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銀河の親子  作者: leather


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13/16

懇談

隠し通路はゴミを収納する棚の奥が細工されていて知らなければ絶対に見つけることはできない構造であった。


子供の頃はこんな『隠し通路』が自分の部屋にあったらなと想像していたことを思い出す。

どうして子供は、とくに男の子は隠し通路や隠し部屋、秘密基地などが好きなのだろう。

オリオンに聞いてみたいが司令官と会ってからオリオンとは会話をしていない。

オリオンも自分から言葉を発することはなかった。その時


「カイ、前方に注意してください」


司令官の身体が硬直したのが伝わってきた。

「今のはオリオンなのか?」


「はい、オリオンのおかげでここまで来れました。」


「そうか…」

恐らくこの世の混乱にAIが加担しているのではと薄々感じているのだろう

『情報漏洩』いつの世もそれにより良くも悪くもなる、

恐らくそれを危惧しているのだ。


「AIですが、このオリオンは他のとは違い信頼できる、その、司令官が思っているのとは…」


説明のしようがない、なにせこのオリオンと僕が世界を未曾有の危機に陥れたのだから。

しどろもどろになってしまう


「今の私は赤子のように君たちに頼るしかない、君が信じているなら私も信用するよ、カイ君といったか?」


「はい、そうです」


「もう、司令官と呼ぶのはよしてくれ、私は基地を放棄した身分だ。あきらだ。不動 宙、私の名だ」


「不動…さん」


「おっと、不動さんとは呼ばないでくれ、学生のころは大分からかわれたからな」

と冗談混じりにはにかむ、そして

「お兄さんの件は残念だったね…」


「知っていたのですか?」


「あぁ、一応国の安全を担う身だ、国内の問題には機敏になるよ、おかしな判決などは特にな…」


一佐といえば軍の中でも大分上層部の方が気に掛けていてくれたことが嬉しかった。

僕は涙ながらに『ありがとうございます』としか言えなかった。


その後は二人の関係が少し近付いたように感じ色々な話をした。

学生のころの熱中していたこと、入隊当時の失敗談、子供達の話、軍のお偉いさんはもっと取っ付きにくい人を想像していたが話してみればなんのことはない、兄より少し年配のお兄さんに見えてきた。


中でも初めてのデートでおしゃれな喫茶店へ行き緊張しすぎて『ショモトケーキを所望するであります!』と噛んでしまって店員が吹き出してしまったこと。その後なにかを物欲しそうに見ていると『所望してるの?』などと弄り続けられた事など照れながら話してくれた。


もちろんプロポーズは『婚姻を所望します!』と言ったらしい


そんな話をしつつ先を進むとナンバーキーを入力する扉に辿り着く、僕は昴君に教えてもらったナンバーを入力し扉を開けた。


「もうすぐですよ、昴君とルナちゃんが待っています」


「あぁ、頑張るよ、悪いな迷惑かけて」


馬鹿話で気を紛らわしていたが宙さんの容態は悪くなる一方だった。子供達が待っているという希望がなければとっくに気力はなくなっていただろう


子供達の所まで急いでいかないと手遅れになってしまう、最短ルートで行かないといけないからオリオンの力をかりる

「オリオン、二人はどっち方面にいる?」


「私達と別れた場所はここから北東2kmほど先です」


2km、成人男性なら普通に歩いて30分ほど。

宙さんを抱えて山道だと一時間はかかりそうだ。


「宙さん、僕におぶさって下さい」


宙は意地を張ることなくカイに甘える。

恐らく自分の余力に気付いているのだろう、幸いなことに宙はそこまで大柄ではなかったことだ。

これなら急ぎ足で30分程でつくぞとカイは思った。


宙がカイに聞く

「君はなんでここまでしてくれるのだ」


「それは⋯僕が動物に近い人間だからですかね」


「動物? 面白い言い方をするね」


「人は残酷すぎます。動物も生きるために狩りをしますが、それは残酷ではない、同族やわが子を守るためには天敵に立ち向かうこともします。もちろん逃げる時もありますが、打算ではないと思ったのです。それと昴君に預けたリュックの中には母と兄の位牌があるんです。やっぱり最後は一緒にいたい…」


言った後に『最後は』と言ってしまったことは失敗だったと思った。

これでは僕も生きていけないことを悟っているかのようだ。

宙さんはどう思っただろう


「そんな人達ばかりならこんな世にはなっていなかったろうな」


宙がしんみりと言う

僕の失言を意に介していないのだろうか、わからない


そのまましばらく会話なく森を進む、勝手に気まずい雰囲気になってしまった。


無理やり会話の糸口を探した。


「見てください、多分昴君たちが通った跡ですよ」


草木が不自然に折れ曲がり道が拓けている。

多分手を繋ぎ2列になって歩いたのだろう、おかげで跡が目立った。


「オリオン、方向あってるよね?」


「ええ、間違いないです」

僕はホッとして宙さんを元気付ける


「もうすぐですよ、頑張ってください」


そのまま進むと記憶にある景色が見えてきた。

間違いない、僕がバイクで向こうから来て、昴君たちは山側の方へ逃げていったのだ。

昴君たちと休憩した場所に近付いてきた。僕は小声で『昴君、ルナちゃん』と呼び掛ける


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