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第24話「暗中の狙撃手」

爆炎が晴れると、そこには黒焦げとなった花火ネズミがいた。

その肉体は既に黒焦げになっており、ピクピクと気絶している。


斃れた花火ネズミの様子を見たリコピンマンは、

思わず少し引きつつも、憐れんだ目で話しかける。


「……自業自得はいえ、自分の作った物でやられるとは、


やはり来るものがありますね……まあ、取り敢えず……


後でトマトでも食べて反省して下さいね。」


こうして、花火ネズミが倒された様子を見た民衆は、

手を取り合って喜び合った。


これで、怪人の脅威から逃れ、漸く家へと帰れると。


進も民衆の様子を見て、静かにするように言いつつ、

秘かに笑みを浮かべた後、リコピンマンの方へと近付いて言う。


「お疲れさまでした、リコピンマン様。


貴方が花火ネズミを引き付けてくれたおかげで、


私が一押しを行う時間を得る事ができましたので。」


そんな進に対し、リコピンマンも笑みを浮かべながら言う。


「いやいや、礼を言うのは寧ろこっちの方さ。


あの花火ネズミは、僕が思っているよりもしぶとかったからね。


僕一人の力では、今頃勝てていたかどうか分からない。


後で進君には、お礼のトマトを差し上げよう。」


(……ははは、それは有難いのですが、使い道に困りますね。)


進は内心困惑しつつも、リコピンマンのお礼の言葉を受け取った。


──所変わって、李夢のサイド


李夢が目についた大きなドアを開けると、そこは大きな体育室であった。

中にはバスケットゴールや大きな舞台、そして2階の観客席も用意されている。


しかし中には、民間人の気配は感じられなかった。


(……外したかな。いや、この部屋もくまなく調べないとね。)


李夢が体育室の中を歩き出したその時、微かに物音が聞こえてきた。

そして引き金の如き音が聞こえてきた瞬間、一発の銃弾が飛んで来る!


その瞬間、李夢は事前に物音で気配を察知していたので、

咄嗟に横へと飛び退き、銃弾を躱す。


「……へぇ、死角からの狙撃ね……。


ベタだけど、やっとまともな怪人が出たじゃないか。」


李夢がそう冗談を言うと、物陰から声が聞こえてきた。

声のする方を振り向くと、黒づくめの布で姿を覆う者がいた。


「……よく我が狙撃を避けたものだ。だが、次はない。


このシャドウシューター様が、貴様の脳天に風穴を開けてやろう。」


黒ずくめの怪人──シャドウシューターはそう言うとライフルを持ち、

2階の観客席を素早く駆けながら、李夢の方へと発砲する。


李夢へと向けて、次々と放たれるライフル弾。


危うし──と思われた次の瞬間、李夢が両手を左右に突き出す。

すると衝撃音と共に、ライフル弾は人気のない方向へと飛ぶではないか。


「……は……?銃弾が突然ひっくり返るだと……?」


あらぬ動きをする弾丸を見たシャドウシューターは、思わず絶句する。

そして同時に、李夢が突如としてシャドウシューターの前に浮いてきた。


「あはは……暗がりと死角からの狙撃……考えと腕は悪くなかったよ。


でも、僕が有向力(ベクトル)を操れるヒーローだった……それが唯一の誤算だね。


自分に有向力を掛ければ、ほらこの通り……空だって飛べるから。」


李夢はそう言い終わると、唖然とするシャドウシューターに対し、

六方向からベクトルで圧縮し、物言わぬ箱へと変えてしまった。


「……ふぅ、これで怪人の気配は無さそうだな。


さて、閉じ込められた人を助けないとね。」


李夢は怪人を倒して一息つくと、体育室の1階にある扉へと向かう。


(確か近所のスポーツ大会で行った学校では、


1階に道具置き場とか倉庫のようなものが有ったよな。


後は、舞台の方にも控室みたいなのが有った筈……。)


こうして1階の扉に辿り着くと、そこには李夢の予想通り、

道具置き場と、閉じ込められている市民がいたのであった。


市民達は、李夢の姿を見て一瞬身構えるも、

李夢が敵意が無い事をはにかんでアピールすると、彼らは肩の荷を下ろした。


「……君たち、もうこの部屋には怪人はいないから。


悪いけど、暫く隠れていてくれるかい?」


李夢はそう言うと、懐から携帯端末を取り出して通話を行う。


「……そろそろ頃合いの時間だよ。君達、後の事は任せたからね。」


そして李夢の通話から数分後、体育室の外から勢い良く足音が聞こえてきた。

振り返ると、そこには10人近いヒーローが並んでいたのだ。


それを見て、李夢がヒーロー達に指示を行う。


「……やあ君達、事前の打ち合わせ通り、来てくれてありがとう。


僕はさっきこの部屋の怪人を倒して、被害者の方を確保した。


君達はどうか、この人たちを安全な所まで避難させて欲しい。


僕は魔釣のリーダー達を倒しに行くから……後は頼んだよ。」


「了解です、李夢様!!入口の怪人も大分倒れていたので、


我々の手間も省けました!感謝です!!」


こうして市民はヒーロー達の手により、工場から救い出された。

一方の李夢は引き続き、魔釣のアジトの奥へと進んでいく。


──因みに、ハンマー浜川のサイドでは、

市民達は見つけ出せたものの、対して強い怪人はいなかったようだ。


「俺のハンマーの活躍が少ないが……まあ、堅気の命が第一だわな!!」

李夢の圧倒的な有向力……!向かう所敵なし。


今回のエピソードはいかがでしたでしょうか。

もしも「この小説が面白い!」「これからの展開が気になる」という方がいましたら、

ページ最下部から★での評価や、ブックマークをして頂けましたら有難く思います。

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