻撃は出来るか!?」

「少し遠いがやってみよう! そおりゃあ!」


 イアンが大斧を勢いよく振り上げ馬車後方の一番近い右側の脚に当てた、俺はそれを馬車の前から見ていた。

 斧が当たった脚からは透明な液体が噴き出した。そして、


「ギシャァァァァァァァァァァ!?」

「効いてる効いてる、ってさらにミシミシいってるぅ!?」

「全員近くの脚を攻撃しろ! コイツを馬車から引き剥がせ!」


 イアンの声が響き各々が攻撃しだした、俺もマジックソードを操り攻撃が届かない場所に攻撃していく。

 少しずつクモにダメージは通っているが、馬車から離れない。それどころか、


「脚が壁を突き破りました!」

「ジロウ! そっちを頼む! こっちは何とかする!」

「了解、ハァァ!」

「クソッ! シロツキもう少し頼むぞ、俺も後ろの援護にぃ!? 今度はなんだ!」


 突然馬車が止まった、ガガとココは必死に前に進もうとしているが馬車は揺れるだけで一向に進まない。前に障害物があるようにも見えない、原因はなんだ!?


「ジンさん! クモがお尻から糸を出して木に固定してます!」

「マジか!? 糸を切ることは出来そうか?」

「さすがに距離があって槍でも届きません!」

「レキ! シャロンさん! 魔法でどうにかできないか!?」

『ゴメン! この雨の勢いだと風も火も威力が下がっちゃう』

『一応やってみるが、期待は出来ないぞ』

「だったら俺がマジックソードで斬る、誰でも良いからシロツキから手綱を預かってくれ!」

「だったら俺が!」

「任せたアンク君!」


 アンク君と入れ替わり馬車の後方へ、クモは巨木の幹に糸を張り付け馬車にしがみついているようだ。おのれ邪魔しよってからに。早速マジックソードで糸の切断作業に入る。だが、


「うげっ!? マジックソードにくっついた!?」

「粘着性が強いんだろう、蟻の時使ってた水属性の方が良いんじゃないか?」

「そうなのか? とにかくやってみよう」


 ウォーターソードを取りだし再トライ、マジックソードの時に比べるとまだマシってレベルだけど、これなら行けるか?

 少しずつ確実に糸を切断していく俺、脚への攻撃を繰り返す皆、新参のストレインとスクエールを含む従魔達も一緒に攻撃している。

 そして、クモの爪を3本、糸を半分まで斬った時クロウが叫んだ。


「右後方より新手の反応ッス! ドンドン近付いてくるッス!」

「このタイミングでか!? ジン! 糸はまだ斬れないか!?」

「もう少し待ってくれ、ようやくコツを掴めたところなんだ!」

『姿が見えたッス、形状はムカデ! 名前は【ハイポイズンセンチビート】!』

「今度はムカデかよ!?」

『また虫が、お香が効いていないのでしょうか?』

『この雨のせいで匂いが届いていないんじゃないの!?』

『もしくは~、昆虫には聞くけど虫には効かないとか~?』

『どっちも虫じゃないですか!?』


 いや、確か正確には違った気がするけど、ってそんな事考えてる場合じゃないな。おっとそろそろ糸が斬れそうだ。


「皆、もうすぐ糸が斬れるぞ! グレイス! 斬れたらガガ達には走り出す様に伝えて」

「ウォン!」


 グレイスの返事を聞き、糸を斬る事に集中する。あと少し、もう少し、斬れた!


「グレイス!」

「ワオォォォォン!」


 グレイスが叫ぶと馬車がまたゆっくり走り出す、だけどまだクモは馬車に乗っかったままだ。どうすれば、と思っているとムカデが馬車に横から体当たりしてきた、このままだと馬車が壊れる!? 本当にどうすれば~!?


「後ろから何かがまっすぐ来るッス!?」

「次から次へと、今度は何だ!?」


 クロウとイアンの言葉を聞き、馬車の後ろを見るとそこには、黒光りした体を持つ虫がこちらに向かって飛んできていた。

ジン達は突然の事で馬車を降りて戦うという選択肢を忘れております

ちなみに彼等のステータスでは、まだrank:Cの相手には逆立ちしたって勝てません。


それでは!

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