17-6話 開き直り
「あんた達、猿なの?」
テーブルに片肘をつきながら目頭に手を当てて、ため息をつくクロエル。
結局オナ禁をできなかったのにヘラヘラしている彼女達の態度を見て、小言の一つでも言わなきゃ気がすまない。
いや、別にこの痴女2人が我慢できるとは思ってもいなかったものの、昨日の夜にオナ禁宣言してからまだ半日すら経っていないのに(ユウキに至っては二日連続)、このザマ。
流石にクロエルも呆れてしょうがなかった。
「いやー……日課ってなかなか抜けるものではないですねぇ……シてはいけない! シてはいけない! って思うと余計にシたくなっちゃって……おかげで昨日のオナニーはとてつもない罪悪感を感じながらできて最高でした……」
「あのー……シスチーの夜の1人遊びについては聞いてないんですけど……というか罪悪感を快感に置換しないでよ」
聞いてもいないのに昨日のオナニーについて淡々と語り出すシスティア。
ユウキの禁欲生活に巻き込まれた彼女ではあるが、巻き込まれたといっても結局我慢ができなかった様子。
まぁ、オナニーが原因で修道院を追い出された彼女にとっては禁欲生活は最初から無理だったのかもしれない。
そしてそんなシスティアに乗っかるようにユウキも『あぁ、分かるわぁ』と同調しだした。
「私も必死に抑えようとしたんだけどさー、我慢したままだとふーちゃんの部屋に押し入って襲ってしまいそうになったのよねぇ……それだけはなんとか避けなければ! って思いながら泣く泣くオナったのよねぇ……」
「なんで我慢した、みたいな言い方してるの? 結局オナ禁できなかったって話だよね?」
まるで文のために一歩踏みとどまったみたいなことを言うユウキ。
結局欲望に耐えきれなかったくせに自分は頑張った風な雰囲気を出す彼女はもう改心などできないのかもしれない。
クロエルの方は彼女を見てそんなことを考えていた。
しかし、クロエルがそんな心配を抱いている中、ユウキの方は昨日のようなシュンとした態度から一変。
足を机の上に載せて行儀の悪い座り方をしている。
どうやら昨日とは打って変わって完全に開き直ったらしい。
「だいたいさー、人間なんだから性欲なんて腐るほどあるもんじゃない。オナニーくらい自由にさせなさいよ」
「いや、ユッキーが自分でオナ禁するとか言い出したんじゃない……というかもう開き直ってない? 流石に今のはイラッてきたわよ」
「それに昨日オナった後に冷静になって考えたんだけどさ、このままずーっとエロいことを考えないようにしてもさ、それって本当の私じゃないのよね。私はふーちゃんに私のありのままの姿を受け入れてほしいの。まぁ、私は生まれたままの姿のふーちゃんを受け入れたいけど」
「色々言ってるけど結局ふーみんとスケベしたいだけじゃん」
もう自分の欲望を隠さなくなったユウキ。
昨日まではまだ自分の欲望を抑えていたのに、我慢していた分を開放するかのようにペラペラ語りだすユウキに対し、クロエルもイライラを隠せなくなっていた。
「ていうかさ、ふーちゃんだって一人エッチくらいしてんじゃないの? 私やシスほどじゃないだろうけど、週一くらいでやってたりすると思うのよね」
「そうですよね、14にもなってしないなんて考えづらいです」
「いやいや、あんた達の基準で判断するんじゃないわよ。ふーみんが聞いたら怒るわよ?」
「うっさいわねぇ、大体あんただってオナニーくらいしてんでしょうが。清純ぶってるんじゃないわよ」
「し、しないわよ! 私みたいな美少女黒魔導士はトイレもしなければオナニーもしないの!」
「お前は昔のアイドルか」
昨日までは正論を吐くクロエルに対してビクビクしていたが、いつもの調子を取り戻してクロエルをからかうユウキ。
そして彼女の態度が戻ったと同時に、話題もいつの間にか猥談になってしまい、いつもの勇者一行の会話の流れとなってしまっていた。
♢♢♢♢♢
そしてリビングで3人が、そんな話をワイワイしている中、リビングの扉の向こう……廊下でそんな3人の会話を聞く者が一人……
「べ、別に私もエッチなことに興味がないわけではないんだけどね……エッチなことばかり考えてる人が嫌ってだけで」
リビングの中にいる3人に聞かれないよう、顔を赤らめながら廊下でボソッと呟く文であった。





