佐藤進、初の共同任務
この度は昨日に続き、更新が遅れてしまい申し訳ございません。
どうか今回の話も読んでいただけましたら、有難く思います。
──夜、進の自宅マンションにて。
ヘラクレスカンパニーでの波乱?の一日目を終えた進は、
机にてメッセージアプリ『Musubi』の画面を眺めていた。
画面には、進をアニキと慕う青年・葦原虎次の名前と、
虎次からの嬉し気なメッセージが映っていた。
『アニキ、今日はヘラカンでの初仕事、お疲れ様です!
自分もヒーローとして活動を始めたんですけど、
パトロールをしていたら、早速居酒屋で怪人に会いました。
何でも、イノブタ男とか名乗っていたんですけど、、
居酒屋の食材を食い荒らしてた様子でしたので、
自分がキッチリとロケットパンチで懲らしめておきました!
それで、お礼にお店の人から冷奴を奢って貰ったんですけど、
戦いの後の夕食でしたので、凄く身に沁みました!』
『勿論、ヘラクレスカンパニーへの報告はしましたよ。
幸い、目撃者がいたので直ぐに終わりました。』
(……はは、命令無視で叱られた私とは大違いですね。
私もより謙虚に生きなければならないでしょう。)
進は午後の外回りでバナナ男に殴りかかり、
禰音に叱られた事を思い出しながら、床に就く準備を始めた。
◆
そして、進がヘラクレスカンパニーへと入社して数日後。
その日、進は禰音よりヒーロー活動の研修を受けていた。
会議室では、禰音がヒーロー活動についての解説を行う中、
進がパンフレットを片手にメモを取っていた。
「──入社オリエンテーションでも少しお話はしましたが、
我が社のヒーローは、基本的にヒーロー活動のみ行う人と、
スタッフ業務の合間に巡回する形の人に分けられます。
しかし両者のケースにおいても、事件解決後には、
社内の専門機関への連絡、並びに報告書申請が必要です。
それを怠った場合には、正式な活動と見做されない事もあり、
場合によっては余計なトラブルへと発展しかねません。」
「はい、承知しました。」
進は「耳が痛いな」と思いながらも、メモを取り続けている。
「基本的にヒーローの皆様は、怪人掃討や救助活動、
そして地域のボランティア活動などのの実績を積み上げる事で、
ランクの上昇を目指していく事となります。」
「──また、一部の備品につきましては、申請を行う事により、
ヒーロー側の武器として使用する事も可能です。」
「──そして、これが一番重要です。
ヘラクレスカンパニーの社則・第13条に書かれていますが、
『過去に生命犯及び予備軍相当の犯罪行為があり、
尚且つ投降に応じない怪人は、殲滅も止む無しとする』。
これは、一見物騒なルールに見えるけどね……
ヒノカ国で怪人による被害が増えている事から、
これ以上、被害に遭う人を増やさない為の切実な決まりなの。」
(ふむ……怪人の被害は予想以上に問題となっているのですね。
でしたら猶更、私が直ぐにでも……)
進は話を聞いて、自分が動くべきでもあると考えていたが──
「佐藤さん、何だか良からぬ顔をしていますけど……。
まさか、また禄でもない事を考えてはいないですよね?」
禰音は考えを察していたのか、進は静かに牽制してきた。
(……私の考えていた事が?鳴神さんはエスパーでしょうか。)
こうして軽いやり取りはありつつも、研修は終わり、
進は午後から禰音と共に再び巡回業務へ行く事となった。
進は自席にて、禰音から今日の巡回業務の説明を聞く。
「はい、本日の午後は『紅唐区の巡回業務』となります!
紅唐区は、侘寂の文化と郷土料理で有名な街です。
そのようなヒノカに誇るべきを街を守る事が、我々の使命です。
因み、今回は本格的にヒーロー活動を学んで貰う為に、
もう一人のヒーローとチームを組んでいただきます。
どうぞ、入って来てください!」
進は禰音の呼び声を聞き、扉の方を見る。
扉を開けて入って来たのは──何と、葦原虎次であった。
「進のアニキ……じゃなかった、進さん!
