第27話「事務作業同盟」
バチバチ太鼓を粉砕した李夢は、地上の様子を見下ろす。
地上を見ると、浜川とリコピンマン達は、
ロボット軍団相手に、果敢に押し返していた。
マスクドかき氷がいなくなった事と、進の参戦により、
地上のヒーロー達は形勢逆転していたのだ。
李夢はその様子を見て安心し、最後の一押しを行う。
彼はバチバチ太鼓が立っていた空中の装置に立つと、
人差し指と中指をクンッと上げる。
すると、地上にいた残りのロボット達が宙へと浮き上がる。
そして彼らはそのまま一か所に集められ、圧縮されて鉄屑となった。
敵を全て倒し終えた李夢は、浮かせた鉄屑と共に地上へと戻る。
李夢は地上のヒーロー達に向けて、労いの言葉を言った。
「……みんな、本当によく頑張ったね。これで魔釣の二大巨頭は倒れたよ。」
その言葉に対して、浜川とリコピンマンも笑みを浮かべる。
「いいえ、私の力ではございません。トマトが力を貸してくれたのです。」
「がっはっは!まあ、これで魔釣の奴らに怯えるモンもいないだろう!」
しかし、進は申し訳なさそうな顔をしながら、李夢に言う。
「……李夢様、先程は一応、許可を取りはしましたが、
出過ぎた真似をしてしまい、誠に申し訳ございません。
本来であれば、私のような新人を危険な目に遭わせないように、
貴方様が考えていた作戦に乗るべきであったとも考えています。」
それを聞いた李夢は、呆れた顔をしながら進に言い返す。
「はぁ……あのねぇ佐藤さん、君は少し謝り過ぎだよ。
まず一応、僕への実績の証明と許可の取得は済んでいるから。
それに……勇敢に怪人に立ち向かって助けてくれた相手に、
足を向けて寝られるわけがないじゃないか。
寧ろ、僕の方が礼を言いたいぐらいだよ。」
進はこの言葉を聞き、少し戸惑いつつも、
救われたようにふっと笑みを浮かべた。
その後、魔釣の二大巨頭が消えたアジトは、
李夢や進、そして救援に来たヒーロー達により壊滅させられた。
抵抗した怪人は倒されたものの、
降参した者はヘラクレスカンパニーに収容され、社会奉仕となった。
──魔釣アジト壊滅後、カンパニーへの帰り道にて。
李夢や進たち4人は、スタッフの運転する車に揺られて休んでいた。
その中で、李夢が進に対して口を開く。
「……佐藤さん。実は僕、君に謝らなきゃいけない事があるんだ。
あの時、君は真剣に僕たちを助けようとしていたけど、
僕は『後輩に怪我をさせたくない』と思う余りに引き留めて、
君の今までの頑張りを否定するところだった。
改めて、今まで君を試す真似をした事も含めて、本当に申し訳ない。」
そんな李夢に対して、進は笑みを浮かべて言った。
「いいえ──顔を上げてください、李夢様。
誰だって、最初は私みたいに力が分からない方を警戒するのは自然な事です。
寧ろ、貴方のお陰で、私達も今日の戦いが滞りなく進みました。
ですが……一つだけ宜しいですか。
李夢様、貴方は正直な所、無理をしているのでは?
どうか一度、私達に出来る事があれば、何でも言って下さい。」
──進の予想外の気遣い。それに李夢は戸惑いつつも、
柔らかい笑みを浮かべて見せる。
「……ありがとう。佐藤さん……いや、進さん。
まさか僕の方がこんなに気遣って貰えるとはね。
それじゃあ、お言葉に甘えて……会社の事務作業を、
一緒に手伝ってくれたら嬉しいな、何て。」
その言葉に対し、進が少し自慢げに笑いながら言う。
「お任せください、事務作業でしたら、前職からの大得意です。」
その二人のやり取りに、リコピンマンと浜川も拍手をした。
「ふむ……トマトよりも美しい友情です。私は感動しました。」
「良いぞ良いぞー!さあ、今夜は飲み会だー!!」
こうして秘かに二人の事務作業同盟が誕生したのであった。
そして車は夜の更けた道の中、
はしゃぐ彼らを乗せて、ヘラクレスカンパニーへと向かうのであった。
◆
しかし、李夢は自宅に帰った後、
姉である禰音から家事を押し付けられて滅茶苦茶疲れるが、
それはまた別の話であった。
「李夢ー、私疲れたから、カップ麺買って来てー……。」
「はいはい……偶には帰り道で買って来てよ、姉さん……。」
美しき友情──これからも頑張れ、鳴神李夢!!
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