第4話「進と虎次の出会い」
腕から熱線を放った虎次は、肩で息を整えると、
すぐさまカリラのいた方向へと歩み寄った。
(…倒したっすか。取り敢えず、死体を見るまでは安心はできないっす。)
機械の右腕を構えたまま、虎次が砂煙の中を歩いていく。
もしもカリラが生きていれば、今度こそ止めを刺すつもりだ。
しかしその時、砂煙の向こうから声が響いた。
「…油断したざます…ね…」
虎次がその声に一瞬気を取られると、何者かに右腕を掴まれる。
(くぅっ!?ま、まさか生きて…!?)
砂煙が晴れた方を見ると、カリラが痩せた身体ながらも、
ガッチリと虎次の腕を掴んでいるではないか。
あの規模の熱線砲を受ければ、怪人であっても只では済まない筈だ。
困惑する虎次は、思わずカリラに問い質す。
「な…何で生きてやがるっすか…!」
困惑する虎次に対し、カリラは勝ち誇ったように言う。
「正直、流石におめーの熱線砲とやらを見た時には焦っただわさ。
だども…あたすの秘技『サライバブラスト』で、
多くの力と引き換えに唾液を吹き出して威力を弱めたんだど。
さて…あたすの美貌を台無しにする、悪い腕はへし折ってやるど。」
カリラはそう言い終えると、その握力で虎次の右腕をメシメシと締めつける。
身体こそ痩せているが、怪人ゆえにゴリラの握力は健在であった。
(…不味いっす、このまま熱線砲を放とうとしても、
溜めが間に合わないし、どうせアイツは空に逃げるっす…!)
虎次が義手を壊されそうになり、手をこまねいていたその時であった。
「全く…怪人が出たせいで、面接が延期ですよ…折角の準備が台無しです。」
そう言いながら、カリラの前にスーツ姿の青年が現れた。
リュックサックを片手で持った、佐藤進だ。
「…ッ、アンタ、俺のことは良いから離れるっす!こいつは只者じゃ…」
虎次は見ず知らずの進の身を案じ、直ぐに離れるように言った。
カリラはそんな虎次をあざ笑いながら、
「お前は後の楽しみにするざます」と言いそこら辺の地面へと放り捨てた。
虎次を放り捨てたカリラは、その場へと駆け付けてきた進を笑い飛ばした。
「おーほほほほ、そこの地味なおめー、ヒーロー気取りざますか?
このカリラ様に挑むなんて、1世紀早いざ~ます!
だったら、あたすは敢えておめーの土俵で戦ってやるだど。」
カリラはそう言うと、両腕を構え、戦闘の態勢を取る。
しかし進は、表情を変えずに言い放つ。
「はい、それは手間が省けて好都合です。」
進がそう言うや否や、素早くカリラの懐へと潜り込む。
そしてカリラの鳩尾を右手で掴み、親指を突き付けた!
(…ブチッ!!)
普通の人間ならば、精々その威力は貫手の範疇に収まる。
しかし、佐藤進の力は規格外だ。
その親指はカリラの皮膚を貫き、動きを固定させる!
「…ぐぅっ!?」
カリラが思わぬ痛みに悶絶する。そして──
「私の面接──そして、市民の生活を邪魔しないでください。」
進がそう言い終わると、左手に持っていたリュックを、
カリラの頭へと叩き付ける。
(ブゥンッ…ドゴォッ!!)
遠心力により、リュックが風切り音を立てて振るわれる。
そして、カリラの頭部はリュックの直撃で粉微塵になった。
「ふぅ…終わりましたか。さて、投げ飛ばされた方を助けに…」
進は一息つき、飛ばされた虎次を拾いに戻ろうとすると、
突如として進の背後から声がした。
「本当に助かったっす、いや、助かりました!アニキ!」
進が振り返ると、そこには擦り傷を負いながらも、
満面の笑みを浮かべた虎次が立っていた。
心なしか、虎次の目はキラキラしている。
(…はい…ん、アニキ…?)
進は思わぬ展開に、首を傾げた。




