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セクハラ勇者ちゃんと行く愉快な世界〜異世界転移した私と変態達の旅〜  作者: もみまん
18話 ナウい飲み物? 行列に並ぶ勇者達
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18-2話 行列

「えっとね、次の角を曲がったところにそのお店があるんだって」

 

 先ほどクロエルが言っていたタピオカのお店に行くことになった勇者一行は、クロエルの情報を頼りにそのお店へ向かうことに。

 街の入り口からしばらく歩いてきたところだが、目的のお店はあと少しというところまで来ていた。

 

「あ! あったあった! あそこが例のお店なんだって!」

「本当!? 早く行こうよ!」

 

 先頭を歩いていたクロエルと文が角を曲がると、そのお店が見えたらしく、指をさしてはしゃぐ二人。

 

 そんな二人を見て『行きたかったお店についただけで喜ぶなんて子供ねぇ……』と小さく嘲笑するユウキと、喜んでいる二人を見てほほ笑むシスティア。

 お互い文とクロエルを見て笑っているのは同じだが、笑い方からそれぞれの性格の良し悪しがわかる。

 

 しかし、その二人と違ってユウキとシスティアが角を曲がってそのお店を見た途端、違う反応を見せた。

 

「な……なにあれ……?」


 店を見るなりユウキとシスティアの二人は驚愕していた。

 いや、正確に言うのであれば店自体に驚いたのではない。

 では何に驚いたかというと店の前にいた人の列、行列である。

 その行列は店の外にまで続いており、今から並ぶとどれだけ時間がかかるのかわからないほどであった。


 そんな行列を目にしたユウキとシスティアは唖然として、その場に立ち尽くしてしまう。


「なんでみんなこんな飲み物一つに馬鹿みたいに並んでいられるの? 私からしたらあり得ないんだけど」

「これが流行りものの力なのですかね?流行りというものは恐ろしいです」

「たしかに……飲み物1つのためにここまで並べるなんてこの頃流行りの女の子は大変ね」


 流行りの女子の感覚が理解できず、『並んでる人達凄い』と他人事のように行列を見つめる男勝りのユウキと元修道院住まいのシスティア。

 あまりにも凄いその行列に、その場でボーっとしながら行列をただただ見つめるだけだった

 

「あ、最後尾あそこだって!」

「本当だ!早く並ぼ並ぼ!」


 しかし、そんな行列に気を取られている2人と違い、文とクロエルはスタスタと2人は歩き出していた。

 ウキウキ気分で行列の最後尾に向かって歩き出し、今にも並び出ぼうとする年下組の2人。

 ユウキとシスティアと違って、彼女達は列に並んでいる女の子達と同じ感覚の持ち主のようだった。


「ちょ……ちょっと待ちなさい! 2人とも並ぶ気なの?」


 行列に並ぼうとする2人の後ろ襟を掴み、2人の歩みを止めるユウキ。

 彼女からしたら、こんな異常な行列に迷いも見せずに並ぼうとする二人の感覚が理解できず、思わず2人を止めてしまったみたい。

 しかし、止められた2人は『当然でしょ?』といった表情。


「えー、だって並ばなきゃ買えないんだししょうがなくない?」

「そうだよ、ユッキーもシスチーも早く並ぼうよ。早く並ばないとまた列が長くなっちゃう」


 長い行列を見ても、ユウキに止められても2人の『タピオカ味わいたい』という意見は変わらずの様子。

 ユウキ達と違ってタピオカに興味があるからなのだろうが、なっがい行列に並ぶことに抵抗はないみたいだ。


「えー……そもそも今から並んでどれくらい時間かかりそうなの?」


 この行列を見ても尚、並ぶことにためらいがない2人を見てユウキも一応並ぶことを少し考え始める。

 自称美少女の男の方はともかく、愛しの文が並ぶ派であることもあり、譲歩して『まぁ……30分くらいならいいかな?』と思って色々調べているだろうクロエルに待ち時間を聞いてみることに。

 待ち時間について聞かれたクロエルは『えーっと……』と言いながら携帯の画面に目をやる


「うーん、ネット情報見たところ大体1時間半くらいだって」

「いやいやいやいや! なんで飲み物1つ買うのに1時間以上並ぶの!? 並んでる間に喉乾くじゃん! バカなの!?」


 まさかの1時間越えの待ち時間に『ありえない!』と何度も手を振るユウキ。

 1時間半もかかって飲み物一個手に入れるという非効率の塊みたいな行為に彼女は我慢ができないみたい。

 クロエルはともかく、文の意見は尊重したいと思っていたユウキだったが、流石に想定の3倍も時間がかかることを聞いたことで彼女の否定はより強いものになっていった。


 だが否定的なユウキの意見が出ても尚、文とクロエルも負けじと最後尾の列に並んだまま、ユウキを説得しようとする。

 

「流行っているんだから欲しがる人も多いんだし、多少の我慢は必要なんだよ。それにこういう経験は話題にもなるよ?」

「これだけ並んでるんだよ? それに見合った美味しさなんだよきっと! それに待ってる間にどんな味なのか想像するのも楽しみの1つじゃない?」

 

 若い女の子の観点からユウキを説得しようとする文とクロエル。

 彼女達からしたら、そもそもお金を持っているユウキが並ばないといえば、それまでの話になってしまう。

 そのため、必死でユウキを納得させようとしている。

 

 しかし2人とは違う価値観を持っているユウキは2人の説得を聞いても尚、あまり反応は良くなかった。


「やっぱり1時間以上も並ぶなんておかしいわ!シスもそう思うでしょ⁉︎」


 説得されてもやはり1時間以上並ぶ事に抵抗がある様子のユウキ。

 そんな彼女は先程行列に並ぶことにあまり乗り気でないシスティアに救援を求める。


「いえ、私待つのは好きなので全然大丈夫ですよー」


 しかし救援求めたその元シスターはそう言いながら文とクロエル側へと行ってしまう。

 これで並ぶ派3人、並ばない派がユウキの1人となってしまった。


 予想外のシスティアの裏切りにより、ユウキは孤立無援。

 その場に1人立ち尽くしてしまった。


「う、裏切り者!仲間だと思ってたのにぃ!」


 先程まで同じ価値観を持っていると思っていたシスティアが年下組に加勢してしまい、ユウキだけが仲間外れ状態。

 一人ぼっちになってしまったユウキはブルブルと肩を震わせて色んな感情を込めたような表情をしていた。


「わ、わかったわよ!並べばいいんでしょ!並べば!」


 多数派に押されてしまい、文句を言いながらも後ろに並ぶことにしたユウキ。

 こうして勇者一行はタピオカの列に並ぶのであった。

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