第23話「ネズミ花火の脅威?」
──進とリコピンマンのサイド
「進君、困った時は私に頼りなさい。トマトの力で何とかしてあげましょう。」
「分かりました、それでは今度トマトのレシピでも教えて頂ければ。」
進はカンパニーの先輩であるリコピンマンの下、
軽くやり取りをしつつ、『会議室』と書かれたドアへと侵入した。
リコピンマンがドアを開けると、部屋の遠くで、
花火師の格好をしたネズミ型の怪人が立っていたのだ。
そして周りでは、堅気と思われる人々が机に向かい、
やつれた表情で書類と睨めっこをしていた。
ネズミ怪人は、そんな人々に対して怒鳴散していた。
「さあさあ手を動かせ!我らの祭りの為に輝けるなんて、
滅多にない幸運なのだぞ!」
「ああ……花火のアイデア50個なんて、直ぐには思いつかないよ!」
「文句を言うな!ねずみ花火で泣かされたいのか!」
進はそんな彼らの様子を見て、確信する。
「リコピンマンさん、あの怪人は……どう見てもパワハラです。
無関係の市民を缶詰にして、力づくで働かせるとは……
……事務員として、決して見逃す事は出来ません。」
「ああ、私もそう思う。よし、ここは私が出て様子を見よう。
進君は、出来るのならば後ろから援護を頼む。」
リコピンマンは進の意見に同意し、走り出して怪人の前に立つ。
それを見たネズミ怪人は、にやついた顔でこちらを見つめてきた。
「……だぁ~れぇ~だぁ~……?オラ達の工場で暴れているのは。」
「そこまでですよ、怪人さん。私はヘラクレスカンパニーのBランクヒーロー、
リコピンマンです。トマトの力で、貴方を成敗いたします。」
「ハッハッハ、オラの名前は花火ネズミ。魔釣の幹部だっぺ。
お前らヘラクレスカンパニーの事は噂に聞いているぞ。
して、トマト頭のお前……人間共を連れ戻すつもりみたいだな。
だども、そうはいかねえだ。オラのねずみ花火で泣かせてやるべ。」
花火ネズミはそう言うと、懐からリモコンを取り出し、ボタンを押す。
すると、部屋の陰からネズミ型のミニカーが次々に這い出して来る。
そしてそれらは、リコピンマンに向かっていく。
それを見たリコピンマンは、すかさずに部屋の中を逃げ回る。
その様子を見て、花火ネズミは笑う。
「ハッハッハ……これがオラの秘密兵器『ロケットネズミ』だぞ。
一度動けば最後、相手を追い続けて、自爆するんだっぺよ!」
しかし、その言葉を聞いたリコピンマンは、凛とした笑みを浮かべた。
(そう来ますか……ならば、それを利用しない手はないでしょう。)
リコピンマンはそう思案すると、懐からトマトを取り出して齧った。
すると彼の筋肉は膨張し、走る速さが上がり出した。
そしてそのまま、花火ネズミの下へと走り出す。
(あの怪人の下へと敢えて向かい、ミニカーを全部ぶつければ良い……)
リコピンマンは一直線に怪人の方向へと向かっていき、
怪人に近付いたところで、ジャンプを決めて飛び越えんとする!
しかし、花火ネズミもその考えを読んでいたのか、
サイドステップでリコピンマンの着地地点から離れていく。
それを見たリコピンマンは「外しましたね……」と思いながらも、
ギリギリでミニカーを避け、再び逃げの姿勢を取る。
その頃、進はリコピンマンの事前の指示により、人々を宥めつつも、
部屋の中を見渡し、何かを探していたようだった。
(……この部屋の中に、何か手ごろなものは……)
部屋の中には詰まれた段ボールや、人々の向かっていた長机、
そしてパイプ椅子や祭りの小道具などが並んでいる。
(……まあ、これで良いでしょうか。)
進は意を決した顔になると、長机の方へと向かい、パイプ椅子を持つ。
そしてそのまま、リコピンマンと花火ネズミの方を振り向くと、
進はじっと彼らの方を見つめて、パイプ椅子を投げる!
(……事務員スローイング!!)
パイプ椅子は「ブゥン!!」と横回転しながら、真っすぐに飛んでいき、
何と花火ネズミの身体を捉えたのであった!
(ガッ……!!)
「……ギェ……しまったッ……!?」
意識外からの一撃により、思わず悶絶する花火ネズミ。
その後続けざまに、倒れた怪人の下へとリコピンマンが近づき、
颯爽と飛び越える。
そしてそのまま、無数のミニカーは花火ネズミの下へと集まり、大爆発。
「チュギャアアア──」
爆風の向こうに、怪人の叫び声は消えたのであった。
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