閑話 わんわん
——元の世界にて
「ルカ先輩って意外と犬とか好きですよね」
「意外って何」
「いやほら、動物嫌いそうだから……」
昼休憩の時間。久しぶりに外食をしようと山本を連れてビルを出たルカ。突然の罵倒に近いそれに怪訝な顔をする。
「可愛いじゃん、犬」
「……」
「……あのさ、流石に私も可愛いって思うことあるよ。なんだと思ってんのマジで」
「ちっちがうんですよ!これは不可抗力で!」
「はぁ……」
ワタワタと弁明しようとする後輩。しかしルカは心外だと言わんばかりにため息を吐く。
「日頃からこんなに優しくしてるのに……」
「それはわかってます!わかってますけど……」
「猫派?は言われたことあるけど、動物嫌いは初めて言われた」
「……失礼を承知で言っていいですか?」
「もう失礼だからいいよ」
「その……先輩ってすっごく細かいところに気づくじゃないですか。だから神経質なのかなって……」
「……」
ルカはその言葉に考え込む。神経質になるのはそもそもミスをすると大惨事になる案件を扱っているからであって、特に後輩はまだ経験が浅く、その危機管理能力が備わっていない。だからこそサポートする形で気を配っていたのだが……動物が嫌いそうと来たか。ルカは山本を見る。
「私、犬だったらケルベロスが好き」
「ける、え?実在の犬種じゃなくてですか?」
「いいじゃん賑やかそうで」
「え、ええ〜……?先輩難しい……」
困惑しながらルカの後をついていき、到着した店で嬉しそうにパスタを食べた山本。そのコロコロ変わる表情を見て、ルカは片方の口角を上げるのだった。
ちょこっと休憩入れてみました




