滅亡図書館:分類ファイル 児童教育
頬にあたる柔らかい枕の感触で目が覚めた。
俺は、一体⋯薄く目を開けると、白い壁と⋯天井。仄かに鼻腔に留まっている消毒液の匂い。ここは病院か⋯俺は一体どうしたのだったか⋯確か、最奥で10冊にわたるインド古典を押し付けられたショックで息絶えて⋯あれはただの気絶だったのか。小さくため息をついた。心地いい枕に顔を埋めようとして、妙なことに気がつく。
なんか、妙に温かい。まるで人肌のような⋯。
「あ、起きた」
真上から聞き慣れた声が降ってきて思わず目を剥いた。
「⋯⋯へ!?」
思わず飛び起きてしまった。相当情けない顔をしていたに違いない。⋯一瞬前まで俺の頭があった場所には、黒いスカートに覆われた柔らかい膝。背中を冷たい汗が伝った。⋯状況、状況が何も分からん。
「よく寝てたね。お姉ちゃん、動けなかったんだよ」
そう言って優しく笑う。そして俺のクセ毛を撫でる。
―――カラシが。
「んー?どうしたのかな、クロやん。今日はご機嫌ナナメかなぁ?」
お前がどうしたんだカラシ!?
「ココア持ってきてあげようね」
ベッドから立ち上がって普通にスタスタ歩き始めたカラシの腕を思わず掴んだ。⋯ベッド脇の机から、古びた分厚い本が数冊、崩れ落ちた。
「ちょっと待ってくれ!?」
「ふふ、クロやん甘えん坊だなぁ。⋯すぐ戻るね」
「いやそうじゃねぇよ!ここは何処で俺に何があった!?」
カラシの顔が、驚愕したように硬直した。
「⋯⋯館長?」
「そうだよ、何か驚くようなことか!?」
「⋯も、戻った⋯戻った!戻りました副館長!!」
おい待て、まず説明をしろ、と引き止める間もなく、カラシはドアを乱暴に開け放つと駆け出した。⋯俺は病室、らしき所に一人置き去りにされた。⋯時間を置いて落ち着いてきた頃、ふいに頬に血の気が昇って熱くなった。
⋯⋯カラシに膝枕されてしまった。
「⋯先ずは、回復おめでとうございます」
ベッドに腰掛ける俺の前で、パイプ椅子を二つ並べた山田とカラシがぺこりと頭を下げた。
「目覚めたらこの様な状況で、色々不安もあると思います。ただこの病院の場所も、クロエ先輩の病状も、私とカラシしか知りません。ご安心ください」
「より不安だよ。俺の入院を隠さなければならない程の状況ということだろ」
山田もカラシも口を開かない。ただもの言いたげに視線を彷徨わせる。
「⋯まず最初に聞きたい。俺はどのくらい『この状態』でいた?」
「⋯ざっと一ヶ月」
「そんなに!?業務は大丈夫だったのか!?」
「カラシが館長代理として奮闘してくれました。本当に助かった。彼女は優秀です」
「副館長が色々サポートしてくれたから⋯」
カラシが頬を赤らめて俯いた。⋯可愛いが今はそれどころじゃない。
「俺が倒れた原因は?」
「ストレス⋯だけなら直ぐに『戻った』のですが」
山田が言いにくそうに呟き、小さく唸った。
「不思議なことに『窒息』の症状に近かった、と」
「窒息?」
思わず聞き返してしまった。
「そう、窒息。脳に酸素が届いていない様子が確認され、人工呼吸器を装着して急遽病院に搬送されたのですが⋯目覚めたクロエ先輩は⋯」
何かを思い出したように、山田は顔を背けて目元をハンカチで拭いた。
