18-1話 流行り物
本日も文の故郷を探すために新たな町へと向かっていった勇者一行達(異世界なので当然あるわけないが)。
そんな勇者一行は前の町からしばらく歩いてようやく次の街へと到着していた。
「やったぁ! やっと街に着いたぁ!」
町についた途端に大きな声を上げたのは自称美少女黒魔導士のクロエル。
町に着いただけなのだが、なぜか嬉しそうにはしゃいでいる。
「なんか嬉しそうだね、くーちゃん。この町って何かあるの?」
町についただけではしゃいでいるクロエルに文が尋ねる。
クロエルがテンション高いのはよくあることではあるが、町についただけでここまでテンションが上がるのは今までになかったことだ。
何かこの町には特別な何かがあるのかもしれない。
「ここには今流行りのタピオカのお店があるんだって! 前から来たかったんだー!」
文に尋ねられたクロエルは鼻息を荒くしながら、ワクワクの理由を答える。
普段から女子力について語っていることから、彼は流行りモノが好きなのだろう。
「タピオカって今女の子の間でブームになっているやつ? ネットでちょくちょく聞くけど」
タピオカについてネットで知ったらしいユウキはクロエルの話に食いつく。
まぁ、食いついたといっても、反応からしてあまり興味のある話題ではないらしい。
聞いたことがある……程度のテンションだった。
「そうそう! すごくSNS映えするし美味しいしで女子にとっても流行ってるんだよ! ナウい女子の私としては行かないわけにはいかないんだよね!」
「いや、あんた男でしょ」
「細かいことはいいのよ!」
「細かくないわよ、人類の半数を分けるくらいにはデカイわよ」
珍しくユウキから正論が放たれるものの全く気にしないクロエル。
そんなことよりもそのタピオカの店がどこにあるのか気になって携帯で場所を探すのに必死になってるみたいだ。
「その、タピオカ? というものはどんなものなのですか?」
「私も知りたいなー」
ユウキとクロエルと違いタピオカというもの自体知らないシスティアと文も気になって話題に食いつく。
するとクロエルはキラキラした目で話題に食いついた2人の方を向くと、得意げに自分の携帯の画面を2人に見せつける。
「私もまだ味わったことないんだけどぉ、タピオカっていうのはモチモチした食感のグミのようなものなんだって、それがミルクティーの中に入っているの!」
画面には小綺麗な容器に入っているミルクティー、そのミルクティーの中に黒い粒粒が沈殿している。
クロエルが言うには、そのグミのような黒い粒粒がタピオカというものらしい。
「あ、このボトルかわいい! それに美味しそう!」
「でしょー!」
文は写真に映る飲み物を気に入ったようである。
文とクロエルは意気投合したのかテンションが上がり、キャッキャと騒ぐ年下組の2人。
年頃の女の子とばかりに流行り物に対して興味があるみたいで、まるで学校の休み時間に雑誌やスマホでネットの記事を見る時のような意気投合っぷりだった。
しかし、その一方でユウキとシスティアの年上組はその写真を見て渋い顔をしていた。
「こ、これは可愛いんでしょうか? 容器は確かに可愛い絵柄ですけど、そんなことよりもミルクティーにカエルの卵が入ってるように見えるのが私は気になってしまうのですが……」
「あぁ、分かるわぁ……私もなんか蓮コラに似ててなんか気持ち悪く感じちゃうのよね……」
飲み物の中に黒いつぶつぶが入っていることに対してどちらかというと気持ち悪いと感じるユウキとシスティア 。
確かに、ぱっと見だと飲み物に何か異物が入ってるようにも見えなくもない。
勇者一行4人の中でタピオカに対して年下組と年上組で考えが分断されていた。
「もー、2人ともまだまだ若いのに流行りについていけないようじゃすぐ老けちゃうわよ?」
両手を腰に回して年上組2人に苦言を呈すクロエル。
しかし、言われた2人はあまり気にしていない様子。
特にユウキの方は舌打ちをしてクロエルの方を睨みつける始末。
「うっさいわねぇ……流行りについていけなくても死にはしないわよ」
「ほぉら、そうやって自分の興味のないことは知りもしようとしない。女の子が好きな話題に乗れないとモテないわよ」
「何でもかんでもそれに結びつけるんじゃないわよ、ひっぱたくぞ」
「いやいや、女子目線からのアドバイスよ。それにひっぱたくだなんて乱暴な言葉使わない方がいいわよ。もし女の子に同じようなこと言ったら嫌われちゃうよ?」
「だって私はあんたと喋るときは女の子相手として話してないもの。相手によって対応が変わるのは当然じゃない。あんただってゴキブリ見たら『死ねぇ!!』って叫びながら丸めた新聞紙でぶん殴るでしょ?」
「私か弱いからそんなことできない……というか、ユッキーは私のことをゴキブリかなんかだと思ってるの?」
「ゴキブリだったら潰しても誰も文句言わないけど、あんたを潰したら法律がうるさいからね。ゴキブリよりタチが悪いと思ってるわ」
自分のことを嫌悪されていることは分かっていたクロエルだったが、まさかゴキブリ以下の存在だと思われていたことに『ガーン!』とショックを受け、さっきまでのテンションがガタ落ち。
地面に手をついて落ち込むクロエルを慰めるかのように文が寄ってくる。
「ま、まぁまぁ、今からその楽しみにしているタピオカのお店に行くんだから落ち込まないでよ」
「そ、そうだね! イケてる女子はいちいち落ち込んだりしないのだ!」
よく分からない理論で元気を取り戻したクロエルに対して文もユウキ同様ツッコミたくもなったが、また落ち込んでしまったらめんどくさい……そんな思いが勝り、ツッコムことはせずに『うん、うん』と頷いて黙っていることに。
こうして勇者一行は街にあるタピオカのお店へと向かうことにしたのだった。
もうタピオカブーム過ぎたぞ
ってツッコミはなしで・・・
この話思いついたときは割と流行ってたんです・・・





