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第32話「反逆のヒーロー達」

──ここで少し時間は巻き戻る。


禰音とタイガーバズーカの決着が着く前、

李夢はイルカ公園の上空で浮遊し、一人思案していた。


(あの虎の奴は厄介な怪人だけど、姉さんなら大丈夫だろう。


それよりも……出酢泥井の連中は、僕たちの名前や能力を、


まるで事前に調べているみたいに知っていたな……。


恐らくは何らかの手段で、僕たちの戦闘を記録しているのだろう。)


彼はそう結論付けると、先ずは上空へと飛び上がり、辺りの空を確認する。


(──戦闘の記録は、やはりスパイカメラで撮るのが定番だろう。


それなら先ずは、ドローンを探す……。)


しかし、空中には特に手掛かりとなるものは見つからなかった。


(……空中にはカメラらしきものは無いか。それなら、今度は地表を探すか。


カメラが隠れていそうなのは……瓦礫や茂みみたいな細々とした所かな。)


李夢は地上の方へと当たりをつけると、

少し地面の方へと近付いた後、両手をばっと勢い良く上に挙げる。


「──有向力・浮遊。」


すると、公園にあったの瓦礫や茂みがゴトゴトと揺れたかと思うと、

次々と石ころや植木が浮かび上がっていく。


李夢がベクトル操作の能力により、地表の色々な物を持ち上げたのだ。


(因みに禰音とタイガーバズーカの周囲は、器用に浮かせなかった。)


そして李夢は地表の瓦礫を浮かび終えると、具にそれらを観察する。


(──集中しろ。塵の一つも見逃さない意気で!)


凄まじい視力と集中力で、一つ一つの瓦礫を見渡す李夢。

すると彼は、蝶のような物体を発見する。


左手で瓦礫を浮かせたまま、その物体に近付き、右手で掬い上げる。


(……間違いない。蝶型のスパイカメラだ。頭にカメラらしき穴がある。)


用を済ませた李夢は、浮かび上がらせた物を器用に元に戻すと、

禰音の下へと駆け付けていった。


禰音は既に、タイガーバズーカを倒し終えた後であった。


「お待たせ、禰音さん……どうやら、虎の怪人は無事倒せたようだね。


僕の方は、先にヤマアラシを倒した後、スパイカメラを見つけておいたよ。」


李夢はそう言うと、禰音に蝶型の監視カメラを見せる。


「え…?ヒーロー達を隠し撮りしていたの?ドン引きするわこれ……。


でも、よくカメラなんて見つけてくれたわね。流石私の自慢の弟♡」


(……僕は一応、公私混同しない様にしているんだけどな。)


禰音と李夢はそんな姉弟のやり取りをしつつも、顔を引き締めて話し合う。


「李夢……出酢泥井の隠しカメラを見つけられたのは大きいわね。


傭兵を経験した私たちの力と、カンパニーの技術班の力が有れば、


カメラを逆探知して出酢泥井のアジトを割り出せるわ。」


「わあ……楽しみだなー……出酢泥井の奴らを、ベクトルで潰してやるのは。」


するとそこへ、進が走りながらやって来た。


「申し訳ございません、李夢さん、禰音さん。


残りのリザードマンの討伐と、被害者のメンタルケアを行っておりました。」


進は飽くまでも申し訳なさそうに、淡々と話す。

しかし鳴神姉弟は、唖然とした顔をしていた。


(私達が怪人と闘っている間に、全部の歩兵を倒して、


被害者のメンタルケアまで済ませたの……?手際が良すぎるわ!)


(あはは……僕は既に驚かないよ、姉さん。)


それでも、禰音は先輩の威厳を見せるかのように、必死に言う。


「ありがとうございます、佐藤さん。


Cランクヒーローとしての働き、誠にお疲れさまでした。」


◆


こうして、イルカ公園での戦いは終わりを告げた。


禰音達はヘラクレスカンパニーのスタッフに要請し、

被害現場の後処理を進めた後、車でヘラクレスカンパニー本社に戻った。


数日後、彼女は6Fにある会議室にて、

出酢泥井への突入作戦を決行する旨を伝える会議を開いた。


そこには禰音の他、李夢、進、虎次、そしてその他のヒーロー等がいた。


「──この度は早くからお集まりいただき、誠にありがとうございます。


先日よりヒノカ首都を騒がせていた出酢泥井の件ですが、


この度は技術班主導のスパイカメラ解析により、


出酢泥井のアジトが特定されました。場所はヒノカ首都・明星区の外れです。


つきましては、我々ヘラクレスカンパニーは、


出酢泥井のアジトへと総攻撃を行います。予定日は2日後の夕方となります。


尚、同アジトには危険な改造怪人が多数存在すると思われますので、


くれぐれも身の回りには注意を払って下さい。」


「はい!」


禰音の話に、元気良く返事をするヒーロー達。


しかし──出酢泥井のアジト、モニター室の中では、

ボスの恐山が不敵に笑っていた。


「……フフフ、私がカメラの逆探知に気付かないと思っていたのかね?


私達の技術力ならば、遠隔でカメラを自壊させることも出来たのだ。


だが、ここは敢えてカメラを解析させたのだよ。


全ては、我が最高傑作『パーフェクト・マニュアル・モンスター』……


究極の生物の力を世に知らしめるためにな。」


ヘラクレスカンパニーと出酢泥井──両者の決着が着くときは近い。

──いざ、出酢泥井へ!頑張れ、ヘラクレスカンパニーのヒーロー達!!


今回のエピソードはいかがでしたでしょうか。

もしも「この小説が面白い!」「これからの展開が気になる」という方がいましたら、

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