自覚しました
軽めのR15です。
どうしよう。
鬱血したような跡をゆっくり舐めているのは、犬でも猫でもなくて人間。
だめだ、とても大型犬にじゃれられている、なんて思えない。
何とか悲鳴を飲み込んだが、抵抗しないと流れで抱かれてしまいそうだ。
それは、嫌!
そうこうしているうちに、感触が消えてはぁっと熱い息がかかる。
「あ、あのですね、お、落ちつい、ん!?」
胸が寄せられ、出来た谷間をまたゆっくり舐められる。
もう、絶叫したい。
更に服が大きく破れらて、臍のあたりまで大きく開く。
膝立ちしてベットに上がると、首筋から耳のほうへ舐められて、両手は胸に侵入してきた。
「ひっ、ジェイ、待って」
左手で左胸を這う手を掴み、右手でジェイの頭をばしばし叩く。
「おかしいって、こんなことする人じゃないでしょ!?」
「…あぁ、おかしいな」
耳元でささやかれた声に、おもわず赤面する。
「最初は話せばいいと思ったんだ」
話しながら耳を噛むな。
ゾクゾクする。
「怪我させるくらいなら、俺1人で倒せばよかった。他の隊員も、もっと小型の魔獣で練習させればよかったのだし」
手の動きが再開する。
「ひゃっ、あっ」
「あぁ、お前も興奮してきた?」
胸の先を優しく撫でられたら、そりゃあ反応しますよ、普通。
「嫌なら魔法を使ってでも抵抗しろ」
そう言ってするりと下に下りて、右胸の頂きを2,3度舐めてから口に含んだ。
「ふっ、あっ…ちょっと、本気ですか!?」
答えは返らず、かわりに舌が動き出す。
左胸からもビリビリと甘い痺れを絶え間なく送られる。
「い、嫌じゃないけど、今日は嫌です!」
どうにか言えた一言で、ようやくジェイの動きが止まる。
首をもたげて、少し荒い呼吸のまま一気に言う。
「戦った興奮のまま流されてするなんて嫌です」
「…確かにそうだな」
乳首含んだまま言うの止めてください、息が詰まります。
「これじゃあ強姦だな」
はぁっと深いため息をついて、顔を離しうな垂れる。
「ジェイ、暴れたりなかったから誰でも良かった?」
ゆるゆると横に頭を振る。
「お前だけが欲しい」
全身に緊張が走った。
多分告白された。いや、絶対そうだと思う。
私も好きだと言えば、このまま一気に食われそう。
最近自覚してきたばかりなので、まだ自信がない。
「異性として好きってことですか?部下としてではなく」
「お前はどうなんだ」
あ、墓穴掘った。
急に顔を上げられて、目線があった。
どことなく切なそうな感じがする。その色気にきゅんとくる。
ずるいなぁ、なんでそんな顔できるの。私なんて赤面してにやけるの、必死で抑えてるのに。
「わ、私は、その好きだと思います。でも、まだ自覚がなくて…こういうことする自信が…」
恋は自分で追いかける派だったので、逆パターンになれていない。
懇願されるってちょっと気持ち良い。
「ヒルダ」
少し上がってきてそのまま抱きしめられる。
「待ってていいか?」
「は、はい」
肩に顎を擦り付けるようにうなずく。
「でも、これ以上のことは…その、は、反動もきてて、体もあちこち痛いですし」
半分嘘。
昔の経験という名の記憶が邪魔をする。
この体はまだ処女だし、こうやって男性に抱きつかれたこともない。だけど、密着した体から、彼が性的に興奮していることはわかる。つらいだろうが、我慢してくれ。
「お疲れ様でした」
逆に抱きしめたら、ジェイの体がビクッと小さく震えて少し力が緩む。
「このままで良ければ、しばらくいますよ。つらいなら、出て行きますから離して下さい」
「わかった」
そう言ったわりには、また体勢を下げて胸に顔をうずめる。
待つって言ったよね、本当に待てるんでしょうね。
背中にまわした右手を離し、まだ湿っている髪をなでる。
「髪、濡れてますよ。逃げませんから、乾かして下さい」
「……」
わずかに身じろぎするが、返事はない。
「信用ないんですね、私。あぁ、そうそう、いくら暴れたりなかったとしても、同じことをアリアやミディアにしたら、本気で軽蔑しますからね」
「しない」
くぐもった声がした。
腕に力が入り、ますます胸が圧迫される。
「うっ、く、苦しいので、ちょっと!」
足の間にある腰に膝を立てて押し上げようとすると、背中に回された腕が外れ、ようやく胸と顔の間に隙間ができた。
ふぅっと呼吸を整えていると、両脇の下を持ち上げられ、ベットの中央へと移動させられた。そしてすぐさま覆いかぶさってきた。
(ひーっ!)
