親子
数千年後
満月の夜、静かに響く潮騒の砂漠にひっそりと建つ四角錐。
それを少し離れた場所から見下ろす2つの影。
大人と子供のようだ。
手を繋ぎ波の音を聞きながら四角錐を眺めている。
空は満天の星空、月の光が水面に反射してなんとも幻想的な風景を醸し出してた。
言葉はない、だが意志疎通をしているようだ。
「あれは大昔からあるんでしょ?」
「うん、いつかわからないくらい昔らしいよ、砂の下にもっと埋まっているらしいけど劣化しないように掘り出していないんだ」
「僕知ってるよ、あれは堀りながら作っていったんだよね、天辺から作って」
「みたいだね、でも解明されてない部分も沢山あるんだよ」
「へぇ、不思議なの」
子供はさして不思議そうには言わなかった。
いや、言ってはいない
彼らの顔は輪郭こそ人間のそれだが目、鼻、口はなく漆黒の顔の中央にはまるで銀河のような渦が巻いている。親子の渦は酷似していて何かしらの方向で意思疎通をしていた。
その時、夜空の帷を切り裂く一筋の光
「お父さん、何か落ちてくるよ、隕石?」
「どうだろうね、見に行ってみようか」
親子はゆっくりと砂の丘を下る、そこには所々黒く焦げたロケット、夜の冷気で冷やされた砂に包まれて『シュゥゥゥ』と異音と煙を立てる
「ロケットだ」
子供は嬉々として触れようとする
「まだ待ちなさい、もう少し冷やさないと火傷するよ」と父は伝え更に砂をかけてロケットを冷した。
「このロケットどこからきたのかなぁ?」
「どこだろうね、冷えたら調べてみようね」
「宇宙人かな」
子供の好奇心が止まらない、はやく見たくてウズウズしている。
数分の後、冷えたロケットを取り出し様子を調べる。
「お父さん、ここ開きそうだよ」
「本当だ、ちょっと待ちなさい」といい扉の構造を調べて器用に開く。
なかには小瓶に詰まった薄紅色に輝く液体。
「血、だね、少し調べてみよう」と父親は血を凝視する。
顔の銀河がゆっくりと渦巻いてあたかも解析しているように見えた。
『血』の意思を汲み取る……
…… 僕の名前は『カイ』僕が生まれた時には無くなっていた『海』という意味です。
僕たちはかつてこの星に生息していた『人間』と呼ばれる生物でした。
もしこのメッセージを受けとることができたのなら僕の『記憶』を役に立ててください。
その男は全てを理解したーーー
残すはエピローグです。
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