第22話「ヘラカンヒーローズVS魔釣」
進の熱意に負けた李夢は、彼に『魔釣』の情報を話し始める。
「『魔釣』……あいつらは、最近電煌区に現れた怪人の集団だよ。
あいつらは『縁日をモチーフとしたテーマパークを作る』
という目的の下で動いているけど、実際はとんでもない奴らさ。」
「……と、言いますと?」
「うん……何たって、コスプレをした人間の振りをして民間人に
『良いバイトがある』と称してアジトに連れて行くけど、
実際の給料はわずかな縁日の食べ物だけで、
仕事中は少しでも手が止まれば小道具が飛ぶ……
……なんていう、ブラック企業も真っ青の環境だったんだって。
今回カチコミに漕ぎ着けたのも、『魔釣』から逃げてきた人が、
僕たちヘラクレスカンパニーに情報を教えてくれたからさ。」
進は李夢の話を聞き、静かに拳を握り締める。
そして李夢は、魔釣のメンバーの事を放し始めた。
「……そんな魔釣のメンバーは、怪人手術によって、
縁日に出て来る物の力を使えるようになっているんだ。
うちの調査で判明している限りだと、
騒音をまき散らし、バチを振るう和太鼓怪人『バチバチ太鼓』、
氷を取り込んで猛烈な粉雪を吐き出す怪人『マスクドかき氷』……
そいつらが二大巨頭となって、縁日好きの怪人を率いているらしい。」
(……何か、戦うのが思わず馬鹿馬鹿しくなる怪人ですね。)
李夢が話している最中であったが、進は内心で思わず突っ込んだ。
しかし、直ぐに李夢の話へと耳を傾ける。
「……それに、恐らく魔釣のアジトにはまだ、
多くの人が閉じ込められているだろうからね……。
一刻も早く、魔釣の奴らは倒さないといけないという訳なんだ。
現場に着いたら、助っ人とも合流するよ。」
こうして、スタッフの車は電煌区の外れへとたどり着いた。
遠くには、寂れた工場が一件見える。
李夢の話によれば、あの廃工場が魔釣のアジトだそうだ。
それと同時に、別の車が李夢と進の前に停車する。
中からは、二人のヒーローと思しき男性が出てきた。
一人はトマトの被り物と赤い全身タイツを着ており、
もう一人はツーブロックと、背負ったハンマーが眩しい偉丈夫であった。
李夢は彼らを指し示して、進に紹介する。
「……今回、僕たちのカチコミに協力を申し出たヒーローの皆様だよ。」
そしてトマト頭のヒーローと、ハンマーのヒーローが順に名前を名乗る。
「トマトは皆の味方!勇気たっぷりリコピンマンとは私の事です!」
「がっはっは、俺はハンマー浜川ってんだ。進、李夢、仲良くしような!」
「初めまして、私は佐藤進です。事務員兼Cランクのヒーローとなります。」
個性的な彼らに対し、一先ず進は無難に挨拶を返した。
そして、カチコミの時間がやって来る。
工場の前に来た進と李夢たち4人は、早速容赦のない猛攻を仕掛ける。
何と、ハンマー浜川が出だしから、工場のドアをハンマーで破壊したのだ!
「初めましてサヨウナラ、怪人解体業者のヘラクレスカンパニーです!
お前ら悪徳怪人を、スクラップにしに参りました!」
浜川の狼煙に呼応して、李夢、リコピンマン、そして進が一気に駆け出す。
工場の中には、金魚の姿をした見張りの怪人達が見回っていた。
彼らは進を見るなり、ビビりながらもポイ型の鈍器を持って襲い掛かる。
「飛んで火にいる夏のヒーロー!お前らはここで始末するギョ!」
しかし李夢は、やれやれと言わんばかりに前に手を突き出し、短く呟く
「……有向力。」
すると何という事だろうか。彼の手の平から衝撃が走り、
見張りの金魚怪人が吹っ飛んでいくではないか。
怪人達は宙へと勢い良く吹き飛ばされ、壁に叩き付けられる。
勢い良く壁にぶつかった彼らはそのまま崩れ落ち、気絶してしまった。
「……僕はAランクだけど……一応、伊達には鍛えていないんだ。」
「李夢さん、流石はAランクですね。私ももっとトマトを食べなければ。」
「がっはっは!良い景気付けじゃないか!俺らも負けずにドカンと行くぞ!」
見張りをぶっ飛ばした進たち4人は、そのまま工場の奥へと向かっていく。
途中で現れた怪人も、彼らの連携の前では物の数に過ぎず、
紙切れの如く吹き飛ばされていった。
そしてしばらく歩くと、李夢がドアだらけの空間でピタリと止まる。
「……皆待って。逃げてきた人からの情報によると、
ここのどこかに捕まっているがいるという情報があるらしい。
今から三手に分かれて、素早く各部屋を探し出すんだ。
僕と浜川さんはそれぞれ1人、佐藤さんとリコピンマンは2人で行動して。」
こうして彼らは三手に分かれ、各部屋の探索を開始する。
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