第31話「禰音VSタイガーバズーカ」
バレットヤマアラシを倒した李夢は、やれやれと一息をつくと、
すぐさま辺りを見渡し、ベクトルによる飛行で公園の上空を旋回する。
(……ふぅん、既に多くの市民は逃げ去っているか……さて、
こうなれば僕の成すべき事を準備しておくか……姉さんなら、
あの虎ぐらいは倒せるはずだろうし。)
李夢はそう考えながら、どこかへと飛び去って行った。
──一方、タイガーバズーカとは、鳴神禰音が戦っていた。
彼らは李夢やバレットヤマアラシとは対照的に、
泥臭く殴り合いを繰り広げていた。
「喰らうだがや!瓦をも容易く割る吾輩のタイガーナックルを!」
タイガーバズーカは背中にバズーカ砲を背負いながら、
禰音に向けて正拳突きを見舞う。
しかし禰音も一流のヒーローだ。彼女は怪人の拳を見切って右に躱し、
逆に右手に持ったナイフでカウンターを浴びせる。
「甘いわね、こっちはナイフのカウンターよ!」
タイガーバズーカは禰音のナイフの直撃を躱すも、
避け切れずに少し装甲を削られる。
「……くそっ、小賢しい奴だがや。ならばこれでも喰らうが良いわ!」
そう言うとタイガーバズーカはスピードを上げ、
爪を展開しながら、左手で大振りに禰音を殴ろうとする。
「所詮は殴るだけ……芸がないわね」
禰音はそう言いながら、自前の電撃で筋肉を刺激し、
猛スピードで怪人に近付く。隙を突いて一気に止めを刺すつもりだ。
(……ここなら、直ぐに刺せばいける!)
禰音が左側へと回り、ナイフを怪人の首筋に浴びせようとした瞬間──
何とタイガーバズーカは右足を斜め横へと突き出し、禰音を吹き飛ばした。
「あうっ……!!」
呻き声をあげながら転がっていく禰音。
タイガーバズーカはその隙を逃さず、両手の爪を突き出して飛び掛かる!
「一気に止めを刺そうと油断しただがや!さあ消えろ、鳴神禰音!」
禰音は危うし……と思われたが、彼女は何とか勢い良く転がり、
タイガーバズーカの追撃を躱す。そして両者は再び向き直った。
(……いけないいけない、私とした事が、
あのマナー違反の怪人を倒そうと周りが見えなくなっていたわ。
私ももう少し、修行が必要ね……。)
禰音は少し自身の油断を反省しつつも、身体から電撃を発し、
本気の構えを見せる。ナイフを片手に、ファイティングポーズを決めた。
「……ほう、遂に本気を出すか。じゃが、この吾輩に容赦はないだがや!
お待ちかねの必殺技『デストロイバズーカ』だがや!!」
タイガーバズーカはそう言うと、背中からバズーカ砲を取り出し、
どや顔になりながら両手でそれを担いだ。
禰音は怪人の動きを見て、後ろの方へと距離を取る。
「がーっはっはっは!!逃げても無駄だがや!
このデストロイバズーカは一度撃ったら最後、
爆発するまで相手を追い掛けるだがや!
いくら身体が頑丈でも、木端微塵間違いないでよ!!」
そう笑いながら、タイガーバズーカはバズーカの引き金を引く。
すると、砲口からは勢い良く巨大な弾が飛んで来る!
(ドガァン!……ギュウウウウン!!!)
そして弾は機械制御により、一直線に禰音の方へと向かっていく。
禰音の間に合わない……と思われたが、何と彼女は直立不動の構えであった。
信じられない事に、禰音はバズーカの弾を前にして、一歩も引いていない。
彼女は静かに呼吸をし、両手をグッと握りしめる。
すると──「バァン!!」という音と共に、
彼女の周りに電撃のバリアが造り出された!その大きさは半径10数mにも匹敵する程だ。
(……ボガァン!!)
バズーカの弾はそのバリアに巻き込まれ、禰音に当たらずに爆散した。
その様子を見て、愕然とするタイガーバズーカ。
「……な……嘘だがや……こんな切り札があったなんて……。」
一方の禰音は凛とした顔でタイガーバズーカに向き直る。
「どうかしら?自慢の技が効かない気分は……
それじゃあ、今度は私の必殺技も見てくれるかしら?」
禰音はそう言うと、右手の指先をタイガーバズーカに向けて、電撃を迸らせる。
「──エレクトロビーム。」
その言葉と共に、禰音の指先から凄まじい電流が迸る!!
タイガーバズーカは躱す事ができず、直撃してしまった。
「ががががががっ……!?こんな……馬鹿な……今世紀最大のトラウマだがや……!!」
(……ボガーン!!)
タイガーバズーカはそう言い残すと、木っ端みじんに爆散した。
禰音はその様子を見て、静かに言い放つ。
「さようなら、怪人さん……地獄でマナー、学んできなさいね。」
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