第28話「出酢泥井の精鋭達」
進たちヘラクレスカンパニーのヒーローが、
怪人組織「魔釣」との戦闘に勝利してから数日後。
無駄のない世界への改革を目指す怪人組織『出酢泥井』においても、
彼らが魔釣を壊滅させたという噂は広まっていた。
──ヒノカ首都某所・「出酢泥井」秘密基地のミーティング室にて。
天井から吊るされた明かりが揺れる、薄暗い会議の場。
そこにはリーダーの「恐山強介」と、博士の「倉次貝蔵」、
そして様々な姿形の怪人達が、机を前に集まっていた。
第一声は、恐山による現状報告であった。
「──諸君。既に聞いているとは思うが、
祭り好きの怪人達による中規模組織『魔釣』が、
ヘラクレスカンパニーの面々によって滅ぼされた。
我々が怪しまれない様に放った虫型スパイカメラでは、
リコピンマン、ハンマー浜川、鳴神李夢、そして佐藤進──
──特に李夢と進……この2名は突入班の中でも、
特に突出した戦闘力を持っていた。」
恐山の言葉を聞き、一同に緊張が走る。
しかし恐山は焦らずに、口髭を撫でながら言う。
「そこでだ……君達にはこのような事態に備え、
この間より戦闘訓練の量を3倍に増やしていたのだよ。
そして今回の作戦は──お前達に任せたい……
『タイガーバズーカ』、『バレットヤマアラシ』よ。」
恐山がそう言うと、2人の怪人が席から立ち上がる。
立ち上がったのは、トラの怪人とヤマアラシの怪人であった。
トラの怪人は、筋骨隆々の上半身を見せつけながら言う。
「ほう……遂に俺の出番か……ぎょうさん楽しみじゃな。
このバズーカ砲が火を噴くと思うと、興奮が止まらないだがや。」
ヤマアラシ怪人は、背中の棘を撫でながら高笑いする。
「ヒャッハー!!今すぐにでも暴れたい気分だぜ!
俺様の棘も、戦いが待ち切れねえと言っているぜぇッ!!」
闘志を滾らせる二人の怪人。この様子を見た倉次博士は、
彼らのメンテナンスを担当してはいたが、内心ビビっていた。
そんな二人を、恐山はゆっくりと制する。
「まあ待て。そんなに焦る事は無いさ。作戦の決行は明日だ。
お前達には、鍛えに鍛え抜いた部下と共に、
今までにない派手なアクションを以て、
我々出酢泥井の力を世に知らしめるのだ。
だから今は、最高のプロモーションを発揮するために、
精々身体を休めておくが良い。」
二人の怪人はその言葉を聞き、少し興を削がれつつも、
納得して席へと戻る。
恐山は怪人達の様子を見て、静かに笑みを浮かべていた。
(あの2体は出酢泥井のクルーの中でも、屈指の実力派……
奴らならば、より多くのヒーローのデータを取れるであろう。
だが……万が一今回の作戦が失敗に終わっても、
我々にはまだ『究極の切り札』があるのだからな……。
現代人よ……お前達の無駄の多い暮らしは、
何れ我々『出酢泥井』がぶち壊し、あるべき形に変えてやろう。)
こうして出酢泥井の世界統制計画は、再び動き出そうとしていた……。
◆
一方、ヘラクレスカンパニーの6階・オフィスエリアでは、
李夢と進は早速事務作業を一緒にしていたのだった。
「進さんは良いね……こんなに早く書式を組めて。
僕はPCスキルで言うと人並みだからね……。」
「でしたら李夢さん、私がゆっくりお教えしますよ。」
彼らはまだ、出酢泥井がヒノカ首都を揺るがしに来るとは、
気付いていない……ように見えた。
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