第36話「強敵!ミズミズクラゲ」
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言葉を発さないが、何故かヒーロー達を見下ろすような気配を放つ水の塊。
その大きさと高さは、軽く10mを超えるものであった。
「……!!……これは、さっきの水……?」
巨大な水の塊が動く様子を見て、李夢は一瞬驚く。
すると、その水の塊は素早く肉体の一部を伸ばしたかと思うと、
いきなり李夢の方へとそれを向けてきたのであった。
普段の李夢であれば、この程度の攻撃は避けられた──筈だった。
不運な事に、今の李夢は目の前の光景に驚いた事が仇となり、
水の触手へと吸い込まれるように拘束されてしまった。
「李夢!!」
思わぬ衝撃的な光景に、悲鳴を挙げる禰音。
水の塊に閉じ込められ、少し焦りを見せる李夢。
(……ぐっ……この水の怪人、ここまで自在に水を操れるのか!?
そうか……この水が、一瞬あの怪人が言っていた『ミズミズクラゲ』か……!)
しかし李夢は、やはり一流の戦士であった。
(でも……所詮は只の水。ならば、自分に『有向力』を掛けるまで──)
李夢は腹筋を固めて、自分の腹部へと両手を添えて念じた。
すると、彼の身体は勢い良く後方へと吹き飛び、水の中から飛び出していった。
ミズミズクラゲの中から飛び出してきた李夢は、
有向力を活用して浮遊し、何とか進達の下へと着地する。
その様子を見た禰音と山賊バズーカが、李夢の下へと駆け寄る。
「大丈夫、李夢!?……怪我はないかしら!膝はぶつけなかった??」
「あはは、姉さん……大丈夫だよ。僕がちょっとドジを踏んでしまっただけさ。」
「……李夢の兄ちゃんが無事なのは良かったが、
この海坊主はちと厄介だな。多分、あいつは実体が掴み辛い生き物だ。
俺のバズーカじゃ、あの巨体に吸い込まれて不発になるのが関の山だろう。」
そんな3人を余所に、ミズミズクラゲは辺り一面に触手を伸ばしていく。
水であっても集まれば巨大な質量となるし、
細い流れでも勢いが強ければシャッターを貫ける。
5人のヒーロー達は、逃げの一手を取っていた。
(……自分の腕の熱線砲なら、多少の水は蒸発させられるっすが……
……あれ程の水じゃあ、先に義手のエネルギーが切れるっすね……。)
虎次についても、自分の技は通用しないと諦めて回避に徹していた。
そんな中、只一人禰音は、ナイフを持ってミズミズクラゲへと向かっていった。
「ちょっと、この水坊主!よくも私の弟に手を出したわね!
絶対に許さない……貴方の骨の髄までマナーを叩き込んでやるんだから!」
彼女はそう言うと、腕から電気を迸らせ、ナイフへと電撃を纏わせる。
(実体は掴めなくとも、水なら電撃を通す事が出来る!
つまり、私がナイフを媒体に電気を流し込めば、多少は効く筈……!)
禰音は、素早い身のこなしでミズミズクラゲに近付くと、
「たぁ!」と叫び、勢い良くミズミズクラゲの水の部分にナイフを突き立てる。
「エレクトリシティ・オーバーフロー!!」
そして、ナイフからミズミズクラゲへと電撃が流し込まれる。
電撃により沸き立つミズミズクラゲの水の肉体。
さしものミズミズクラゲの肉体も、電熱によって蒸発していく──かに見えた。
勝利を確信していた禰音であったが、次の瞬間、
彼女は信じられない光景に遭遇する。
何と、禰音が突き刺していた水の肉体が、
突如として「バシャン!」という水音と共に元の水へと戻ったのだ。
「きゃああっ!!?」
その勢いにより、禰音は後方へと押し流されてしまう。
一方、既に態勢を整えていた李夢は、ある物を視界に捉えていた。
何と、上空にあった水の塊に、クラゲが一瞬泳いでいたのを見逃さなかったのだ。
(……上空の水の中にクラゲが……!?
そうか……あのクラゲが水を操っていたのか……!)
敵の正体を確信した李夢は、他の4人に向けて叫ぶ。
「皆聞いてくれ!ミズミズクラゲは水が本体じゃない!
あのクラゲこそが、本体として水を操っていたんだ……!!」
「──何だって!?」
その報告に、禰音、虎次、山賊バズーカは衝撃を受ける。
しかし、敵の正体が分かったものの、
ミズミズクラゲは落下しながら、細い触手を勢い良く伸ばす!
その触手の先にいたのは虎次であった。
「くうっ……ここでやるしかないっすね……!」
虎次が覚悟を決めて熱線砲を出そうとしたその時──
「──そこまでです。弟子に触らないで下さい。」
何と、進が爆速で虎次の前に現れたのであった。
そしてそのまま、進は迫りくる触手を手で叩いた。
するとミズミズクラゲは風圧で勢い良く吹き飛び、
「バシャン!」という音と共に、左の壁へと叩き付けられた。
あまりの出来事に、唖然として固まる4人。
視力の良い李夢が左の壁の方に近付いて見ると、
そこにはバラバラになったクラゲと思わしき物体があった。
「……あはは、どう見てもこれはミズミズクラゲの本体だね。
僕達の苦労って何だったんだろうな……と思う時があるよ、全く。」
禰音と山賊バズーカはそんな李夢を見て、労いの言葉を掛ける。
「がっはっは!まあそう自分を責めるな!皆ナイスファイトだったぞ!」
「そうよ、あたしの方が普段だらしないダメ人間なんですから!
自信を持つのよ、私の可愛い弟♪」
こうして、どこか締まらない感じではあるものの、
進の手によりミズミズクラゲは倒されたのであった。
そして5人は、出酢泥井の最深部へ向けて進んでいく──
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