今度こそダメかと思って目をつぶる。
理想は渋メンだけど、ジェイもそうなる要素があるからとか、最初は痛いんだよな、とかジェイ慣れてるよねとかあたふたと考えていた。
でも、一向にキスはしてこないし、触ってこない。
あれっと目を開ければ、さっきよりやや横抱きに近い感じで抱きしめられていた。
「あ、あのぉ」
おそるおそる話しかければ、
「…ダメだな、これ以上は」
と、胸元に一度顔を擦り寄らせて起き上がる。
気だるげに前髪を片手で書き上げながら、目をつぶる。
「ジェイ?」
「悪かった。もう大丈夫だ」
私もゆっくり体を起こす。
「辞めたくなっただろ」
「何をですか?」
「俺の補佐官」
「え?」
少し考えて、はっと詰め寄る。
「まさか今までの補佐官にも同じことを!?」
「するかぁ!」
かっと目を見開いて怒鳴られた。
「…お前、だけだ」
「そうですか。なら、安心しました」
言ってから、おや?と思う。
何やら誤解を招くような言葉だが、いつもの表情に戻ったジェイを見る限り大丈夫そうだ。誤解してたら、このまま処女喪失する、うん。
「と、とにかく落ち着いたんでしたら、私は戻ります」
さっさと足元の方から逃げ出す。
「その服を着ていけ」
目線の先にはイスにかけられた上着があった。
ついでに新しい隊服も支給してもらおうと思う。この服は繕い直すのができなさそうだ。
「おやすみなさい」
「あぁ、おやすみ」
少し口角を上げた笑みは、普段の怖さが一欠けらもないくらい甘いものだった。
私は赤面しそうな顔を見られたくないと、あわてて部屋を出た。
そして一目散に部屋に戻り、まだ起きていたアリアに少しびっくりされた。
なんでもない、とあわててベットにもぐりこんでも眠れるはずもなく、あの数十分間の出来事を明け方近くまで回想して羞恥にもだえていた。
それから昨夜倒したポンブリックは、朝になってダンフォード侯爵夫妻の耳に入ったことで、すぐさまジェイの所へ話がやってきた。上質なポンブリックの毛皮は捕獲レベルも高いだけに珍重される。今回はそれが無傷の毛皮が2頭分。しかも討伐隊の話も付くと、噂大好きな社交界のネタとしてのプレミアもつくそうで、かなりの金額で3頭まとめてお買い上げとなった。
それからしばらく魔獣討伐は続いた。
ポンブリックは元々数が少ないのであれ以来遭遇することはなく、かわりに良く出る魔獣の代表格としてあげられる数種類の魔獣を合わせて10匹程駆逐した。
中でもキツネによくにた魔獣は、高級品ではないが毛皮として取引されているので、嬉々としてゼフェリーが業者と交渉して売却していた。
2週間ほど滞在して、すっかり被害がなくなった頃騎士団から手紙が来た。
すっかり忘れていたが、公開演習の準備が間に合わないぞ。いつまで討伐してるんだというお叱りの手紙だった。
帰路も急いで帰ると聞いて、隊員はげんなりしていたが、特別賞与がかなりの額になったのでまぁいいかと笑いあっていた。
ジェイはあれ以来討伐時にも興奮せず、いつものように過ごしていた。やはりポンブリックくらいにならないと、物足りないのだろう。
変わったことといえば、時々だけど優しい笑みを見せてくれるようになったことだ。最初はびっくりして引いたけど、ようやくまともに見れるように耐性がついた。
「体が鈍った」
それは明日王都に着くという日の夕方だった。
「帰ったらすぐ訓練するぞ」
「は?本気ですか?っていうか私ですか!?」
「お前は訓練後に帰っていい。俺はそのまま夕方の訓練に出る」
戦闘モード全開で訓練参加ですか。どんだけ興奮したいんですか、あなた。
「手加減してくださいね」
「何言ってる。怪我をしないように鍛えるんだ。容赦しないぞ」
え?でもあなた私の事好きなんですよね。ちょっと、あの夜のことはなかったことにしたいの?
やはりあのまま既成事実を作って、主導権を握っておくべきだったかも。
「あぁ、楽しみだな」
顔に浮かんだ笑みは、久々に見たあの冷笑。
私、好きになる人間違えたかもしれない。
本日もありがとうございました。
ジェイが不憫ですね。彼サイドの話になるととんでもないことになりそうですが、まぁ、少し距離が縮まったかなっと思います。




