4-4話 リベンジ戦!
「さーて、準備も整ったし出発だー!」
町の宿で一晩過ごした3人は次の町へ向かうために再び歩き始めていた。
「装備もそろえたことですし、魔物もドンとこい! って感じですね!」
「おぉ、シスはやる気十分ねー」
システィアは両手の握りこぶしを胸に持って来てやる気に満ちている様子である。
それも昨日買った、露出した修道服を着てテンションが上がっているためなのだろうか。
「私はdon’t 来い、って感じなんだけどね……」
一方でやる気がなさそうに文は低い声で小さく言う。
元々着ていた中学校の制服を着替え、武器も手に入れたことで、『気分一新!』といきたいところであるが、魔物との戦闘がこれから待っていることを考えると気分が乗らないのも無理はない。
「でも、フミさんのその装備は可愛いですよ?」
「そ、そう?」
「はい、その桃色の防具は似合ってます」
システィアが文の防具について褒める。
「うんうん! それに短剣を握る姿はなんか小悪魔って感じ!」
それを聞いたユウキも便乗してきた。
「へへへ、本当に?」
二人に褒められた文は重たい表情が少しやわらかくなる。
そして、そんなまんざらでもなさそうな彼女を見た二人は、『このまま褒め続ければやる気を出してくれるだろう』と考えて更に褒めることとした。
「いやー! 装備が揃ってさらに魅力が上がったよ、ふーちゃん」
「ほんとですねー! これなら魔物ですらメロメロになるんじゃないでしょうか!?」
「さ、流石にそれほどでもないでしょ~」
謙遜する様子の文であったが、大分気が良くなったのかニヤケ顔となっていた。
その様子を見た二人は『これならイケるな』と判断し、さらに調子を乗せ、それぞれ声を張る。
「瞳が綺麗よ! スタールビー!」
「泣く子も黙るいいお尻!」
「胸にちっちゃいまな板乗せてんのかい!」
「拳に鬼神が宿ってる!」
「仕上がってるよ! 仕上がってるよ! 頑張るふーちゃん超可愛い!」
二人はそれぞれ文のことを褒めるが、一部誉め言葉なのかわからない掛け声も存在していた。
「なんかセクハラじみた掛け声がいくつか聞えて来たんだけど……」
そして、そんな一部ひっかかる言葉のせいか彼女の反応は微妙なようだった。
その反応に『失敗した?』と感づいた二人は話題をそそくさと話題を変えようとする。
「そ、そういえば次の町まではどれくらいかかりそうなのですか?」
「そうね~、調べたところ今日1日では着かないかな? 今日はどこかでハウス建てて寝泊りってことになりそうね」
スマホのような端末を片手に持ってユウキが説明する。
そして『次の町の方向はー』と進む方向を示そうとしたその時、
プニョップニョッ
何やら、やわらかい物が跳ねるような音が聞えてきた。
(この音は……
最近聞いた覚えがあるんだけど……)
文の中で蘇る3日前の記憶。
その時、彼女は散々な思いをした。
最終的には死にかける羽目にもなったのだ。
「あ、スライムだ」
それを発見したユウキが声をあげる。
そう、目の前に現れたのはおなじみのスライム。
そして、その姿が目に映った文は即座にユウキの後ろに隠れた。
「あれ? フミさんどうしたんですか?」
「いやー、この子ちょっとアレにトラウマがあってね」
「アレ? アレってスライムのことですか?」
システィアがキョトンとした表情をして尋ねる。
「そうそう、シスと出会う前にちょっと……ね?」
「うぅぅ……」
ユウキは3日前の出来事について口はださなかったが、その当人はというと、恥ずかしさや情けなさが噴出して顔を赤らめて俯いていた。
「うーん……ここはふーちゃんのリベンジ戦といきましょうか」
「え?」
思ってもいなかったユウキの発言に文は思わず驚いてしまう。
「このまま雑魚敵のスライムに対しても怖いと思っていると旅を続けるのは難しいからね。頑張って克服しなきゃ!」
「そ、そんなぁ……」
文は正直なところ、『魔物との戦闘はゆーちゃんに任せればいいや』という思いがあった。
そんな頼りのユウキに突き放されたような気がしてショックをうけてしまう。
(うそでしょ……
またあんな思いするのなんてゴメンなんだけど……)
そんなうなだれる彼女に対し、元気を出そうとユウキとシスティアが肩にポンと手を置いて慰める。
「大丈夫だよ、今回は武器もあるんだし勝てる勝てる!」
「そうですよ! フミさんはやればできる子です!」
再び二人のよいしょが始まり、文のやる気をあげようとしていた。
「うーん…………そうだよね……やってみる!」
先ほど微妙な掛け声こそあったものの、おだてられて多少気分が良くなっていた彼女は二人の言葉に乗っかると、
「てやあああああああ!!」
気合をいれて慣れない掛け声をあげてスライムに向かって走っていった。
♢♢♢♢♢♢♢♢
そして一分後、
「なんでえええええええええええ!?」
短剣を持ってスライムに挑んだ文であったが、予想通りというか、もはや様式美なのか再びスライムにまとわりつかれていた。
一分前、文は一匹のスライムに向かっていった。
しかし、そのスライムの目の前に立って短剣を抜こうとしたその時、どこからともなく仲間と思われるスライムが3匹やってきて、そのすべてが彼女に飛びついてきたのだ。
そして、その複数のスライムにまとわりつかれ、身動きができなくなった彼女を弄ぶかのようにスライムは買ったばかりの防具の中に入り込んでいく。
「あんっ……やぁ……!」
防具の中でうごめくスライム。
肌を刺激されて思わず甲高い声が出てしまう少女。
残された二人は、そんな様子を放置して、ただただガン見……観察している。
「相変わらずエッチぃわねぇ」
「最弱の魔物に対しても恥辱を晒すその姿……尊敬します!」
観察していた二人は襲われている彼女を助けようともせずに呑気に話し合っていた。
「はやくたすけ――」
文が助けを求めようとしたその時、
「もごっ……! んーー!!」
一匹のスライムがぬめった身体を触手のように伸ばして文の口を塞ぐ。
「んむー!じゅるっ……ぷあっ……!」
スライムは彼女の口に入れた身体の一部をピストン運動のように動かしていく。
抵抗するすべのない彼女はされるがままである。
そして、改めてその様子を見ると、少女が自由を奪われ、得体のしれないモノを咥えられ、目は涙目といった、いかにも犯罪臭がする空間となっていた。
「あ……やばっ……! ちょっと我慢できなくなってきた。そこの草むらで一発シて来てもいいかしら?」
「私は夜にじっくりとするためにもこの光景を目に焼き付けておきます!」
しかし、彼女が不幸を味わっている一方でその光景に興奮した二人は股をもじもじとすりあわせて、自分の私利私欲のためにそれぞれ行動しようとしている。
「ん゛――――――――!!!(いい加減、助けてよおおおおおおおお!!!)」
そんな彼女達に助けを求める文であったが、塞がれた口から発せられる声からその意思は伝わらなかった。