「⋯⋯いえ、本当に良かった。『戻って』くれて本当に良かった。もう一生このままかと」
―――おい。
「⋯⋯でもクロやんは、ずっと幸せそうでした!」
カラシが立ち上がった。そして泣きそうな顔で俺の頬を両手で挟んで山田の方にぐいっと向けた。
「ほら!こんなに血色がいい!クマもない!こんな館長見た事あります!?」
「君は若いな⋯健康だろうが幸せだろうが、男は誇りを失っては生きていけないのだよ。ストレスは無かったかもしれない。だが『あれ』は生きているとは言えない⋯『戻って』良かったんだ。分かってほしい」
―――ちょっと。
「『戻って』良かったなんて、図書館の都合じゃないです?館長はもう少し、あのままで⋯」
「カラシ、それは詭弁だ。あのままで良いはずがない。少なくとも私はもう見ていられなかった。面会謝絶にしたのもその為だ。いくら館長のポジションに興味があるからって彼を不具者にしてまで」
「今はその話はしていません!クロやんの話をしましょう!?」
「クロやんじゃない、それはもう館長だ!」
「おい聞けや!!!」
口論に発展していた二人がピタリと口をつぐみ、俺の方を見た。
「⋯⋯失礼しました、クロや⋯いえ館長」
「それだよ!何で俺は君にクロやんと呼ばれている?俺に何があった、俺は一体なにをした!?」
二人は押し黙ったまま、互いに視線を交わしている。
「おい、黙るな。⋯とりあえず山田、ここ1ヶ月の俺の状況を報告しろ」
「⋯⋯最初に言っておきます。我々はこの状況は決して口外しない、と誓いをたてました」
「その言い方やめろ!」
「この世には、知らない方がいい事もありますよ」
「いいから!話せ」
「では、少しづつお話します」
「⋯⋯⋯おう」
「私が駆けつけた時、クロエ先輩は仰向けに倒れ、過呼吸状態になっていました。有事の為に設置されている人工呼吸器を咄嗟に装着しましたが、酸素欠乏の時間が長くなってしまったようで」
「ごめんなさい、人工呼吸器の場所を知りませんでした。私の怠慢です」
「仕方がないよ、あれは密室作戦の為の機密事項だから戦闘員にしか周知されないんだ。君が知らないのは当然だ。むしろ真っ先に私を呼んでくれたお陰で命は助かった。⋯それで、数日昏睡状態が続き、ようやく目を覚ました時」
―――クロエ先輩は、ほぼ全ての記憶を失っていました。
「⋯まじで?言葉も?」
「いえ、言葉や食事、排泄を含む日常生活は全く支障なく。自分の通称も覚えていました。ただ、情緒が幼児レベルまで退化して⋯自分が何者かも分からず⋯」
この時点で山田の声が震え出し、目にハンカチをあて始めた。
「な、なんだ一体⋯」
「⋯⋯失礼。⋯それで、責任を感じたカラシが日々の業務をこなしつつ、足繁く病院へ通い、様子を見ていました。ご家族への連絡は⋯もう暫く状況を見てからにしよう、と私が提案しまして、まだ何もお話してません」
「なんで。母さんくらい連絡してくれても」
俺が半年くらい連絡していないが。
「⋯⋯会わせるべきではない、と私は判断しました」
「いやそれは越権行為だ。何故」
「フルチンで病室抜け出して歌いながら走り回る27歳の我が子を親に見せられますか!!!」
⋯⋯俺を殺せえぇぇぇぇええええええ!!