鳴神先輩からヒーロー講座を学ぶ様に勧めて貰いましたので…!
本日は自分、葦原虎次が任務にお供させていただきます!」
進は「このタイミングで出会うのですか……。」と、
思わず目を見開く。
そして禰音も、
「彼は言葉遣いとか、まだ細かい要改善点はあるけど、
報連相の仕方は凄い良かったと聞いているわよ。
佐藤さんも、追い越されない様に頑張りなさいね?」
と続けて言うものだから、流石の進も顔が真っ赤になった。
(……何故だか凄い敗北感がします。)
◆
進は虎次との思わぬ再会でプライドを傷つけられつつ、
スタッフの須田さんが運転する車で、紅唐区へと向かう。
虎次は、愛用の金属バットをバットケースに入れて提げていた。
──紅唐区・街中
紅唐区では今日も、色とりどりの工芸品の店と、
様々な郷土料理の飲食店が賑わっている。
進と虎次が初めて出会った街も、この街だ。
そんな事もあって、虎次は盛り上がった気分で進に話しかける。
「懐かしいっすね……進のアニキ。
自分が前に蚊ゴリラにやられた所を助けて貰ったのも、
定食屋で食事会をしたのもこの街っすから……。
自分達は、何だかこの街と運命で繋がっているんすかね……?」
「葦原さん、一応業務時間ですので、お喋りは程々に。
後、仕事では『アニキ』ではなく『佐藤さん』と呼んで下さい。」
「まあ、私もお喋りしたくなる気持ちは分からないでもないわ。
この街は誰もが認める憩いの街ですものね。」
そんなやり取りを3人でしつつも、街の方はきちんとくまなく見渡す。
(因みに須田さんは、後ろで静かに聞いて感動していた)
紅唐区の巡回も中盤に差し掛かった時、遠くから悲鳴が聞こえてきた。
悲鳴にすぐさま反応したのは、禰音であった。
「今の叫びは……間違いなく事件が起きたわね!
葦原君、佐藤さん、須田さん、今すぐ現場に向かうわよ!」
禰音の呼びかけと共に、4人は悲鳴の聞こえた方角へと向かう。
4人が悲鳴の聞こえた場所──駅の大きな広場へと向かうと、
寿司職人の格好をした、二足歩行のマグロ怪人が暴れていた。
「ギョハハハ……俺はマグロナイフ、怪人一の寿司職人だ!
お前らもデンジャラ寿司で働け!さもなくば刺身になれ!」
マグロナイフは巨大な刺身包丁を振り回して暴れる。
駅の広場にいた人間は、悲鳴を挙げながら四方へと逃げ出した。
そのマグロナイフの蛮行を見て、禰音が啖呵を切る。
「そこまでにしなさい!私たちはヘラクレスカンパニーよ!
人々を刺身にしようとするなんて、一体何を考えているの!?
今すぐ投降しなさい……もしその刺身包丁を離さないなら、
私が直々にマナーを叩き込んであげるわ!」
その啖呵に対し、マグロナイフも怯まずに笑い返す。
「ふっ……やはりな。これだけ派手に暴れれば、
ヘラカンのヒーローがやって来ると睨んでいたんだ。
世界征服と俺のキャリアの為にここで消えて貰……ん?」
マグロナイフがヘラクレスカンパニーの面々を見ていると、
何かを思い出したような顔をして、悪い笑みを浮かべる。
「……ほう、初めまして……とは言えない奴もいるな?
お前とは一度、戦ってみたいと思っていたんだよ……佐藤進。」
何と、マグロナイフは佐藤進の名前を知っていたのだ。
「……ッ、何故、私の名前を?」
「『カリラが世話になった』……とでも言えば、分かるか?」
本格的に動き始めた悪の組織『出酢泥井』の影……果たして、進の運命や如何に!
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