17-4話 オナ禁宣言
先ほどまで外で文がスライムに襲われたり、ユウキが殴られたりと色々騒ぎがあったものの、勇者一行は本日はもう町まで歩くことを止めて道中に家を建ててもう休むこととした。
そんな中、ユウキは一人リビングで両肘を立て、両手を組んで口の元に持っていくというどこかで見たことあるようなポーズを取っていた。
時折小さく『はぁ……』と重たいため息をつきながら何やら思い詰めている様子。
「はぁ……なんでこうもうまくいかないのかしら……」
誰もいないリビングで独り言をつぶやくユウキ。
どうやらさっきの出来事を気にしているみたいだ。
エロ禁しようと色々と彼女なりに頑張ったものの努力実らず結局文にセクハラ行為をしてしまったのだ。
自分では悪気がなかったとはいえ、ユウキがエロ禁していることを知らない文からしたらいつも通りふざけてセクハラしてきたに違いないと思われているはず。
せっかく自分の行動を改めようと思った矢先に起きた出来事に気を病んでいる様子だ。
「どうしたのユッキー。まださっきのこと引きずってるの?」
そんなユウキが落ち込んでいる所にクロエルがリビングの扉をあけてやってきた。
さっきの外でのユウキの様子からメンタル面が心配になっているのか、少し不安そうな表情。
「あぁ、大丈夫よ。ところでふーちゃんは?」
「今はお風呂に入ってるよ。スライムが服に入ったせいで身体がベタベタして気持ち悪いんだって」
「…………そっかぁ」
「今、ふーみんの入浴シーンとか想像した?」
「…………してない」
「嘘でしょ」
「なんでわかったのよ」
「少しにやけ顔になってたから」
「マジで?」
お風呂と聞いて少し口角が上がっていたことについてクロエルに指摘されて慌てて口端に良指をあててにやけ面を修正するユウキ。
少しはエロ禁をしようと彼女は分かっているのだろうが、やはり根っこの性格は抜けないもの。
頭ではわかってても普段の癖なのか文の入浴シーンを想像してしまうらしい。
そして指摘をしたクロエルの方はというと、彼女のことを心配していた自分が馬鹿らしくなったかのように小さくため息をついていた。
「そんな調子で大丈夫なのぉ? いつかユッキーがふーみんを無理やり犯すようなことヤるんじゃないかってハラハラしてるんだけど……」
「そんなことしないわよ! 私はエロ漫画を見る時も純愛が好きなの!」
「え? 何その根拠……まぁ、しないならいいんだけど、いつかユッキーが警察に捕まったりして私が犯罪者の知り合いとしてテレビの取材で答えるようなことさせないでね。その時私は『あの子はいつかやらかすと思っていました……』って答えるけど」
「う、うるさい! これからどんどんエロい気分が抜けるように生活していくから黙ってみてなさい!」
「ふーん……例えばどんなことするの?」
「聞いて驚け! 今日からオナ禁を始めるわ! 一週間絶対オナニーしない!」
「……」
ドヤ顔でオナ禁宣言をするユウキとなんとも言えない表情をするクロエル。
毎日のようにオナニーをしているらしい彼女にとって、一週間のオナ禁はとても厳しいことなんだろうが、本当にそれは効果あるのか? と疑問を持ってしまう。
むしろ適度に発散する方がいいのでは……とも思うクロエル。
しかしクロエルはそんなことよりも別のあることが気になり、一つの質問を投げかけることにした。
「そもそもそれが意味あるかはさておいて、気になったから一応聞くんだけどさぁ……なんで今日からなの? 昨日からじゃなくて? あんなにふーみんが言ってたことを気にしてたのに昨日私がユッキーの部屋を出ていった後にシたの?」
「う……! ま、まぁ……昨日の時点でオナ禁しようとはしたんだけどさ? オナ禁前に一発しとこうかなって……」
「何そのダイエット前に好きなものいっぱい食べようとするみたいなやつ……そういうのって大抵失敗するわよ? 継続っていうのはやると決めた瞬間からやれる人じゃないと一生できないの」
「やっべ、なんも反論できね」
普段はクロエルに対して暴虐の限りを尽くすユウキであるが、クロエルの正論に何も反論できず。
珍しくクロエルの言葉を『ぐぬぬ……』と、ただただ聞くことしかできないユウキであった。
「まぁ、でもとりあえず頑張ってみればいいんじゃないかな? なんでもやり始めることから大事だしね」
私は無理だと思うけど……と思いながらも口ではユウキを応援するクロエル。
そして励ましを受けたユウキは少し元気を取り戻したのか親指をグッと立ててやる気を見せる。
「絶対にやり遂げて見せるわよ! なんだったら一週間我慢できなかったらあんたのことを様付けで呼んであげるわ!」
「めちゃめちゃどうでもいいです……まぁ、それで頑張れるのなら好きにしたら?」
「おうよ! シスじゃないけど神に誓って達成してみせるわ!」
そこでシスティアを引き合いに出すと達成できると思えないんだけど……
と言いたくなったクロエルだったが、これ以上彼女に小言を言って拗ねられても困るので黙って見守ることに。
こうして大して我慢ができなかったユウキのエロ禁生活の一日目が終え、二日目を迎えるのであった。
そして翌日の朝のリビング。
「おはよー、ユッキー。今日の朝ごはん何?」
あくびをしながらリビングにやってきたクロエルは朝ごはんの支度をしているユウキに話しかける。
すると挨拶されたユウキはニコリと笑顔を返してきた。
「あ、おはようございます。クロエル様」
「…………」