自分の絶叫が耳朶を打った。
―――――――――――――――
半日後。
あの後、俺の絶叫をうけて二人は逃げるように帰った。俺は病院のベッドで七転八倒して「死ね!俺は死ね!!」と叫び倒して婦長に怒られてようやく落ち着いた。⋯表面上は。
定時を過ぎ、外が暗くなった頃だろうか。二人は再び俺の病室を訪れた。
「先程は取り乱して済まなかった」
努めて冷静を装い、頭を下げた。山田は『お察しします』と言って頭を下げた。
「⋯⋯つまり、ここは癲狂院なのか?」
カラシがふい、と首を振った。
「いえ!⋯某、山頂のサナトリウムです。そこは副館長が必死に交渉してくれました。他の患者さんに危害を加えることがないように施錠が条件でしたけど」
「いやいや⋯カラシが全裸疾走は沈静化してくれた。君の功績も大きい」
「いえいえ、何度施錠しても錠前破ってくる厄介な天才児と辛抱強く戦ってくれたから⋯」
「待て!カラシが全裸中の俺に何かしたのか!?」
「⋯⋯⋯大丈夫です。慣れてます。弟3人いるから」
「⋯⋯⋯⋯⋯最っっっ悪だ」
目の前が真っ暗になった。また気絶しそうだ。
「ほう、弟さんが3人も」
「はい。私が知る限り男児は必ずやります。全裸疾走」
「分かる。内腿にピタンピタン当たるのが楽しくて走るんだよな」
「走ります。3人とも走りました。一番下は今でも走ります。追うと面白がって更に走ります」
「うちの息子も走る。手に負えない」
全裸疾走の話で盛り上がり始めた。死にたい。
「⋯お、もうこんな時間。今日は息子の誕生日なんだ。先に失礼するよ。カラシ、復帰前に業務の引き継ぎをたのむ」
「分かりました」
「ちょ⋯まて、置いていくな!」
「はははは⋯いい歳をして何を甘えているんですか。また来ますよ」
「いや違、こいつを⋯」
生暖かく微笑んで、山田はドアを閉めてしまった。
こいつを⋯カラシを置いていくな⋯!
俺の叫びは届かず、全裸疾走を目撃している部下と二人きりにされた。⋯死にたい。もう帰ってくれ。そして俺のことは永遠に忘れてくれ。
カラシはサイドテーブルに積んであった本を引き寄せると、少し首を傾げてページを捲った。⋯おい、引き継ぎするんじゃねぇのかよ。
「⋯⋯全裸疾走する子って」
こいつまだ全裸疾走の話をするか!!
「アホの子だと思われがちで⋯実際そういう子も居ます。弟達はそっち側です。でもそうじゃない子もいます」
「⋯⋯⋯もう全裸の話やめてくれ」
落ち着け、俺。カラシが帰ったら一晩中泣こう。
「感覚が過敏で、慣れない素材の服に戸惑って嫌がってしまう。⋯神経質な大人に、育ちます」
カラシが膝に置いていたのは『育児書』の類⋯一人の子供を丁寧に育てる為にこの惑星の大人が読んでいたらしい。母星では考えられない分類の書物だ。
「感覚過敏の子は、肌触りのいいパジャマを着せてあげたら落ち着くんです。⋯育児書で読みました」
幼児退行した俺の為に育児書を⋯?胸の奥がじわりと暖かく⋯いや、それは陥ってはいけないタイプの感慨だ。先人の性風俗でそういうジャンルの遊戯があったと聞いたことがある。
「ここに居る間は、育児書の翻訳を進めてました。一石二鳥、ってやつです?先人達はとても丁寧に子供を育てていたんです。⋯驚く程に」
机に積み上げられた本を一冊、俺に差し出した。⋯びっしりと付箋が挟んである。⋯あれ?なんかもう、怖い。
「最初はきかん坊だったクロやん、少しずつ私に心を開き始めて⋯私が来るとあどけない笑顔を向けるように⋯」
―――声が震え始めたぞ?
「図鑑が大好きで、原典を読めるとても賢い子で⋯」
ハンカチで目頭を抑え始めた。なにこれ、俺どういう情緒で聞けばいい?
「散らかし魔だし、偏食だし、メンタルもフィジカルもヨワヨワだし、正直どうしようこの子って思ったけど⋯」
「おい、現在進行形の悪口じゃねぇか許さんぞ」
「でもそんなことどうでもよかった⋯私が育てたんです⋯読んだことなかった『育児書』を沢山読み倒して、一生懸命働きかけて、やっと私に懐いてくれた矢先だった!私の可愛いクロやんを返してください!」
「いや知るか!クロやんは戻らん!おかしくなった上司に母性本能を向けるな、不毛な!」
カラシはキッパリと首を振った。⋯殉教者のような、一途な瞳で。
「クロやんを育てた時間は不毛なんかじゃない。とても、充実した時間でした。私はクロやんとの日々を、一生涯忘れない。⋯クロやんを忘れない!」
「忘れて!?土下座でも何でもするから忘れて!?」
こいつヤバい、思ったよりヤバい!
「⋯いいです。ならせめて、辛い時は私を『お姉ちゃん』と呼んでもいいです」
「呼ばん!!強いて言うなら今が辛い!!」
「ふふ、大きくなったらお姉ちゃんと結」「やめて、本当にやめてこれ以上俺の黒歴史を増やさないで!?」
もう最後は懇願だった。泣きたいのは俺の方だ。
「そうだ、図書館業務の話ですが」
「急に通常運転に戻るんだな!どういう情緒しているんだ!」
「1週間程度、最奥に近づくのは控えてもらえますか」
「は」
先程のノリで悪態でもつこうと思って顔を上げたが⋯カラシの目は有無を言わさぬ圧力を帯びていた。
「もっと言うと、地下5階以上の低層に降りるのを控えて下さい。空調に不備が見つかりました」
「⋯⋯不備?」
「はい。⋯元々僅かに綻びがあったらしいのですが、懐古派襲撃の際に悪化したみたいです。館長が倒れたり、眠気が酷かったのはストレスだけではなく、このせいじゃないかとお医者様が」
「空調か⋯」
最近、異様に眠かったのは酸素欠乏症。俺は緩やかに窒息していたということか。
「二酸化炭素は下に溜まるから⋯下層階は危ない、ということか」
「空調の修理はあと1週間はかかります。古い設備でしたし、全部交換?」
「まじか、予算は大丈夫だったのか」
「割と苦しい⋯けど仕方ないでしょう。窒息で搬送される前例が出来ちゃいました」
それは仕方がない。⋯だが疑問が残る。
「窒息で倒れたのは、俺だけなのか?」
「はい」
「君もあそこで仕事をしているだろう。俺と君が仲良し幼馴染にならなかったのは何故だ」
「⋯アリですね?」
「凄ぇな君」
実は疲れているのか?⋯そりゃそうか。俺のせいだ。
「ずっと最奥に居るわけじゃないです。館長と違って」
「配属が変わってからは、居る時間は長いだろう」
「館長は仕事が終わっても、最奥に居ます」
カラシの声が少し低くなった。
「仕事が終わったら、更に下層階の館長室にいくでしょ」
「⋯⋯あぁ」
酸素が薄い空間に24時間居るのは俺だけだった。だから俺だけが搬送されたのか。
「それに私、仕事中ずっとあの席に居るわけじゃないです。気分転換に上の階に行ったり、業務で他の職員の所に行ったり⋯館長が動かない代わりに私が動いてます」
そう言ってカラシは、じっと俺の目を覗き込んだ。⋯腹の底がぐるりと波打つような緊張に思わず息を止める。
「酸素の薄さだけが原因かは分からないです。でも⋯あの場所に居続けたことが」
館長を蝕んでいたのは、紛れもない事実。⋯言われて俺は戸惑った。これは本当に不可解で、不思議だが⋯自分が何に拘っているのか分からない。俺は死にかけているのに、俺は何故。
「―――駄目なんだ。あの場所でないと」
辛かった。カラシの顔が失望に沈むのも、誰かの思いを裏切るのも。だが俺は不思議な程、頑なだった。
「ごめんな、しんどい思いをさせて。明日から仕事に戻る。今までの報告と引き継ぎを頼むよ」
「――――――これは、言おうか言うまいか迷っていましたけど」
失望、ではない。逡巡。すわ、黒歴史追加案件か!?と身構えたが、彼女は神妙に居住まいを正して俺に向き直った。
「館長は誰かに『呼ばれる』ように、最奥を選んでいる、のではないです?」
―――腑に落ちた。
俺は『呼ばれて』いる。少なくとも、無意識にそう感じ取っている。おかしいと思われるであろうことは当然想像できるので、口に出したことはない。自分でも馬鹿げていると思う。
「⋯⋯⋯なぜ、そう思った?」
「館長はクロやん状態の時、よく『見えないお友達』とお話をしていました」
あ、黒歴史追加の予感。
「映像を見ますか?」
「見ない。撮るな。削除しろ」
「じゃ、口頭で説明します⋯館長は入院中、しきりに部屋から脱走しようとしました。部屋に戻すとぶんむくれて理由を話してくれなかったんですが、最近⋯本当に最近、ようやく心を許してくれた時に、教えてくれた⋯」
―――としょかんの、おくのひとたちが、おいでおいでしてる。
「⋯よばれてるから。そう言っていました。全ての記憶を失っているのに、図書館の最奥のことを認識していて、戻ろうとした。⋯ただの慣習かもしれません。でもそれなら『もどりたい』『いきたい』じゃないかな、って」
「⋯⋯図書館の職員や利用者のことが念頭にあって『よばれてる』という認識になったんじゃね?」
「念頭にあります?」
「⋯⋯ううむ」
「育児書にある、イマジナリー・フレンドなのかな、って思ってたんです。最初は」
「なんだ、それ」
「小さい子供が空想の中で作り上げる、見えないお友達です。一人っ子とか、繊細なタイプの子が作りがち」
「⋯この星の先人ってな、子供のうわ言までいちいち研究してるのな。暇か」
「丁寧と言ってください。⋯でも多分、館長のはイマジナリー・フレンドじゃない」
「俺が繊細じゃないと。失敬な」
「イマジナリー・フレンドを作り出す子の特性は『繊細』だけじゃないんです。⋯友達を、作り出すんですよ」
「⋯⋯いらんな」
「それです」
びし、と俺を指差して、カラシが思案げに俺の目を覗き込んだ。⋯ここのところ、よく目を覗き込まれる。⋯言いたい事が霧散してしまう。
「友達を作り出してしまう程、コミュニケーションが好き。人間が好き、なんです。館長は寧ろ人が苦手でしょう?⋯一人っ子なら寂しさのあまり⋯ということもないではないけど、たしか館長はご兄弟、いますよね。末っ子ですよね」
「―――何で知ってんだ怖えよ!」
「館長が倒れてから一ヶ月。私と副館長は館長の話題でもちきりでした。副館長が知っていることは漏れなく私も知っている、と心得て下さい。学生時代は副館長とおててつないで歩いていたことも」
「あの野郎!黒歴史が捗るねぇ!」
「とにかく」
カラシは居住まいを正して育児書を閉じた。
「歴代館長の死因の『一つ』は、潰しました。ただ私はこれで終わりとは思ってません。歴代の年若い館長には、まだ何かあると思っています。だから」
館長も、一緒に戦って下さい。
⋯⋯カラシが帰った後、俺は自分で考えてもみなかった事を、改めて考えていた。先人が残した書物が好きだから。とても分かりやすい理由に目が眩んで、それ以上の追究をしてみる気すら起きなかった。俺はこのまま好きなものに埋もれて死ぬんだな、それもいい人生かもな⋯などと考えていた。
状況は明らかに変わった。あの子が変えた。
だから俺は熟考する。
俺は何故、最奥から離れられないのだろう。
何故、膝枕の余韻がずっと消えないのだろう。
何故、『私の可愛いクロやん』という言葉が耳朶で渦巻いて離れていかないのだろう。
駄目だ、考えが纏まらない。⋯⋯俺は高揚している。
本日の調査業務を、終了する。




